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8巻
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聖アルトリス王国の首都、エディウス。
王派と神殿派の権力争いが拮抗する中でも、住民達の生活には何ら影響がない。
しかし、一部の住民は何となく嫌な雰囲気を察知し、根拠のない不安を感じてもいた。
利に聡く噂や情勢に敏感な商人達の中には国外脱出を考えた者もいたが、ならば何処に逃げればいいのかというのが問題であった。
何処よりも自由で平等といわれるキャナル王国では内乱が長引き、ジオル森王国には魔族が出入りしているという。サイラス帝国では商売の新規参入がなかなか難しく、コネでもなければ拠点を構えるには不向きだ。
あれこれ考えた結果、商人は結局国内に留まり、彼らや商会によって流通も正常な状態を維持していた。
なかでも画期的な商品を開発し続け、国外との取引も活発に行っているティアノート商会は、聖アルトリス王国で一、二を争う商会へと成長を遂げた。
その商会の主の娘であるシャロンには多数の縁談が持ち込まれ、最近は王派や神殿派の権力を匂わせるものも増えてきていた。
一方で、エディウス冒険者学校にもそうした輩の手が伸び、最近では貴族の息子の編入が相次いでいる。
「……ふむ、こうして情報をまとめてみると……実にどうしようもない状況だな」
魔族の国、ザダーク王国の諜報員アインは、手元のメモを見ながら呟く。
王派と神殿派のどちらが主導権を握るかは分からないが、いずれにしても大して違いはないだろう。
神殿派のほうがより過激と思われるが、王派が穏健というわけでもない。
結局は今の状況を維持してもらったほうが、現時点では都合がいいように思える。
ただ問題があるとするならば、両派に担ぎ上げられた聖王アルジュエルと、大神官エルヘイルだ。
どちらも公的には沈黙を貫き、さらに警備の厳重な場所にいるため、アインも行動を探ることができない。
仕方がないといえば、仕方がない。魔族には元々諜報活動などという概念すらなかったため、そのための技術は誰も持っていない。
アインとて、もとより持っている能力を活かして、何とか潜入活動をできているに過ぎないのだ。
「……ふう」
溜息をついて、夜空を見上げる。
アインが座っているのは、裏通りの空き家の屋根の上だ。
徐々に人が増えてきたとはいえ、エディウスの街の裏通りには未だにこうした空き家が多い。
自然と、アインのような者がいるには丁度いい場所になっているのだ。
「……またか」
何かが上ってくる気配に、アインは再度の溜息をついた。
いつも場所を変えているというのに、毎回何処からともなくやってくる。
「よっと……! あ、いたいた。こんばんは、アイン」
「お前も飽きない奴だな、カイン。もうアルヴァは出てこないだろうに」
エディウス冒険者学校に通う、カイン・スタジアスだ。
この間までは謎の魔族アルヴァがカインを狙うかのように毎晩出没し、アインもその討伐に協力していた。
それは、ザダーク王国の国王ヴェルムドールの管理下になく、人類領域で不穏な動きを見せるアルヴァを調査するため、そして奴らに狙われるカインの正体を探るためでもあった。
しかし、ある時期を境にしてアルヴァは出てこなくなり、だからカインの優先度はアインの中で下がっていたのだが……そんなことはお構いなしに、カインはアインに絡んでくる。
しかも、現在調査中の案件で女の重要人物に近づこうとすると、高い確率でカインが関係してくるため、彼との接触の機会が一向に減らないのは仕方ないともいえた。
「確かにアルヴァは出てこないけどさ。最近は違うのが出てるだろ?」
「……物好きな奴だ。お前が狙われているわけでもなかろうに」
