夜の街に誘われて

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chapter2-2 家族

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美麗の父は滅多に家に帰ってくることはない。出張という名の浮気をしているからだ。美麗の母はそれを知っているのかわからないが、父の話をすると機嫌が悪くなるため美麗は、父の話をしないようにしている。


 滅多に帰ってくることのない父が帰ってきた。

「おお。美麗いつの間にか大きくなったな。」

  親戚のおじさんが言うかのような言葉を投げかけられてがっかりした。あんたがいない間こっちはお母さんとのやりとりに苦労しているんだと言いたかったがグッとこらえた。

「陽子、変わらず綺麗だな。さすが俺の嫁だよ。」と母にむかって言った。

本当に空気の読めない大人でがっかりした。浮気がバレてないとでも思っているのか。当然、母は父の言葉に対して無視した。

その後、夕食の時間になった。この重い空気の中にいるのはかなりの苦痛。誰も言葉を発しようとしないが、しいというなら父が何か言わなければいけないような素振りをしている。美麗はお願いだからなにも話さないでとおもった。これ以上重い空気にしたくないからだ。

  無言の空間の中「ビービービー」っとスマホのバイプが鳴り響いた。誰のスマホと思いきや父のスマホだった。食事中に電話が来ることに母は、少し苛立ちをみせていた。

 父は、携帯を見ると「やばい」という表情でスマホと数秒にらめっこをしたのち電話にでた。

「電話をかけるなって言っただろう。あこ。」

と言いながら扉を開け部屋から出ていった。

 私のなかでは、「あこって誰?」と頭をよぎっていた。これは、父は馬鹿な発言したなと思いながら母の方を見ると、母は表情を変えることなく真顔で食事を続けていた。

「はあ、良かった。」と心の中で思ったが安心したのが間違いだったみたいだ。

 電話が終わったかと思うと、父は「少し出かけてくる。」といい上着をきて玄関を出ていった。その時、無表情で座ったまま皿を静かに落とした。これは、間違いなくわざとだ。

「美麗。後でその皿片付けてね。」

私は、恐怖を感じた。脳の中が整理されず返事のしないままでいると

「わかった?」

と凄い笑顔で問いかけてきた。

「うん。」

 私が知っている母ではない恐怖感とはやく返事をしなければいけないという焦りに怯えながら返事した。

 その後、母は食器洗いをし私は、割れた皿を片付けていた。すると母が妙なことを言いだした。

「人間にはね。誰にでも2つ以上の顔を持っているの。あなたも、もうそろそろ自分の裏の顔に気づく頃かもよ。」と言いだした。

私は、もう自分の裏の顔は知っていると言いたかった。でも、母にさからうのは今はダメだと思った。

  美麗は、まだ自分の裏の顔が完成していないことに気づいていない。もう、自分の裏の顔は完成していると思い込んでいるのだ。これから、
自分がもたらす裏の顔が人生を崩すことも知らず…






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