上 下
90 / 99

その後のお話―お誕生日会―③

しおりを挟む
「――じゃあ何?アタシはアタシに嫉妬してたわけ?」

「んー……、まあ…そーゆー事かな?」

雪ちゃんの話でハナちゃんと盛り上がっていた訳だから、あながち間違った例えじゃないかも。

若干の世間話はあったけど。

雪ちゃんが、はぁ……と肩を落とした。

「大人気なかったわね……ごめんなさい」

「まあ、もう終わった事だし、勘違いさせちゃった私も悪かった訳だし、気にせず食べてよ。ほら、おいしーよ?」

私は、ニカッと笑ってタマゴサンドを差し出す。

「ありがとう。……うん。美味しい。アタシ好みの味だわ」

「でっしょー?頑張ったんだから!ジャンジャン食べて、力付けてね!」

このあと私達は、お腹がパンパンになるまで食べて食べて食べまくった。



******



チャポン――……。

「ふぅ……」

私はお湯を張った浴槽に浸かり、浮かべているアヒルのオモチャを突いた。

「楽しかったな」

フフッ……とさっきのパーティーを思い出し、自然と笑みが零れる。

明日は日曜日でお休みだから、この後も久し振りに二人でのんびりしよう。

「色々あって大変だったし……」

ホント、あの事件の後は大変だった。

私は雪ちゃんと違って怪我をしていなかったから、その日の内にここに帰れた。

次の日は平日だったし、会社に行かない訳に行かなかったから出社したんだけど……。

あれ?私って芸能人?って位、質問攻めに合った。

一番多く聞かれたのが、

『オネエなのに本当に付き合っているの?』

だった。

まあ、そりゃそうだ。

誰だって不思議に思うよね。

もう、ある事ない事言われるのは面倒だし嫌だったから、私は素直に全部を話した。

その時のみんなの反応がまた新鮮で、大半の人達が「オネエだからって、何も変わらないのに」と言ってくれた。

その時は、ちょっと泣きそうになったな。

素直に全部を話したせいか、噂はたちまち消え、業務に支障をきたす程ではなかった。


笹木は、逮捕された。


雪ちゃんに怪我を負わせているし、私に対してストーカー行為をしていた訳だから、当然と言える。

笹木は素直に取り調べに応じているみたいで、雪ちゃんにした事、私にした事は許せないけど、ちゃんと罪を償ってこのまま改心してくれる事を願うばかりだ。



……そろそろあがろう。

考え事をしながら入ると、どうしても長湯になる。

私はのぼせる前に、浴槽から出た。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】あなたは知らなくていいのです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:19,789pt お気に入り:3,802

完璧王子と記憶喪失の伯爵令嬢

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,130pt お気に入り:6

酒の席での戯言ですのよ。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:22,888pt お気に入り:556

処理中です...