猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

咲良緋芽

文字の大きさ
上 下
33 / 77
第二章

三毛さんとデート出来ちゃうらしいですよ!➁

しおりを挟む
余程このお店に行ってみたかったのか、私の言葉に三毛さんの顔がパァァァッ!と輝きを取り戻す。

「えっ!?いいんですか?」

「はい。そんな事ならお安い御用です!!」

「あ、ありがとうございます!!」

自分が無理を言っていると勘違いしている三毛さんは、頭を何度も下げている。

三毛さんは気付いていないかもしれないけど、私にしたら三毛さんとデートが出来るなんてご褒美以外にない。むしろ、私がお願いしたいくらいだ。

(やったー!今度こそ本当に三毛さんとデート!!)

心の中でガッツポーズをしていると、「じゃあ……」と三毛さんが再度携帯を差し出して来た。

「……?画像はさっき見せてもらいましたよ?」

私が首を傾げると、「あ、そうじゃなくて……」と言って三毛さんがモジモジし出した。

ん?なんだろう??

「あの、連絡先、交換しませんか……?」

「えっ……!?」

私は目が飛び出るんじゃないか、と言う勢いで驚いた。

「い、良いんですか?」

これ以上のご褒美があって良いの?

本当に?マジで??

恐る恐る尋ねると、三毛さんが満面の笑みを浮かべて頷いた。

「あ、あの、じゃあお願いします!!」

そう言って私も携帯を差し出し連絡先を交換した。

「では、詳細はあとでまた連絡しますね。実森さんも何かありましたら連絡下さい」

「はいっ!!」

「じゃあ、おやすみなさい」

「はいっ、おやすみなさいっ」

三毛さんがペコっとお辞儀をして来た道を帰って行った。

私は三毛さんが見えなくなるまで見送り、部屋の中へ入る。玄関を後ろ手に閉めた瞬間、私は足をバタバタさせながら喜びを全身で表現した。

「嬉しいよ~~~~!!」

本当は叫びたいけど、こんな時間に雄叫びなんて上げたら通報待ったなしだからこれくらいで我慢。

やっと……やっと手に入れた三毛さんのプライベートナンバー。知り合って半年、本当はずっと聞きたくて聞けなかった携帯番号がこんなにすんなり入手出来るなんてっ……!

プルプル震える手で三毛さんの番号をディスプレイに表示させる。大げさなんかじゃなく、本当に画面がキラキラ輝いて見える。

「これは宝物だ……」

携帯に頬ずりをする。しながらハタと気が付く。

「これって、特に用事がなくても連絡しても良いのかな?」

しまった。そこは何も聞かなかった。

「連絡網って事じゃない、よね……?」

靴も脱がずに玄関にしゃがんで、う~んと悩んだ。

悩んでいたら急に着信音が鳴ってビクッと体が飛び跳ねる。見てみると三毛さんからメッセージが届いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

囁きに滴る朝露

fireworks
恋愛
 毒草を扱う秘密の仕事を持つアールは、恋人のダージリンにその事実を隠しながら穏やかな時間を過ごしていた。  しかし、身体の異変が現れ始め、ダージリンとの日常が揺らぎ始める。  隠し続けた嘘と迫る死の影に、アールは徐々に追い詰められていく——。

俺の番が見つからない

Heath
恋愛
先の皇帝時代に帝国領土は10倍にも膨れ上がった。その次代の皇帝となるべく皇太子には「第一皇太子」という余計な肩書きがついている。その理由は番がいないものは皇帝になれないからであった。 第一皇太子に番は現れるのか?見つけられるのか? 一方、長年継母である侯爵夫人と令嬢に虐げられている庶子ソフィは先皇帝の後宮に送られることになった。悲しむソフィの荷物の中に、こっそり黒い毛玉がついてきていた。 毛玉はソフィを幸せに導きたい!(仔猫に意志はほとんどありませんっ) 皇太子も王太子も冒険者もちょっとチャラい前皇帝も無口な魔王もご出演なさいます。 CPは固定ながらも複数・なんでもあり(異種・BL)も出てしまいます。ご注意ください。 ざまぁ&ハッピーエンドを目指して、このお話は終われるのか? 2021/01/15 次のエピソード執筆中です(^_^;) 20話を超えそうですが、1月中にはうpしたいです。 お付き合い頂けると幸いです💓 エブリスタ同時公開中٩(๑´0`๑)۶

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

覚悟はありますか?

翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。 「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」 ご都合主義な創作作品です。 異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。 恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。

処理中です...