ゴブリンアサシン――そう称されるゴブリン達が近頃、エディウスにポツポツと出没している。
黒装束を纏い、ゴブリンとは思えぬ身体能力で飛び回るゴブリンアサシン達。
見つけた端からアイン達の諜報部隊が潰しているので大きな騒ぎにはなっていないものの、目の届かない場所では暗殺が遂行されているとも聞く。
奴らの実態は何処かの暗殺組織がゴブリンを取り込んだ結果だとも言われているが、実際のところは不明だ。
「そんなことはないさ。一応僕だって、男爵家の息子だからね」
「地方貴族だろうが。中央の権力争いに何の関わりがある?」
「そ、そりゃそうだけどさ」
そう言ってはみたものの、アインは知っている。
エディウス冒険者学校でも一番の有望株、カイン・スタジアス。
地方貴族とはいえ善政を敷く男爵家の息子にして、文武両道。
冒険者の卵とは思えないほどの数々の実績を挙げ、学内の闘技大会でも優勝。しかも、その大会に聖アルトリス王国の第二王女がカインの応援に来ていたというのも有名な話だ。
さらには、ティアノート商会の発展にもカインは貢献しているという。
噂レベルの話ではあるが、そんなカインには叙勲が検討されているらしい。
それを聞いたアインは、カインという有望株を手放さないための王派によるエサ撒きかとも考えたが、カイン本人に聞いてみると何とも微妙な表情をしていた。何かをやらかした自覚はあるらしいが、いくら聞いても口を割りはしなかった。
「……で、何しに来た」
「んー……アインに会いに、かな?」
それを聞いて、アインはうんざりとした顔をする。
「……お前な、そういうのはシャロンやセイラに言ってやれ。どうせセイラは今夜もお前を探してウロウロしてるだろう?」
「そ、そんなことないと思うけど……ほら、もうアルヴァも出ないし」
露骨な溜息をつきながら、アインはカインから視線を外す。
いないはずがない。
カインが夜にあちこち出歩いているのは、もう公然の事実なのだ。さらに、彼は高い確率で何らかの事件に遭遇する。
常々からカインの力になりたいと言っている冒険者学校の友人セイラが、そんなカインを放っておくはずがないのだ。
今のところ、この近くにはいないようだが……
「それにさ、今日はアインに会いにきたんだ」
「それはさっき聞いた」
「あ、いや。そうじゃなくて、話があるっていうか……」
何やら言いよどむカインにようやく違和感を覚えて、アインは彼に向き直る。
「話?」
「あ、うん」
辺りをキョロキョロするカイン。どうやら他の人間に聞かれたくない話なのだろう。
「心配するな、この付近には誰もいない」
「そ、そっか」
「早く言え。私は暇じゃない」
アインが促すと、カインは躊躇いながらも口を開く。
「えっと……さ。前に将来の話をしたと思うんだけど」
「そうだな」
確かに、聞いた覚えがある。最近選択肢が異常に増えすぎて悩み始めている、と。
確かに、カインの選択肢は無数にあるだろう。貴族、商人、冒険者……時々第二王女とお忍びで会っているところを思えば、ひょっとすると王家に入るという選択肢もあるのかもしれない。
あるいは、【命の神の加護】を持っているのだから、神官という道だってある。
「僕、やっぱり冒険者になろうと思う」
「そうか」
しかし、その選択肢を実現するのは難しい。各勢力がカインを逃がすまいと動くだろうし、色んな手で枷をつけようとするのは間違いないのだ。
「どうしてか、聞かないんだ?」
「聞いてどうする。それに、理由なら分かりきっている」
誰かの役に立ちたい。
常々、カインはそんなことを言っていた。
どんな道でも誰かの役には立てる、とアインは言った覚えがあるが……まあ、恐らく冒険者ならば大多数の人の力になれると考えたのだろう。
「だが、冒険者ギルドは今ガタガタだろう。まともに活動できるのか?」
