【完結】成り上がりの家に嫁いだ公爵令嬢

第三章

第十四話

ウィリアムのグッズショップは、紆余曲折を経て経営状況が上向きになった。フットボールのグッズの収益よりも、製紙工場の土地の賃貸料の方が大きいような状況ではあったが、毎月の収入源が増えた形になった。

この頃になると、アンナにも徐々に経理の知識がついてきた。最初の製紙工場の時は経理や会計についてサッパリだったが、グッズショップを手伝ううちに、徐々に経理というものがわかってきた。

「実は、次のビジネスを考えたんだ。」

ある日、ウィリアムは言った。だが、アンナはなんとなくお見通しだった。

「そうなのですね。ちなみにですけど、貴族としての仕事は手放すの？」

アンナは、ウィリアムが何か言う前から、やりたい事を読んでいた。これには、ウィリアムも驚いた。

「おお、何も言ってないのに、よくわかったな。」

「段々とウィリアム様の考えがわかるようになってきましたわ。貴族としてのお仕事、どなたかに引継ぎたいとされていますものね？」

「うむ。実はそうなのだ。郵便局の仕事もまだまだやることはあるが、私は他のことをやりたい。」

「なんとなく感じていましたわ。それで、何をなさるおつもりですか？」

アンナは尋ねた。アンナ自身、ウィリアムの構想に興味があった。

「うむ。電報だ。」

ウィリアムは答えた。