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後日談たち やり残したネタとか消化していきます
149.後日談6 長い歴史ってのも考えものですね
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俺は久々に元ヒッツェ皇帝クイタさんと対面していた。
いや、久々というほど久々ではないのだが、何しろカルシウス先輩に会ったりジョーン先生に会ったり学園長と話し合ったり色んな人をスカウトしたりとやることがたくさんあって忙しかったので、何だか長いこと経ったような気がしているのだ。
そして、クイタさんと現在対面しているのが、何と馬車の中であった。
うん、いま移動中なんだよ。しかも行き先はまさかのヒッツェ皇国。
どういうことだ、クイタさんを解放するのかって?
いやいやそれこそまさかである。
ここのところ貴族が駄目になってきて、王家が苦労させられていたエイズーム王国において、即位してすぐに嬉々として改革をはじめ反王家で馬鹿貴族であるものをばっさばっさと斬りまくった人物こそが我らが国王なんだよ?
そのキサム陛下がそんなことを許すわけないじゃないか。
では、なぜか。早速『最高指令官』としての仕事を属国で果たして来いというあれである。
人使いが荒いです。
簡単に言ってしまえば、属国の視察をちょっとして来いってことだな。
更に言えば、俺が転移の魔法を使えることもすでに知っているので、いつでも帰ってこれるし、いつでも行けるようになるだろとのことである。
人使いが荒いです。
そんなわけで今回のメンバーなのだけど――――
「……リル……ベリル最高司令官」
そんな風に頭のなかでひとり回想をしていると、クイタさんに話しかけられているのに気が付かなかった。何度目かの呼びかけであったのだろう。自分の名前を呼ばれているのだと認識した頃には、少し呆れたような目でクイタさんに見られてしまった。
「すみません。頭が留守になっておりました。いかがされました?」
「いや、随分と早い出立の上に、その、護衛の数が少ないがこれは大丈夫なのか?」
クイタさんは窓の外を見やって眉を下げた。
確かにそこに見える護衛の数は少ない。
街に近い街道を走っているときならまだしも、現在位置はヒッツェとの国境イザ川に向かう件の草原の真ん中である。魔獣も普通にいるようなノッパラに、こんな少人数でいて大丈夫なのかと不安になるのも理解できる。
「大丈夫ですよ。恐らく、貴方が認識している以上に護衛の方はいます」
「それは……!」
俺の言葉にクイタさんは察したようだ。そう、今回護衛というか俺らについてヒッツェ皇国に向かうのは、エイズーム王国黒騎士団の情報部隊の方々と、俺のスカウトした隠密能力のある方々である。
非常に隠密能力が高いため、一般人にはおよそその存在が悟られないのである。
それは今のクイタさんの発言でもわかっただろう。更に目的が視察なのである。
民衆の様子は勿論、これから支配する領域の情報を知らずしてどうする。
調査は何より大切なのである。
というわけで、選出は大体俺の独断と偏見により、隠密能力の高い人たちが選ばれている。かと言って戦力が劣っているかと言えばそんなことはない。少なくともプースさんもニャルさんも独力で魔の森を突破できる猛者である。
「それにですよ」
納得したような表情になって頷きながら窓の外を凝視しているクイタさんに向かって俺はにっこり微笑んだ。
「自分で言うのも難ですが、最高戦力が誰かお忘れになっておりませんか?」
本当自分で言うのもなんなんだけどな。
でもこの件に関してはもう自重しないと俺は決心したわけでして。
手加減するつもりはないので、どんな魔獣がでてきたところでたぶん大丈夫なはずだ。世の中に絶対はないが、しかしそれでも、エイズーム王国でもこのラナア大陸においても俺の戦力は最高峰である、とお墨付きもいただいている。――それこそ神からな。
なので、俺が負けるような魔獣がでてきたときというのは、人類滅亡とイコールなのである。
そんな事態になったらもうどうしようもないが。
はっとした表情になったクイタさんを尻目に、俺はちょっと溜息を吐きたくなった。
なんというか、このおっさん。のんきというか、なんというか。
順応力が高すぎやしないだろうか?
