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ドキドキ初デート③
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「はぁ~。楽しかったですね、イルカショー。かなり濡れちゃいましたけど」
私達は、濡れた服と髪の毛をハンカチでパタパタと拭いた。
色々なエリアで魚を見た後、アナウンスされたイルカショーを意気揚々と見ていたらこんな事態になった。
「こんなに濡れるとは思わなかったわね」
「本当ですね」
ふふっと笑う。
前がガラガラに空いていたから、特等席ですね、なんてはしゃいでいたんだけど、こうなるのが分かってたから皆はまあまあの距離から見ていたんだ。
でも、それも含めて楽しかった。
「とりあえず全部見て回ったわね」
「そう、ですね」
順路では、イルカショーの会場を出るとお土産コーナーがあり、その後は出口だけだった。
お土産コーナーは、家族連れやカップルでワイワイと賑わっている。
ざっと見渡すと、ここのメインなのか、イルカグッズが沢山並んでいた。
ウズウズしている私に気が付いたのか、「見て行く?」と雪ちゃんがクスクスと笑いながらお土産コーナーを指差す。
「はい!」
私は目を輝かせ、お土産コーナーに突進した。
イルカショーのイルカ達が凄く可愛かったので、自分用と咲希子に何かお土産を買って行こう、とウキウキする。
「わぁっ……」
大小様々な大きさの物が取り揃えてある。
箸置きやお茶碗。ノート、シャープペン、ストラップ。などなど。
その中で一際光を放っていたのが、私の背丈(155cm)と変わらないんじゃなかろうか?と言う位大きいイルカのぬいぐるみ。
「ほわ~。すごーい……」
これ、欲しい。
触り心地も弾力も可愛さも抜群で、ぬいぐるみ収集家の私としては手に入れたい代物だった。
「いくら位するんだろう……」
5千円位だったら……と、値札を見る。
一、十、百、千……。
「うっ……!」
さ、さんまんはっせんえん!?
え、さんまんはっせんえんって、あのさんまんはっせんえん!?
目を見開いて、もう一度桁を確認する。
何度値札を数え直しても、三万八千円だった。
撃沈。
あっさりと予算オーバー。
「うわっ、何その値段」
「え?……わぁっ!」
ガクリ…と項垂れていた背後からニュッと顔を出されて、ビックリした。
「えげつない値段ね。……何?欲しいの?」
「はい……あ、いえ、流石にこんな値段じゃ手が出ないです」
ナハハ、と笑いながら元の位置にぬいぐるみを戻す。
「ふーん……」
雪ちゃんが、ぬいぐるみの顔をジーッと見つめている。
「どうかしました?」
数秒にらめっこをしたかと思ったら、ガシッ!とおもむろにイルカのぬいぐるみを抱え、レジの方へと歩き出した。
「へ……?」
ポカーンとしている私をよそに、テキパキとお会計を済ませ、私の元へと戻って来る。
「はい」
「……へ?」
ムギュッと、ぬいぐるみを私に押し付けた。
「欲しかったんでしょ?あげるわ」
雪ちゃんの発言に、私はヒュッ!と息を飲んだ。
「い、いただけません!こんな高価な物っ!」
私は高速で、ブンブン!と首を横に振った。
だって、三万八千円だよ!?
簡単に貰える金額じゃないよ!
「でも、もう買っちゃったし、アタシはいらないし」
「えぇぇぇ……」
「いいから受け取りなさいよ。今日の記念なんだから」
ホラ!と、再度ぬいぐるみをギュッと抱えさせられる。
私はプルプルと震える手で、ぬいぐるみをギュッと抱えた。
「……ありがとうございます!凄く、凄く嬉しいです!」
フワフワもふもふなぬいぐるみに顔を埋めてお礼を言う。
「どういたしまして」
雪ちゃんの、満足そうな声が聞こえる。
私は、顔を上げられないでいた。
だって、泣きそうになっていたから。
私達は、濡れた服と髪の毛をハンカチでパタパタと拭いた。
色々なエリアで魚を見た後、アナウンスされたイルカショーを意気揚々と見ていたらこんな事態になった。
「こんなに濡れるとは思わなかったわね」
「本当ですね」
ふふっと笑う。
前がガラガラに空いていたから、特等席ですね、なんてはしゃいでいたんだけど、こうなるのが分かってたから皆はまあまあの距離から見ていたんだ。
でも、それも含めて楽しかった。
「とりあえず全部見て回ったわね」
「そう、ですね」
順路では、イルカショーの会場を出るとお土産コーナーがあり、その後は出口だけだった。
お土産コーナーは、家族連れやカップルでワイワイと賑わっている。
ざっと見渡すと、ここのメインなのか、イルカグッズが沢山並んでいた。
ウズウズしている私に気が付いたのか、「見て行く?」と雪ちゃんがクスクスと笑いながらお土産コーナーを指差す。
「はい!」
私は目を輝かせ、お土産コーナーに突進した。
イルカショーのイルカ達が凄く可愛かったので、自分用と咲希子に何かお土産を買って行こう、とウキウキする。
「わぁっ……」
大小様々な大きさの物が取り揃えてある。
箸置きやお茶碗。ノート、シャープペン、ストラップ。などなど。
その中で一際光を放っていたのが、私の背丈(155cm)と変わらないんじゃなかろうか?と言う位大きいイルカのぬいぐるみ。
「ほわ~。すごーい……」
これ、欲しい。
触り心地も弾力も可愛さも抜群で、ぬいぐるみ収集家の私としては手に入れたい代物だった。
「いくら位するんだろう……」
5千円位だったら……と、値札を見る。
一、十、百、千……。
「うっ……!」
さ、さんまんはっせんえん!?
え、さんまんはっせんえんって、あのさんまんはっせんえん!?
目を見開いて、もう一度桁を確認する。
何度値札を数え直しても、三万八千円だった。
撃沈。
あっさりと予算オーバー。
「うわっ、何その値段」
「え?……わぁっ!」
ガクリ…と項垂れていた背後からニュッと顔を出されて、ビックリした。
「えげつない値段ね。……何?欲しいの?」
「はい……あ、いえ、流石にこんな値段じゃ手が出ないです」
ナハハ、と笑いながら元の位置にぬいぐるみを戻す。
「ふーん……」
雪ちゃんが、ぬいぐるみの顔をジーッと見つめている。
「どうかしました?」
数秒にらめっこをしたかと思ったら、ガシッ!とおもむろにイルカのぬいぐるみを抱え、レジの方へと歩き出した。
「へ……?」
ポカーンとしている私をよそに、テキパキとお会計を済ませ、私の元へと戻って来る。
「はい」
「……へ?」
ムギュッと、ぬいぐるみを私に押し付けた。
「欲しかったんでしょ?あげるわ」
雪ちゃんの発言に、私はヒュッ!と息を飲んだ。
「い、いただけません!こんな高価な物っ!」
私は高速で、ブンブン!と首を横に振った。
だって、三万八千円だよ!?
簡単に貰える金額じゃないよ!
「でも、もう買っちゃったし、アタシはいらないし」
「えぇぇぇ……」
「いいから受け取りなさいよ。今日の記念なんだから」
ホラ!と、再度ぬいぐるみをギュッと抱えさせられる。
私はプルプルと震える手で、ぬいぐるみをギュッと抱えた。
「……ありがとうございます!凄く、凄く嬉しいです!」
フワフワもふもふなぬいぐるみに顔を埋めてお礼を言う。
「どういたしまして」
雪ちゃんの、満足そうな声が聞こえる。
私は、顔を上げられないでいた。
だって、泣きそうになっていたから。
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