猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

咲良緋芽

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第三章

お手伝い始めました➁

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最初に「ん?おかしいな」と思ったのは、私がある休日にmilk teaに入り浸っていた時。

お客さんも増えて混んで来たのに一向に生田さんが出勤して来ない。私だけじゃなく、金さんも他の常連客もおかしいと思ってたみたいで、「どうして生田さんがいないの?大変じゃない?」って三毛さんにみんなが聞きに来てたの。

そしたら三毛さんが笑いながら「お休みなんです」って。

なんでこんな混む休日に休み!?って私腹が立って問い詰めたら、三毛さんもなかなか出勤して来ない事に頭を捻って連絡を入れたみたいで。

何て言ってたんですか?って聞いたら――、

『すみませ~ん。今日、法事があったのを忘れていたのでお休みさせて下さ~い』

と言って電話を切られたんだって。

それを聞いてみんなと三毛さんは苦笑いで済ませていたけど、私は輪を掛けて腹が立って我慢出来なくなっちゃって。

三毛さんの薄い反応を見て、なんか怪しい。これ、度々あった事なんじゃない?って、とことん問い詰めたら、やっぱりこれが初犯じゃない事が判明。

三毛さんの話では、働き始めて数日は良かったんだけど、段々と何かを言い訳にして休む日が増えて来たらしい。

どうして言い訳って分かったんですか?ってちょっと疑問に思って尋ねたら、たまたまお店の食材が切れて休憩時間に歩いて2分くらいのスーパーに買い物に行ったら、併設されているカフェスペースで生田さんが大笑いしながらお友達とお茶をしてたんだって。

ちなみに、その時に休んだ理由は『風邪を引いた』だそう。

それを聞いて私は怒り心頭に発して、「なんでクビにしないんですか!?」と捲し立てたら、「でも……」と渋る三毛さんを見て余計にイライラして、

「ああ、もう!三毛さんは料理に専念して下さい!ホールは私がやりますから!」

って強引に話を纏めて、もう勝手にお冷持って行ったりオーダー聞いたりしてたんだ。

最初は「実森さんに申し訳ない」って言っていたんだけど、私が勝手にやりますから!って押し切って、それから生田さんがドタキャンをした日には必ず手伝ってるの。

そのせいか、私がちょっと店内をウロウロしたりトイレに席を立ったりすると、生田さんがいるのに私に「注文いいですか?」って聞く人が増えて来ているんだよね。

私はまあ良いか、と「はい。どうぞ~」と注文を受けていると、ササっと生田さんが横から入って来て「この人は店員でもなんでもないんでわたしがお伺いします」って睨んで来るんだよ!?信じらんないよね!

自分がドタキャンなんかばっかりしてるからお客さんに『店員』として認識されてないだけなのにさ!


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