神の居ぬ間に…。

観月 珠莉

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*25* 新たなる出発 (☆)

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見慣れない装束を纏い、その上に何時も身に着けている修道服を着るとその修道服は中にパニエを着けているように広がった。
一通りの準備が整った頃、素晴らしい細工の施された服を纏ったブランと共に大神官がやってきた。
リュクレールの姿を見つけると、ブランは準備の整った彼女に話し掛ける。

「聖女さま、私は、既に還俗の儀を済ませてきました。次は貴女の番です。」

大神官も膨らんだ修道服を見て、感慨深げに言葉を発する。

「リュクレール、本当に行ってしまうのじゃな…。」

慈しみを持ってリュクレールに語り掛ける大神官をブランは無言で制し、早く還俗の儀をするように目線だけで促す。
大神官は、ブランの意向に従い、リュクレールを小聖堂の祭壇の前に促す。
やがて長時間に渡る厳かな儀式が終わり、リュクレールは俗人へと戻った。
儀式が終わると、大神官はブランに話し掛ける。

「ブランディールさま、以上を持ちましてリュクレールの還俗の儀は滞りなく終了致しました。」
「ご苦労さまでした。」
「このまま、リュクレールさまをお連れするのですか?」

大神官が還俗した途端に、『リュクレールさま』と呼ぶ事に違和感を覚えるが、リュクレールは、会話に入り込む事が出来なかった。

「えぇ。このまま向かいます。ジェノムは下がって良いですよ。」
「ブランディールさまの仰せの通りに。リュクレールさま、お元気で。また、お会い出来ます事を楽しみにしております。」

そう言った、大神官を扉まで見送る。
見送られた大神官はそのまま小聖堂を後にした。
大神官が扉を出た後、直ぐに聖女見習いだった少女達がやってきて、リュクレールに声を掛ける。

「リュクレールさま、修道服をお脱ぎくださいませ。」

リュクレールの修道服を脱がせる為に手を掛けた聖女見習い達の服は、黒いローブを身に纏い別の雰囲気を醸し出してる。
四本の手で修道服を剥ぎ取られ、バラのように幾重にも重ねられた黒いオーガンジーの装束を身に着けたリュクレールは、とても妖艶だった。

「リュクレール、とても綺麗ですよ。」

ブランはリュクレールの頤を持ち上げ、チュッと触れるだけの口付けをする。

「さぁ、時間がありません。行きましょう。」

ブランはそう言うと、リュクレールの手を取り再び祭壇へと歩き出した。

「ブラン…さま?」

迷いなく祭壇へと歩くその行動が理解出来ずに、リュクレールはブランに向かって呼び掛ける。
ブランとリュクレールが手を繋ぎ、祭壇の前に立つと、黒いローブの少女達は、祭壇を横に大きくスライドさせた。
すると、目の前には地下に通じる階段が現れた。
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