冒険者ギルドの本部機能が移転した先のキャナル王国は今、内乱の真っ最中だ。
一時期はそれで大混乱に陥り、現在は少なくとも表面上は正常な状態を取り戻しているように見えるが、裏がどうなっているかはよく分からない。
「うん、この前聞いたんだけど……サイラス帝国に再移転したらしいんだ。それで本部機能が正常に戻ったらしい」
「そうか」
アインが頷き、屋根の上には沈黙が訪れる。
ホウ、ホウと鳴く鳥の声だけが響き……やがて、アインが口を開く。
「まあ、何にせよお前の選んだ道だ。私が……」
「アイン」
私が口を出すことじゃない、と言いかけたが、カインの言葉で遮られる。
「……僕の、パーティメンバーになってくれないか?」
その言葉に、アインの思考が停止した。
「今すぐ返事してくれなくてもいいんだ。ちょっと考えておいてよ」
そう言い残すと、カインは微動だにしないアインを置いて去っていった。
2
「くっ……風よ!」
「遅ぇっ!」
仮面をつけ白い衣を纏った男の輝く剣が、アインを斬り裂く。
カインが去った後、突如として襲撃してきた男。正体を隠してはいるが、この剣術は神殿兵だろう。
普通であれば、アインが人間などに後れをとることはない。しかし、この男は明らかに人間の域を超えていた。
激しい痛みとともに、アインの中から力がゴッソリと抜けていくのが分かる。男の魔法剣に秘められた強大な魔力が、アインの中の魔力を削ったようだ。
「ぐっ……ああっ……!?」
「トドメだ! ……って、うおおっ!?」
再度剣を振り下ろそうとする仮面の男を、突如飛来した光線が掠めた。
それを回避した仮面の男の目の前でアインが屋根から転がり落ちていくと同時に、光線の飛来した方向から叫び声が聞こえてくる。
「兵士さん、こっちです! 全身真っ白の変態が刃物で女の子に斬りかかって!」
「んなっ……!」
仮面の男が慌てて声とは反対側の方へと飛び降りると、桜色の髪の少女が現れる。
「こちらへ!」
「くっ……すまない、クゥ! 仕留め切れなかった!」
少女に手を引かれるようにして、仮面の男は路地裏へと消えていく。
男達の気配が遠ざかっていくのを確認して、先程兵士を呼んだ男はふうと安堵の息を吐いた。
「……アイン、アイン! 大丈夫か!?」
「……ぐっ、カイン、か……」
「戦闘音が聞こえたから、慌てて戻ってきたんだ。間に合わなくてごめん!」
返答する前にカインはアインを抱え上げ、走る。
「私を助けるのはやめておけ……アレは恐らく、神殿関係者だ。お前の将来に、影響する、ぞ……」
「知ったことか! ここでアインを見捨てたら……きっと僕は、何にもなれない! それに……僕はまだ、答えを聞いてない!」
カインは叫び、路地裏を抜けて大通りへと出る。
通りがかった人が振り向いてギョッとしているが、カインには気にした様子もない。
困った奴だ、とアインは思う。それに、アインはパーティのことは断ろうと考えていたのだ。
「カイン……忠告するぞ。これ以上私に関わるな。お前が……不幸になるだけだ」
そう呟いて、アインは意識を手放した。
それに気づきながらも、カインは全力で夜道を走る。
襲撃者が何者かは分からない。
カインのハッタリで逃げたということは、襲撃を表沙汰にしたくない何者かであるということは予想できる。
しかし、アインの言葉が引っかかっている。
神殿関係者――何故彼らがこのタイミングでアインを狙うのか。
アインが人に言えない事情を抱えているのは知っていた。
あえて詮索しなかったが、何処かの国の諜報部隊所属であろうという予想はついている。
しかし、アインはこの国で何か悪事をはたらくというわけでもなく、むしろこの国に害をなすアルヴァやゴブリンアサシンなどを排除しているのだ。カインもそれに協力してきたから、よく知っている。
だから、というわけではないが、カインは、アインの人となりはよく分かっているつもりだ。
