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その後のお話―お誕生日会―①

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「雪ちゃん、退院&お誕生日、おめでとー!カンパーイ!!」

「カンパーイ!」

「……………」

私とハナちゃんは、ワインの入ったグラスを、チンチンッ♪とぶつけた。

今日は、色々あって出来なかった雪ちゃんの誕生日と、退院のお祝いを兼ねたパーティー。

あの騒動のあと私はその日に帰れたんだけど、雪ちゃんは結構傷が深くて2週間もの入院生活を送る事となった。

あの時、平気な顔して私が目覚めた時に隣に居たのは、先生に無理言ってお願いしたらしい。

『江奈が目覚めた時にアタシがそばにいないとあの子死んじゃうわ!』

って。

まあ、雪ちゃんが言ってる事はあながち間違いでもなかったりするんだけど。

――で、その間に雪ちゃんの誕生日は過ぎちゃったワケで……。

でもせっかく計画した事だからって、晴れて退院の今日、お祝いをする事になった。

「……ん~!美味しーっ♡ね、雪ちゃん、ハナちゃんが持って来てくれたこのワイン、すっごく美味しいよ!」

そう言って、まだ口を付けていない雪ちゃんに飲んでみる様、促す。

「そうでしょ~?このワイン、雪ちゃんのおめでたい日だからって、ワザワザ取り寄せたんだから~♡」

ハナちゃんが、うふふ♡と微笑む。

「さっすがハナちゃん!気が利くね!」

「……………」

ハナちゃんと二人で盛り上げっていると、雪ちゃんが無言でタンッ!とグラスをテーブルに置いた。

で、スタスタスタ……と、ソファーの方へ歩いて行く。

そのままソファーに腰を下ろし、テレビを見始めてしまった。

ブスっとした顔で、こちらに目もくれない。

……なんだろう、この空気。

せっかくのお祝いの日なのに、なんだか重たい空気がさっきから流れている。

その原因が今日の主役にあるって事は、私もハナちゃんも気付いていた。

何にも言わないで仏頂面でテレビを見続けている雪ちゃん。

何がそんなに気に食わないんだろう?

「雪ちゃ……」

言い掛けると、後ろから肩にポンッと手を置かれ振り向くと、ハナちゃんは首を横に振って『やれやれ』みたいな顔をしていた。

「ハナちゃん?」

「江奈っち、アタシ帰るわ」

「え!?」

「雪ちゃん、お邪魔しました」

そう言ってハナちゃんはバッグを持って、さっさとリビングを出て行ってしまった。

「え?え?ちょ、ハナちゃん!?」

私は雪ちゃんと閉まり掛けるリビングのドアとを交互に見る。

雪ちゃんは、ツーンとした態度でハナちゃんを見送りもしない。

「……もうっ!」

私はハナちゃんを追い掛けた。
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