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有紗との情交の翌日。
毎週月曜日に行うと約束してしまったもの。強要された手前、平気に翌日にも学校がある。どうせなら休日にしてほしいが、私がそんなことを頼めるような立場ではない。いや、ここで意見も言えないような立場だと有紗にこんな事やめよう、なんて言えないだろう。そういえば、有紗は何故こんな事をしてくるのだろうか。いずれわかる、と言われて言葉を濁されてから、何もヒントとなる様なものはない。
「おっはよー!」
一人で歩いていた所、体を後ろから軽めに押される。朝から元気がよく、声が大きい。
「おはよ、夏乃子……」
「なんか今日元気なくない?」
「いつもこんなんでしょ。あと夏乃子がうるさすぎるだけ」
「え~、何それ。でも、今日は本当に元気ない気がするよ。何か悩み事?」
そう言うと夏乃子は私の前に回り込み、顔を覗き込む。
長いまつげ、大きい目、少し化粧をしているだろうが、それを抜きにしても整った顔。男子と仲がいいが、その美貌に惹かれて寄ってくる人も多いだろう。
「……何も無いから」
「え、何今の間。絶対何かあるでしょ」
「何も無いから! 夏乃子変に心配しすぎ。私の事大好きじゃん」
「あっはは~ばれた? 大好き大好き~」
「よるなよるな!」
腕を組まれ、顔を寄せられる。正直、このような女子高生特有のノリはあまり好みではない。まあ、冗談だと分かってはいるのだが。
腕を組まれながら他愛もない話をする。数学の宿題がどうとか、英語の小テストがあるとか、直しがどうとか。そうやって話しながら歩いているとすぐに学校に付き、先生に挨拶をして、それから下駄箱で靴を入れる。
──入れようと、した。
「あれ、なにこれ」
白い封筒に包まれたもの。まあ十中八九手紙だ。
「え、何!? ラブレター!?」
「今時下駄箱にラブレターって、そんな事ある?」
「開けて開けて」
言われるがまま、その場でその封筒を開ける。紙が一枚。それを広げるとただ一言、
『今日授業が終わったら、中庭に来てください。伝えたい事があります』
そう、書いてあった。
「私、部活あるんだけど」
「え、最初の感想がそれ? 多分これ告白されるよ」
「ていうか、中庭って人いないの? 結構人が通るイメージあるんだけど」
「私先生とかみんなに伝えておくね。華恋は告白されてるので遅れてま~すって」
「行く前提?」
「当たり前でしょ」
め、めんどくさい。何故顔も名前も分からない人から呼び出されなきゃいけないのだ。それで私の部活時間が減るのだろう? 割に合わない。
「めんどくさ……」
「もっと元気持って、告白だよ!」
「顔が良ければなあ……」
「あはは、ファイト、華恋」
「何で私が応援されてるのよ」
何だか帰りたくなってしまった。授業後が憂鬱だなぁ……。
毎週月曜日に行うと約束してしまったもの。強要された手前、平気に翌日にも学校がある。どうせなら休日にしてほしいが、私がそんなことを頼めるような立場ではない。いや、ここで意見も言えないような立場だと有紗にこんな事やめよう、なんて言えないだろう。そういえば、有紗は何故こんな事をしてくるのだろうか。いずれわかる、と言われて言葉を濁されてから、何もヒントとなる様なものはない。
「おっはよー!」
一人で歩いていた所、体を後ろから軽めに押される。朝から元気がよく、声が大きい。
「おはよ、夏乃子……」
「なんか今日元気なくない?」
「いつもこんなんでしょ。あと夏乃子がうるさすぎるだけ」
「え~、何それ。でも、今日は本当に元気ない気がするよ。何か悩み事?」
そう言うと夏乃子は私の前に回り込み、顔を覗き込む。
長いまつげ、大きい目、少し化粧をしているだろうが、それを抜きにしても整った顔。男子と仲がいいが、その美貌に惹かれて寄ってくる人も多いだろう。
「……何も無いから」
「え、何今の間。絶対何かあるでしょ」
「何も無いから! 夏乃子変に心配しすぎ。私の事大好きじゃん」
「あっはは~ばれた? 大好き大好き~」
「よるなよるな!」
腕を組まれ、顔を寄せられる。正直、このような女子高生特有のノリはあまり好みではない。まあ、冗談だと分かってはいるのだが。
腕を組まれながら他愛もない話をする。数学の宿題がどうとか、英語の小テストがあるとか、直しがどうとか。そうやって話しながら歩いているとすぐに学校に付き、先生に挨拶をして、それから下駄箱で靴を入れる。
──入れようと、した。
「あれ、なにこれ」
白い封筒に包まれたもの。まあ十中八九手紙だ。
「え、何!? ラブレター!?」
「今時下駄箱にラブレターって、そんな事ある?」
「開けて開けて」
言われるがまま、その場でその封筒を開ける。紙が一枚。それを広げるとただ一言、
『今日授業が終わったら、中庭に来てください。伝えたい事があります』
そう、書いてあった。
「私、部活あるんだけど」
「え、最初の感想がそれ? 多分これ告白されるよ」
「ていうか、中庭って人いないの? 結構人が通るイメージあるんだけど」
「私先生とかみんなに伝えておくね。華恋は告白されてるので遅れてま~すって」
「行く前提?」
「当たり前でしょ」
め、めんどくさい。何故顔も名前も分からない人から呼び出されなきゃいけないのだ。それで私の部活時間が減るのだろう? 割に合わない。
「めんどくさ……」
「もっと元気持って、告白だよ!」
「顔が良ければなあ……」
「あはは、ファイト、華恋」
「何で私が応援されてるのよ」
何だか帰りたくなってしまった。授業後が憂鬱だなぁ……。
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