いつでも冷静で、頼りになって。そのわりには妙なところで世間知らず。
そして……決して、悪人ではない。
「……!?」
ピタリと、カインの足が止まる。
大通りなのに、人通りが急になくなった。まるでこの一帯だけ人払いされたかのように、だ。
「権力者って、怖ぇーな。簡単に道の封鎖とかできちゃうんだからさ」
仮面の男が道の向こうから進み出てきた。
それを見て、カインはチッと舌打ちをする。
そうだ。相手が本当に神殿関係者ならば、こういう事態も想定するべきだった。
神殿守護騎士団の権威を使って、カインの進行方向を一部封鎖して人払いをしたのだ。
「背中のそいつを渡してくれ」
「断る」
カインは即座に答えて、辺りの気配を探る。
一人、二人、三人……あちこちに並ではない力を感じる。恐らく神殿守護騎士団だろう。
「うーん……困ったな」
仮面の男は本当に困ったようにそう言うと、どうしたもんかと言いながら頭を掻く。
「……まあ、説明するしかないか」
深い溜息をついて、仮面の男はカインに向けて一歩踏み出した。
「お前には可憐な女の子に見えてるのかもしれないけどさ。実はそいつ、魔族なんだよ。しかも、随分前からこの国に潜入していたらしい」
「……」
カインは、答えない。
それを驚愕ととったか、仮面の男はさらに一歩近づく。
「驚くのも無理はない。俺だって何も知らなければ、お前と同じことをしたさ」
仮面の男は、カインに向けて手を差し出す。
「お前は騙されてただけだ。何も悪くないさ。だから、そいつを渡してくれ」
「渡したら、どうするつもりだ?」
「心配するな。非道な真似はしないし、俺が許さない。俺を信じ……」
「殺すんだろ?」
カインの言葉に、仮面の男は返答に詰まった。しかし、すぐに困惑した声色で言葉を紡ぐ。
「おいおい、だからそいつは魔族なんだよ。そんな姿してるからって、騙されるなよ」
この世界に生まれ落ちてから今この瞬間まで、カイン・スタジアスには一度も曲げたことのない信念がある。
女の子を見捨てる男にだけは、絶対にならない。
その信念だけは曲げずに、突き進んできた。爵位が上の貴族の息子と決闘したこともあったし、凶悪な盗賊団のアジトに剣一本で乗り込んだこともある。
「アインのことは、君なんかより僕のほうがよく知ってる。アインは見た目通りの、可愛い女の子だ」
カインの言葉に、仮面の男はあちゃー、と額を押さえる。
「困ったな、これ。どうすりゃいいんだよ」
「簡単だよ。君が、そこをどけばいい」
カインが睨みつけると、仮面の男はふうと小さく息を吐いた。
「……そりゃできないな。どうしてもお前がそいつを渡せないって言うんなら、俺は力ずくで奪うしかない」
その言葉に、カインはアインをそっと下ろして横たえる。
「お、やっと分かってくれ……」
カインは黙って、腰の剣に手をかけた。
それを見た仮面の男は腰の剣に触れようとして、躊躇い……カインを正面から見据える。
「……やめろよ。それを抜いたら、冗談じゃ済まなくなるぞ」
「僕は最初から本気だ。君こそ冗談で済ませたいなら、お願いだからどいてくれ」
「できないって言ってんだろ……なあ、頼むよ。魔族の脅威から人間を守るためにお前みたいな人間と戦わなきゃならないなんて、冗談にもならねえよ」
カインは剣にかけた手を放さないまま、仮面の男を見つめる。
「大体、魔族は悪だなんて……その前提からおかしいだろ」
「おかしかねぇよ。魔族に一度滅ぼされかけてるんだぞ? どうして悪じゃないなんて思えるんだ」
「今は、ジオル森王国のように上手くやってる国だってある」
「洗脳されてる可能性だってある。過去の魔王は、そういう力を持っていたって話だろう?」
そこまで言って、仮面の男はハッと息を呑んだ。
「……そうか。お前が洗脳されてる可能性もある、か」
「どうしてそんな結論になるんだよ」