少し前まで自分を殺そうとまで動いていた相手に対して、警戒心がなさすぎるというか。
そんな俺の考えに気がついたのだろうか。クイタさんは俺の方を見ると苦笑した。
「いくら天賦の子と言えど、顔にはまだ出る歳か。いや、それだけわしを信用していただいたということかの? 顔にこんなんで皇帝なぞやっていけたのかと書かれておる。おおよそ警戒心がなさ過ぎるとでもおっしゃられたいのであろう」
そんなことを言われては俺はうっと詰まるしかない。まさに図星であるわけだし。
しかも、俺のポーカーフェイスは通じない様子ですし。
思わず無言になった俺にクイタさんは朗らかに笑った。凶悪な見た目の為にそれは悪巧みをしている悪役の高笑いにしか見えなかったが。
「なに、すぐにわかる。決して祖国でこのような醜態を曝すような物ではなかったぞ、わしは。――――警戒をしようにもこれでは不敬になろうて」
最後に小さく呟かれた意味深な言葉に、もちろんチートな聴力が聞き取ってしまったわけであるが――俺は首をかしげる他なかった。
◆
関所のフロワリソンはすぐに抜けた。
フロワリソンにはいい思い出がない。花瓶は窓際に置いてあるし、誘拐されちゃうし。あまつさえ、女装である。思わず、態度の良くないと専らの噂であるフロワリソンの兵士に同情されてしまうくらいのレベルの女装をして、更にはぶりっ子を演じたのである。
そんな思い出のつまった街に滞在をしていたくはない。
数名の情報部隊の人たちがこの隊から抜けてフロワリソンに残ったようだが、もともとが気配を消していた人たちであったので見た目には何ら変化はなかった。隊は現在センタチュールに向かってフロワール=センタチュール街道を突き進んでいた。
センタチュールはヒッツェの中央都市のひとつである。
前回はここで影の拠点を潰した。因縁の場所ではあるが、さすがにクイタさんの体力を考えるとずっと馬車の旅というわけにもいかないので、ここで一時滞在をすることを目標に馬車を飛ばしている。
馬たちも頑張ってくれている。まあ、この馬車も俺のつくった魔道具だったりするのだけどな。
軽量化と震動防止を刻んである。
世に出回ることになるのは何年後か。まあ今のところ広めるつもりはないのだが。
一応こんなんでもジョーン先生のもとで色々学んだわけでありまして。
安易に高度な魔道具を急速に広めても民にいいことないよとわかっているわけであります。
馬を扱っている人たちとか職にあぶれてしまうし、御者の役割も変わっていくだろう。それに魔道具扱いされてしまえば既存の馬車をつくっているところではつくれなくなってしまう。国の経済的バランスにも、生産体制にも、一部の俺のような特殊によって引っ張られる状況はよろしくないのだ。将来は明るくない。
更に言えば、これから『ヒッツェ皇国を完全に治める』という無理難題をこなさないといけないわけで。
移動速度の速さというアドバンテージをまだ手放すつもりはありません。
いずれは広めていきたいけどね。
だってお尻痛いし。
「センタチュールには教会があってな、そこの聖職者が膿となっておる」
窓の外に視線を向けていたクイタさんが唐突に口を開いた。
「皇都では貴族が――センタチュールでは聖職者が、この国では一部特権階級の身分層が街を我が物にし牛耳っておる。まあいずれにせよそのどちらもが膿となっていることに違いはないが」
これからつくってのに嫌な情報を提供してくるなぁ。
俺は遠い目になった。
その情報はすでに仕入れてはいるのだが、こう、体験していた人から実感の伴ったお言葉をいただくと余計にリアリティが増して嫌な気分になる。珍しくクイタさんの顔が険しくなっているというのもあるのだろう。
俺は進行方向へ向けていた身体をクイタさんの方向に変えた。
「誠に不敬なことに、聖職者たちは天使の降臨や神のお告げなどの歴史があることを傘に着て、我こそは神だと言わんばかりに街を歩いている。法は通じぬ、彼奴等はそれを神の思し召しと言うて捻じ曲げる。行政を執り行おうにも神の後光を振りかざし、みずからの意見を通す。税すら零れ落ちる」
ずっと窓のそとを見ながら話していたクイタさんであったが、そこで言葉を区切ると俺のほうを向いてまっすぐ見つめてきた。
「――――神が、見ていないとでも思っているのだろうか」
俺をまっすぐ捕らえて紡がれたはずのその言葉はどこが現実味を失って、独り言のように車内に響いたのだった。
俺はなにも言えなかった。
その情報をはじめて聞いたとき、宗教問題はないにしてもこの世界でも、それを利用する人間はいるのだな、とかそういうことも考えたけれど、それ以上に思ったのだ。
神様が実際にいると確定している世界で、そんなことをやるなんて恐ろしくはないのだろうかと。
だって、俺にとってはすごく身近な存在なわけですからね。
そしてその恐れ知らずたちを相手に、俺は今から街を手中におさめなければいけないのである。
気が重くもなるだろう。
険しい顔をするクイタさんと一緒になって俺も窓の外を見つめることにした。
車窓から見える空は、曇っていた。
ヒッツェは、もう夏の終わりに近付いている。
いや、久々というほど久々ではないのだが、何しろカルシウス先輩に会ったりジョーン先生に会ったり学園長と話し合ったり色んな人をスカウトしたりとやることがたくさんあって忙しかったので、何だか長いこと経ったような気がしているのだ。
そして、クイタさんと現在対面しているのが、何と馬車の中であった。
うん、いま移動中なんだよ。しかも行き先はまさかのヒッツェ皇国。
どういうことだ、クイタさんを解放するのかって?
