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【07】 撃破
*071* 珍客
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兄は国王陛下に判らないように、首を横に振る。
悠李は、考えてから、当り障り無い答えを口にする。
『会社員ですよ。普通に就職しました。』
悠李は、現在、確かにボディ・ガード養成所で訓練を受けているが、民間の会社の隔離された養成所だ。
危険が伴う仕事を選びはしているが、企業に勤めているという意味では、嘘は言っていない。
『仕事は、楽しいかい?』
『入ったばかりなので、まだ色々と不慣れな部分も多々ありますが、毎日は、充実していますよ。』
悠李のその言葉を聞き、ボディ・ガードとして配置されている数名が小さく肩を揺らして笑っている。
言い得て妙なのだろう。
話をしながら、食事が終盤へと差し掛かると、俄かに外が騒がしくなる。
国王陛下と兄と目を合わせ、何が起こっているのかと眉を顰める。
襲撃等では無い事を祈るのみだ。
ボディ・ガードとして警護についていた何名かは扉の外の様子を伺いに部屋を出た。
…が、取り押さえている感じでも無く、直ぐに物音が静かになった。
『誰かが粗相をした…という感じでも無さそうですが…?』
兄は、ポツリと言う。
『大事で無いならば、それで良いではないか。』
国王陛下は、安心した様子で一言漏らした。
悠李は、外の様子が気になって仕方が無い。
身体がウズウズして、今にも飛び出して行きそうな気持ちだった。
今にも立ち上がろうとしたタイミングで、荒々しいノックが聞こえ、ほぼ同じタイミングで扉が開く。
「花村、迎えに来た!! 帰るぞ!!」
「えぇ~~~~~ッ!!
一條ッ!? 何でッ?」
悠李は、驚きの余り絶叫した。
『おぉ…今日は、珍しい客人が多いな。一條、元気そうだな?』
『国王陛下、ご無沙汰しております。お変わりないようで安心致しました。』
一條が、スラスラとこの国の言葉を話している。
悠李は、驚きの余り、飛び出た目が落ちそうな錯覚を覚える。
確かに、殆どフランス語だが、一部は独自の言語がある…のに、流暢に喋っているのだ。
『一條の事は、心配していたんだよ。生きていてくれて良かった。』
国王陛下は、目にうっすらと涙を浮かべ、頷いている。
『大分、状況は落ち着いていると思います。会社の方でも対策は講じてくれているので。』
『そうか…それは良かった。私も、一條の姿を目に出来て、安心したよ。』
『ところで、突然どうしたのだね?』
国王陛下は、先程、一條が言った言葉が日本語だったので、理解出来なかったのだ。
『国王陛下、うちの訓練生が迷い込んだようだったので、迎えに来たのです。』
悠李と兄が触れずに終わらせようとしていた事が、露見した瞬間だった。
悠李は、考えてから、当り障り無い答えを口にする。
『会社員ですよ。普通に就職しました。』
悠李は、現在、確かにボディ・ガード養成所で訓練を受けているが、民間の会社の隔離された養成所だ。
危険が伴う仕事を選びはしているが、企業に勤めているという意味では、嘘は言っていない。
『仕事は、楽しいかい?』
『入ったばかりなので、まだ色々と不慣れな部分も多々ありますが、毎日は、充実していますよ。』
悠李のその言葉を聞き、ボディ・ガードとして配置されている数名が小さく肩を揺らして笑っている。
言い得て妙なのだろう。
話をしながら、食事が終盤へと差し掛かると、俄かに外が騒がしくなる。
国王陛下と兄と目を合わせ、何が起こっているのかと眉を顰める。
襲撃等では無い事を祈るのみだ。
ボディ・ガードとして警護についていた何名かは扉の外の様子を伺いに部屋を出た。
…が、取り押さえている感じでも無く、直ぐに物音が静かになった。
『誰かが粗相をした…という感じでも無さそうですが…?』
兄は、ポツリと言う。
『大事で無いならば、それで良いではないか。』
国王陛下は、安心した様子で一言漏らした。
悠李は、外の様子が気になって仕方が無い。
身体がウズウズして、今にも飛び出して行きそうな気持ちだった。
今にも立ち上がろうとしたタイミングで、荒々しいノックが聞こえ、ほぼ同じタイミングで扉が開く。
「花村、迎えに来た!! 帰るぞ!!」
「えぇ~~~~~ッ!!
一條ッ!? 何でッ?」
悠李は、驚きの余り絶叫した。
『おぉ…今日は、珍しい客人が多いな。一條、元気そうだな?』
『国王陛下、ご無沙汰しております。お変わりないようで安心致しました。』
一條が、スラスラとこの国の言葉を話している。
悠李は、驚きの余り、飛び出た目が落ちそうな錯覚を覚える。
確かに、殆どフランス語だが、一部は独自の言語がある…のに、流暢に喋っているのだ。
『一條の事は、心配していたんだよ。生きていてくれて良かった。』
国王陛下は、目にうっすらと涙を浮かべ、頷いている。
『大分、状況は落ち着いていると思います。会社の方でも対策は講じてくれているので。』
『そうか…それは良かった。私も、一條の姿を目に出来て、安心したよ。』
『ところで、突然どうしたのだね?』
国王陛下は、先程、一條が言った言葉が日本語だったので、理解出来なかったのだ。
『国王陛下、うちの訓練生が迷い込んだようだったので、迎えに来たのです。』
悠李と兄が触れずに終わらせようとしていた事が、露見した瞬間だった。
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