猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

咲良緋芽

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第二章

デートだ!③

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「そう言えば、誕生日プレゼントの紅茶、すっごく喜んでくれました!」

今までたまれない表情をしていた三毛さんが、私の言葉を聞いて「それは良かったです!」とこの話題にいつもの笑顔を見せた。

良かった。何とかこちらに意識を向かせる事に成功したようだ。

「はい。誕生日当日にちっちゃくパーティーをしたんですけど、その時さっそく安眠効果の紅茶を飲んでました」

楓の誕生日当日。

平日だったけど仕事も早く終わったし、楓もちょっと行き詰ってるって電話で言ってたから息抜きに二人だけでバースデーパーティーを開いた。

プレゼントを渡したら、

『こんなにいっぱい良いの!?』

とめちゃめちゃ喜んでくれて、私も嬉しくなっちゃった。

その日から今日まで、『今日はこれを飲みます。……はぁ~安らぐ~(*´∨`*)』と言う写真付きのメッセージが送られて来る様になった。

そのメッセージでちょっと、ほんとにちょっと(なんか悔しいからすごくとは言ってやらない)元気を貰っている。

「三毛さんのお陰です。ありがとうございます!」

「いえいえ、僕は助言をしただけですから」

「その助言のお陰で、良いプレゼント選びが出来たので三毛さんのお陰なんです!」

「そ、そうですか?」

「はい!」

三毛さんではなく、何故だか私が誇らし気に頷く。

「ありがとうございます。そんなに褒めて頂けると光栄です」

三毛さんは照れながら鼻の頭をポリポリと掻いた。

(あ、三毛さんのクセ発動)

『三毛さんは照れると鼻の頭を掻く』

(可愛いクセだなぁ)

なんだかほっこりしながら三毛さんを見ていたら、「お待たせいたしました~」と店員さんがパンケーキを運んで来てくれた。

「ごゆっくりどうぞ~」

店員さんがまたフリルをフリフリしながら去って行く。

……なんだろう。目の前に置かれたパンケーキは可愛いし美味しそうなんだけど、あのフリフリが段々鼻に付いて来た。

あんなにお尻を振って歩かなきゃいけないもんかね??

「可愛いですね」

まばたき一つせずに(意識してなかったけど気付いたら目がショボショボしてた)店員さんのフリフリを見ていたら三毛さんがそんな事を言うもんだから、

「えっ!?あのフリフリがですか!?」

とビックリして私は聞き返した。

あんなのが三毛さんは好きなのか?と。

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