いやいやそれこそまさかである。
ここのところ貴族が駄目になってきて、王家が苦労させられていたエイズーム王国において、即位してすぐに嬉々として改革をはじめ反王家で馬鹿貴族であるものをばっさばっさと斬りまくった人物こそが我らが国王なんだよ?
そのキサム陛下がそんなことを許すわけないじゃないか。
では、なぜか。早速『最高指令官』としての仕事を属国で果たして来いというあれである。
人使いが荒いです。
簡単に言ってしまえば、属国の視察をちょっとして来いってことだな。
更に言えば、俺が転移の魔法を使えることもすでに知っているので、いつでも帰ってこれるし、いつでも行けるようになるだろとのことである。
人使いが荒いです。
そんなわけで今回のメンバーなのだけど――――
「……リル……ベリル最高司令官」
そんな風に頭のなかでひとり回想をしていると、クイタさんに話しかけられているのに気が付かなかった。何度目かの呼びかけであったのだろう。自分の名前を呼ばれているのだと認識した頃には、少し呆れたような目でクイタさんに見られてしまった。
「すみません。頭が留守になっておりました。いかがされました?」
「いや、随分と早い出立の上に、その、護衛の数が少ないがこれは大丈夫なのか?」
クイタさんは窓の外を見やって眉を下げた。
確かにそこに見える護衛の数は少ない。
街に近い街道を走っているときならまだしも、現在位置はヒッツェとの国境イザ川に向かう件の草原の真ん中である。魔獣も普通にいるようなノッパラに、こんな少人数でいて大丈夫なのかと不安になるのも理解できる。
「大丈夫ですよ。恐らく、貴方が認識している以上に護衛の方はいます」
「それは……!」
俺の言葉にクイタさんは察したようだ。そう、今回護衛というか俺らについてヒッツェ皇国に向かうのは、エイズーム王国黒騎士団の情報部隊の方々と、俺のスカウトした隠密能力のある方々である。
非常に隠密能力が高いため、一般人にはおよそその存在が悟られないのである。
それは今のクイタさんの発言でもわかっただろう。更に目的が視察なのである。
民衆の様子は勿論、これから支配する領域の情報を知らずしてどうする。
調査は何より大切なのである。
というわけで、選出は大体俺の独断と偏見により、隠密能力の高い人たちが選ばれている。かと言って戦力が劣っているかと言えばそんなことはない。少なくともプースさんもニャルさんも独力で魔の森を突破できる猛者である。
「それにですよ」
納得したような表情になって頷きながら窓の外を凝視しているクイタさんに向かって俺はにっこり微笑んだ。
「自分で言うのも難ですが、最高戦力が誰かお忘れになっておりませんか?」
本当自分で言うのもなんなんだけどな。
でもこの件に関してはもう自重しないと俺は決心したわけでして。
手加減するつもりはないので、どんな魔獣がでてきたところでたぶん大丈夫なはずだ。世の中に絶対はないが、しかしそれでも、エイズーム王国でもこのラナア大陸においても俺の戦力は最高峰である、とお墨付きもいただいている。――それこそ神からな。
なので、俺が負けるような魔獣がでてきたときというのは、人類滅亡とイコールなのである。
そんな事態になったらもうどうしようもないが。
はっとした表情になったクイタさんを尻目に、俺はちょっと溜息を吐きたくなった。
なんというか、このおっさん。のんきというか、なんというか。
順応力が高すぎやしないだろうか?
