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*04* 二人きり
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何となく当り障り無く会話を成立させながら、時間は刻々と過ぎていく。
「ねぇ静子さん、もう少しお時間があったらお茶でもしながらゆっくりとお話したいわぁ~♪」
「そうね、私も久々にさつきさんともう少しお話したいと思っていたの。下のラウンジに移動しましょうか。直嗣、さくらさんの事、失礼が無いようにしっかりとエスコートするのよ。」
…そう言って、二人の母親は一般的な「後は若いお二人で…」という言葉を発せずにサラリと退席した。
「さくらさん、庭に出てみますか?」
直嗣さんは、紳士的に私の手を取り、庭へと誘う。
「このようにプライベートな空間を大切にしているお庭に出て問題は無いのでしょうか?」
「視察という名目で歩けば、特に問題無いでしょう。」
一流のホテルウーマンを目指している私としては、勤務先以外のホテルの中を歩けるのは、またとない勉強のチャンスなので、とても嬉しい。
それにしても…この直嗣という男性、いったい何者なのだろう?
食事の間も、特にお互いの家についての話も出ず、ただ名前のみを名乗り合うだけの和やかな語らい。
心地好いけれど、何かのピースが足りない…そんな感じ。
そして、先程から思い出せない“何処かで見たはずの直嗣の顔”。
…物思いに耽っていると、直嗣さんに声を掛けられた。
「庭はお気に召しませんか?」
直嗣さんに覗き込まれて、ドキリとしてしまう。
近い!!顔が近いです、直嗣さん!!
「いいえ!!そんな事はありません。人工的に配置されているはずの花々が自然に見える世界を織りなしているこの空間に息を呑んでいただけです。」
「この庭園は、ホテルの中でも力が注がれている逸品ですので、そのように評価をして頂けるとは、とても鼻が高いですね。」
直嗣さんに優しく微笑まれると、つい顔が赤くなってしまう…。
「茶室から見える景色には、枯山水が配されているのですが…これ以上お母様をお待たせする訳にもいかないですね。ラウンジまでお送りしましょう。」
えっ、もう帰っちゃうの?…と名残惜しい気持ちが湧き上がっているこの感覚は何と呼べば良いのだろう?
少しだけセンチメンタルな気持ちを味わいながら、ラウンジへと向かった。
ラウンジで母と合流し、迎えの車に乗り込む時に、不意に直嗣さんに耳元で囁かれた。
「今日は楽しい時間をご一緒して頂き、ありがとうございました。とても有意義でしたよ。」
耳元で、そんなに低音な美声で囁かないで!!
口から心臓が飛び出てしまいそう!!!!!!
「ねぇ静子さん、もう少しお時間があったらお茶でもしながらゆっくりとお話したいわぁ~♪」
「そうね、私も久々にさつきさんともう少しお話したいと思っていたの。下のラウンジに移動しましょうか。直嗣、さくらさんの事、失礼が無いようにしっかりとエスコートするのよ。」
…そう言って、二人の母親は一般的な「後は若いお二人で…」という言葉を発せずにサラリと退席した。
「さくらさん、庭に出てみますか?」
直嗣さんは、紳士的に私の手を取り、庭へと誘う。
「このようにプライベートな空間を大切にしているお庭に出て問題は無いのでしょうか?」
「視察という名目で歩けば、特に問題無いでしょう。」
一流のホテルウーマンを目指している私としては、勤務先以外のホテルの中を歩けるのは、またとない勉強のチャンスなので、とても嬉しい。
それにしても…この直嗣という男性、いったい何者なのだろう?
食事の間も、特にお互いの家についての話も出ず、ただ名前のみを名乗り合うだけの和やかな語らい。
心地好いけれど、何かのピースが足りない…そんな感じ。
そして、先程から思い出せない“何処かで見たはずの直嗣の顔”。
…物思いに耽っていると、直嗣さんに声を掛けられた。
「庭はお気に召しませんか?」
直嗣さんに覗き込まれて、ドキリとしてしまう。
近い!!顔が近いです、直嗣さん!!
「いいえ!!そんな事はありません。人工的に配置されているはずの花々が自然に見える世界を織りなしているこの空間に息を呑んでいただけです。」
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「茶室から見える景色には、枯山水が配されているのですが…これ以上お母様をお待たせする訳にもいかないですね。ラウンジまでお送りしましょう。」
えっ、もう帰っちゃうの?…と名残惜しい気持ちが湧き上がっているこの感覚は何と呼べば良いのだろう?
少しだけセンチメンタルな気持ちを味わいながら、ラウンジへと向かった。
ラウンジで母と合流し、迎えの車に乗り込む時に、不意に直嗣さんに耳元で囁かれた。
「今日は楽しい時間をご一緒して頂き、ありがとうございました。とても有意義でしたよ。」
耳元で、そんなに低音な美声で囁かないで!!
口から心臓が飛び出てしまいそう!!!!!!
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