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深夜徘徊

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眠れない。
第一王子にしろ!わかったな!といきなり言われ、高々と笑いながら帰っていったあの暴君王子は何だったのか。一方的について言いつけて帰りやがったまじ何なの。
とりあえず明日の予定でも考えようか、うーん気分転換にでも外に出つつ…いや、寮って確かこの時間から出たら怒られるしなぁ…ま、いっか。外に出よう。

玄関から堂々と出るわけにもいかないので、窓から地面へと降りることにした。靴がないのでスリッパで代用。あと、ここは3階なので、風魔法で衝撃を和らげ、地面に足をつけた。
と、いってもパジャマだし何もすることがないんだよな。ただ外に出たところで…気分転換といってもまた考えることになるとは…
顔を上げて空を見てみると、空一杯に光輝く星星が見えた。プラネタリウムで見るような星、いやそれ以上のもので銀河が広がっていた。もしかして毎晩のようにこの星が見えるのか…?めちゃくちゃ綺麗じゃないか。

「美しいよな星って、お前とは全然違う」

「何よそれ…ってレイ、何でこんなところにいるのよ…ここ女子寮よ?男子寮と間違えたの……?」

「ちげーよ!そもそも俺は寮じゃねぇし!お前も何だそのだらしない格好は」

「パジャマよ!!じゃあ尚更なんでここにいるのよ、不審者?」

「ちょっと頼まれ事で寄ったんだよ…まあこんな夜遅いんじゃみんな起きてないよな…別日にする」

夜遅いどころじゃないわよ…、もう深夜でしょう。にしても制服姿のまま、着替えてくるなりすればいいのに。この世界じゃ制服でそんなにうろつくの?

「今まで何してたのよ」

「ほら、あの地下室でいろいろ作ってたんだよ。頼まれ事もその延長かな」

「私達以外にも知ってる人いたのね」

「まあ、そんなところかな」

なんかこう、上から目線で腹が立つが、気にしていても仕方ないな。うむ。

「つーか、お前なんでパジャマでここにいるんだよ!!よく見たらスリッパだし…!」

「ちょっ、声大きいわよ、ここ寮なんだから静かにしなさいよ、寮母さんに抜け出して来たことばれちゃう」

「はっはーん、お前困るのか大きい声だしたら」

「あなたも困るでしょう?女子寮の周りでうろちょろしてる不審者さん?」

「……」

「……」

相手が嫌そうな顔をして黙るので、ニコッとしてやったら更に嫌そうな顔をした。見事に言い負かしたわ。

「あ、そうだ、第三王子のこと教えてよ。あの暴君と噂の。あいつ何者なの?」

「は?なんでそんなこと知りたいんだよ…あいつはあれだよ。ロイドと双子の弟だよ。本来ならあいつが第二王子だったのに問題起こしまくるから、俺が第二王子になっちまった。俺は王子なんてなるつもりもないのによ」

「へぇーー…おお?」

じゃあ年が同じ息子が三人もいるってことかよ。すごい偶然だな。いや、まあ、ゲームの世界だし納得できるか。

「……なあ、これは軽く聞き流してくれて構わないんだが、俺の王位落としてくれね?いや、無理だってことは分かってるけどさ」

「は?」

いきなり何を言い出しているんだ、このあんぽんたんは。私より頭いいけど。レイが落とされたくてあの暴君が上げられたいと。もうそこで入れ替えてくれよ。なんで巻き込まれてるんだ?

「そっちでなんとかできないの?」

「まあ、そうだよな。他人に頼むことでもねぇわ」

「ほんとそうよ、家族ぐるみの話に何で巻き込まれなきゃいけないのよ…二回も」

「あ?二回?」

「………これが初めてかな」

「ほーーーん…つまりお前はレイドに何か頼まれたのか。それで俺からレイドの情報をもらおうとしたと。ふーん、なるほどね」

「勝手に、話を、進めないでくれませんか?」

「何言われたんだよ」

「んんっ…
おい、お前。俺を第一王子にしろ(モノマネ)」

「アハハハハハハ!!!似てる!!特徴捉えてる!!!似てるわ!!!お前まじか!!!やっば!!!」

予想以上の爆笑。うるせぇな、マジで。まあ、手応えあったんだよなぁ、ほんと。……あれこんなにうるさかったらバレない?大丈夫そう?無理じゃない?

「ちょっ、声もっと小さくできないの?」 

「え?ほんとにそうやっていったのかよ?フフ」

「うん、そうだけど」

「アーーーーッハハハハハハハハハ!!!」

笑いすぎや。隠す気ないやんけ。まずいなバレる。
探知魔法を使い、この辺りでここに向かっている人がいないか確認する。なんか猛スピードでくる人いますね。足に風のエネルギーをまとい窓まで飛ぶ。そしてすかさず中に入る。レイはまだ笑ってるみたいで、腹を抱え下を向いている。……くる。

「えーーっと…レイさんですよね。このようなところにどんなご用件で?」

「あ…えっと…忘れ物をとりに…あれ、メアリーは?」

「メアリーさん?メアリーさんはここには居ませんよ。レイさん?なぜこのようなところに?」

「……いや、あの、さっきまでメアリーが…いて…俺だけのせいじゃ無いんです。二人で一つなんです」

おい、何を言っているんだ全部聞こえてるんだからな、魔法なめるな。ていうか何気持ち悪いこと言ってるんだやめろ。

「レイさん、あのですね。流石に王族の方とはいえこの行為を許すわけにはいけません。深夜に女子寮にきて笑うという不可思議極まりない行為…これを見逃せというのも無理があります」

「いや、そう、ですね。はい。弁明の余地もありません。すみませんでした…」

ププ~完全に怒られてやんの~ウケる~これで普段の私の気持ちが分かったか、私が学園の中で異端児だといえ、私だけを怒るあの理不尽さを!いや、レイくんには足りないなぁ!私のこの気持ちが!ハッハッハ!!

このあと私はスッキリと寝れたが、しっかり寝坊した。ぐすん。
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