カインは溜息をつきながら、仮面の男との距離をとった。
対する仮面の男も、ここでようやく剣に手をかける。
「……最後に聞くぞ。そいつを置いていく気はないか?」
「ない」
「そうか……残念だ!」
仮面の男は言うと同時に剣を抜き、カインの眼前へと迫る。そして剣を振ると見せかけて、蹴りを放った。
しかしカインはそれをあっさりと回避し、横薙ぎに剣を振るう。
「うおっとぉ!? 危ねえ!」
上体を反らして避けた仮面の男は、バランスを崩し、たたらを踏む。
「……くそっ、本気で剣振ってきやがったな!」
「当然だろ……今さら何言ってるんだ!?」
カインの追撃をいなしながら仮面の男は下がっていき、数撃目で、思い切り後方へとジャンプする。
「そっちがそういうつもりなら仕方ねえ……!」
仮面の男は再度剣を構えると、猛スピードでカインへ突進する。
「でぇりゃあ!」
ガオン、という凄まじい音とともに放たれた一撃を、カインは剣で受け流すようにして回避。
オウガも上回るほどの重い一撃に、カインの腕に受け流しきれなかった衝撃がビリビリと伝わってくる。
確かに凄まじい身体能力を持っているが、剣術は並だ。
しかし、どうにも拭えない違和感がある。まるで自分の力を扱いきれていないような、そんな感じだ。
一撃ごとに、仮面の男の剣閃が鋭くなってくる。
「お前……マジで強ぇな」
「お褒めにあずかり光栄……だね!」
一瞬の隙をついて、カインは仮面の男の腹に蹴りを入れた。
かなり力を入れたのに仮面の男は吹き飛ばず、数歩下がっただけで再びカインへと向かってくる。が、それで問題ない。
「電撃!」
「があっ!?」
カインの掌から放たれた電撃が、仮面の男に命中し痺れさせる。
当たっても死ぬことはないが、しばらく動けないだろう。
カインは剣を下ろし、ようやく一息ついた。
「悪いね、しばらく寝ててもらうよ」
「お前が、な!」
動きを止めたかに見えた仮面の男。
しかし、仮面で表情が読めなかったことがカインの油断を誘った。
男は、驚いて動きを止めただけに過ぎなかったのだ。
それにカインが気づいた時には、凄まじい威力の蹴りが叩き込まれていた。
「ハッ、お返しだ! ……電撃!」
仮面の男の放った電撃は、本人の想像以上の威力となって放たれた。
人間であれば一撃で黒焦げとなってしまうような稲妻。
その電撃が自分に襲いかかってくるのを、カインは見る。
電撃に限らず、電撃系の魔法はとにかく速度がある。事前に魔法障壁を張っていなければ、防げないほどに、だ。
だから、カインには理解できた。
防げない。
相手を行動不能にできなかった、自分のミスだ。でも、せめてアインは――
そう考えて背後へと視線を送った時、迫ってくる一つの影をカインは見た。
その影は、怒りの表情とともに槍を投げ放つ。
カインの眼前の地面に突き刺さった槍に、仮面の男の電撃が命中。
電撃の全ては槍を通して、拡散して消えていく。
驚いた様子の仮面の男とカインの間に進み出た少女は、地面に突き刺さった槍を引き抜いた。
「カインを探して走り回っていたら……何、この状況。アインは気絶してるし、カインは危機一髪だし。おまけに、全身真っ白の変態がカインを殺そうとしてるし。わっけ分かんない」
「え……おい、お前どうやって此処に? 此処は封鎖されて……」
呆然と呟く仮面の男に、少女は槍を向ける。
「強行突破したに決まってんじゃん。僕を誰だと思ってるのさ」
「え、いや……知らねえけど」
「あ、そう。でも君に名前覚えてもらう必要もないか」
ザッ、と進み出た少女――セイラ・ネクロスは槍を構え直し、仮面の男へと向ける。
「僕はカインみたいに優しくないんだから。指の数本で済むと思わないでよ?」
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