少し前まで自分を殺そうとまで動いていた相手に対して、警戒心がなさすぎるというか。
そんな俺の考えに気がついたのだろうか。クイタさんは俺の方を見ると苦笑した。
「いくら天賦の子と言えど、顔にはまだ出る歳か。いや、それだけわしを信用していただいたということかの? 顔にこんなんで皇帝なぞやっていけたのかと書かれておる。おおよそ警戒心がなさ過ぎるとでもおっしゃられたいのであろう」
そんなことを言われては俺はうっと詰まるしかない。まさに図星であるわけだし。
しかも、俺のポーカーフェイスは通じない様子ですし。
思わず無言になった俺にクイタさんは朗らかに笑った。凶悪な見た目の為にそれは悪巧みをしている悪役の高笑いにしか見えなかったが。
「なに、すぐにわかる。決して祖国でこのような醜態を曝すような物ではなかったぞ、わしは。――――警戒をしようにもこれでは不敬になろうて」
最後に小さく呟かれた意味深な言葉に、もちろんチートな聴力が聞き取ってしまったわけであるが――俺は首をかしげる他なかった。
◆
関所のフロワリソンはすぐに抜けた。
フロワリソンにはいい思い出がない。花瓶は窓際に置いてあるし、誘拐されちゃうし。あまつさえ、女装である。思わず、態度の良くないと専らの噂であるフロワリソンの兵士に同情されてしまうくらいのレベルの女装をして、更にはぶりっ子を演じたのである。
そんな思い出のつまった街に滞在をしていたくはない。
数名の情報部隊の人たちがこの隊から抜けてフロワリソンに残ったようだが、もともとが気配を消していた人たちであったので見た目には何ら変化はなかった。隊は現在センタチュールに向かってフロワール=センタチュール街道を突き進んでいた。
センタチュールはヒッツェの中央都市のひとつである。
前回はここで影の拠点を潰した。因縁の場所ではあるが、さすがにクイタさんの体力を考えるとずっと馬車の旅というわけにもいかないので、ここで一時滞在をすることを目標に馬車を飛ばしている。
馬たちも頑張ってくれている。まあ、この馬車も俺のつくった魔道具だったりするのだけどな。
軽量化と震動防止を刻んである。
世に出回ることになるのは何年後か。まあ今のところ広めるつもりはないのだが。
一応こんなんでもジョーン先生のもとで色々学んだわけでありまして。
安易に高度な魔道具を急速に広めても民にいいことないよとわかっているわけであります。
馬を扱っている人たちとか職にあぶれてしまうし、御者の役割も変わっていくだろう。それに魔道具扱いされてしまえば既存の馬車をつくっているところではつくれなくなってしまう。国の経済的バランスにも、生産体制にも、一部の俺のような特殊によって引っ張られる状況はよろしくないのだ。将来は明るくない。
更に言えば、これから『ヒッツェ皇国を完全に治める』という無理難題をこなさないといけないわけで。
移動速度の速さというアドバンテージをまだ手放すつもりはありません。
いずれは広めていきたいけどね。
だってお尻痛いし。
「センタチュールには教会があってな、そこの聖職者が膿となっておる」
窓の外に視線を向けていたクイタさんが唐突に口を開いた。
「皇都では貴族が――センタチュールでは聖職者が、この国では一部特権階級の身分層が街を我が物にし牛耳っておる。まあいずれにせよそのどちらもが膿となっていることに違いはないが」
これからつくってのに嫌な情報を提供してくるなぁ。
俺は遠い目になった。
その情報はすでに仕入れてはいるのだが、こう、体験していた人から実感の伴ったお言葉をいただくと余計にリアリティが増して嫌な気分になる。珍しくクイタさんの顔が険しくなっているというのもあるのだろう。
俺は進行方向へ向けていた身体をクイタさんの方向に変えた。
「誠に不敬なことに、聖職者たちは天使の降臨や神のお告げなどの歴史があることを傘に着て、我こそは神だと言わんばかりに街を歩いている。法は通じぬ、彼奴等はそれを神の思し召しと言うて捻じ曲げる。行政を執り行おうにも神の後光を振りかざし、みずからの意見を通す。税すら零れ落ちる」
ずっと窓のそとを見ながら話していたクイタさんであったが、そこで言葉を区切ると俺のほうを向いてまっすぐ見つめてきた。
「――――神が、見ていないとでも思っているのだろうか」
俺をまっすぐ捕らえて紡がれたはずのその言葉はどこが現実味を失って、独り言のように車内に響いたのだった。
俺はなにも言えなかった。
その情報をはじめて聞いたとき、宗教問題はないにしてもこの世界でも、それを利用する人間はいるのだな、とかそういうことも考えたけれど、それ以上に思ったのだ。
神様が実際にいると確定している世界で、そんなことをやるなんて恐ろしくはないのだろうかと。
だって、俺にとってはすごく身近な存在なわけですからね。
そしてその恐れ知らずたちを相手に、俺は今から街を手中におさめなければいけないのである。
気が重くもなるだろう。
険しい顔をするクイタさんと一緒になって俺も窓の外を見つめることにした。
車窓から見える空は、曇っていた。
ヒッツェは、もう夏の終わりに近付いている。
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