攻略wiki付悪役令嬢が頑張って栄光の一歩を踏み出すまでの軌跡

すらなりとな

文字の大きさ
上 下
43 / 45
たいけつ!~悪役令嬢、決意の反撃

○14表_悪役令嬢は戦場へと向かった!

しおりを挟む

 辺境伯領臨時キメラ生物研究所。
 イザラは、拘束された患者の前に立っていた。

 その患者は、異常なまでに脚の筋肉が発達していた。
 皮膚には、血管のようなものが、まるで植物の根のように、いびつに足から全身へと広がっている。

 拘束されたまま眠る患者に、薬剤を注射するイザラ。
 弛緩する患者。
 同時に、皮膚に広がっていた植物の根が引いていく。
 やがて、引いた先――大腿部が膨れ上がり、
 まるで果実が腐り落ちるように、「神の種」が、地に落ちて、砂のように崩れた。

 静かに、目を覚ます患者。
 ご気分の悪いところはありませんか、と、問いかけるイザラ。
 患者は自らの身体を見て――イザラに、泣きながら礼を言った。

 ついに、解毒剤が完成した!

 解けた緊張に、崩れそうになるイザラ。

 長かった。
 ここまで、本当に長かった。

 初めてこの仮設研究所にやってきたあの日。
 タイタスに気絶させられたオバラ司祭とノグラ教諭を放置し、取り敢えずサンプルの寄生生物を確認しようとしたその時。
 またしても、「声」が響いた。

 ―――――――――――――――――――――――――
 【キメラ生物】
 錬金術師ナイアが生み出した「生物」。
 近づくと寄生してくる危険な生物だが、実は解毒剤で殺せる。
 通常のルートでは、ナイアの裏切りを恐れたイザラが保険として作っている。
 資料はイザラの部屋にあるため、断罪後の家宅捜索で解毒剤も入手できる。
 一方、イザラヒロインルートでは、イザラ様に作ってもらうことになる。
 作成のヒントは辺境伯領の修道院にある資料で……
 ―――――――――――――――――――――――――

 初めてまっとうに役に立ちそうな「声」を聴いたイザラは、すぐ行動に移した。
 タイタスに頼んで辺境伯領の修道院へ案内してもらい、戦時中の資料の閲覧を修道院長へ依頼したのである。

 辺境伯領の修道院長は、マザー・マギアの言う通り、しっかりとした人物だった。
 護衛を引き連れたイザラに対しても、物怖じせず書庫へ案内してくれた。
 資料は整理されておらず、雑然としていたが、何人かシスターを貸してくれた。

 ――構いませんよ、いずれは整理しなければなりませんでしたので。

 そう言って笑う修道院長は、どこか、マザー・マギアと似ていた。

 イザラはその笑顔に応えるべく、夜遅くまで修道院へ通い、資料を読み込んでは、仮設研究所に戻り、

 ――おお、お嬢様! フン! セインツ流忍術!
   お帰りなさいませ! フン! キメラ摘出の術!

 実験して、また資料を読みに修道院へ戻り、

 ――あア、イザラ様! この実験の残りは私にお任せくださイ!
   うふふ、好き勝手にキメラをいじらせてくれる国家権力……

 めぼしい資料をみつけては、また仮設研究所に戻り。

 ――おお、お嬢様! ご覧ください!
   我がセインツ流忍術で!
   この通りキメラを破壊し……!
 ――あア! 患者まで壊しテ、どうするんでス!?

 実権の途中で発生した負傷者を治療し、

 ――うふふううウ! イザラ様! 我が錬金術の成果ヲ――
 ――おい! 患者まで溶けているではないか!

 治療し、

 ……

 たった数日の事なのに、なぜこんなに長く感じるのだろうか。

「すまない」

 いつの間にか、隣に立っていたタイタスに謝られた。
 どうも心の中が伝わったらしい。

「いえ、ノグラ教諭やオバラ司祭はその、ちょっと極端な行動がありましたが、決して、邪魔ばかりだったわけではなく、手伝っていただいたこともありますし、非常し、いえ、突飛な行動が、解毒剤開発のヒントになったこともありますから」
「無理しなくてもいい。俺たちもあの二人を何とかしようと思ったのだが、どれだけ拘束しても、なぜか毎回抜け出してな」

 すさまじくイライラした目で、足元に転がるオバラ司祭とノグラ教諭を見つめるタイタス。せっかくの実験が失敗してはかなわぬと、試作品を前に興奮する二人を黙らせた結果だ。

「とにかくも、今は休んでほしい。
 ラバンには、俺の方から連絡しておく。
 ああ、それと――」

 完成、おめでとう。

 イザラへ、不器用な笑みを向けた。


 # # # #


「いやはや、まさかこんなに短期間でできるとはね。
 文献の保存状態がよかったのと、イザラ嬢の腕と、タイタスの被害者の保護状態がよかったせいだな」

 翌日。再び辺境伯領主。
 訪ねてきたラバンは軽い口調で、しかし真剣な目でイザラの作った薬を見ていた。

「開発の経過はレポートで読ませてもらった。
 危険生物44号――ああ、王宮で決めた『神の種』の正式名称だが、これに対しては即効性があり、ごく少量でも打ち込んでから数秒で効果が出る。副作用として、被害者の筋肉の縮小が見られる……が、これは薬というより危険生物44号が筋肉組織を侵していた影響だろう。動物実験でも問題はなかったようだし、欠点は原料が高価なことぐらいかな?」
「いえ、ラバン様。被害者の中には、寄生が進んでしまって、44号を殺してしまうと、身体を維持できない方もいらっしゃいます。効果の調整が課題になりそうです」
「なるほど。効果が強すぎる、か。では、希釈して44号を徐々に体外へ追い出す形がよさそうだな。希釈するための媒体が問題だが、ここは――」

 議論を始めるイザラとラバン。
 が、途中でタイタスが遮った。

「悪いが、そういう話は研究室で頼む。今は、これからどうするかが問題だ」
「そうだったね。では、私の方から報告だ。
 ナイアが見つかった」

 単刀直入に告げるラバン。
 目を見開くイザラに、タイタスは剣を引き寄せながら答えた。

「そうか、では、捕縛に向かう」
「まあ、待て、タイタス。
 気持ちは分かるが、見つかった場所が問題でね。
 なんと隣国の王宮だ」

 無言で話を促すタイタス。
 ラバンは、イザラが研究している間の出来事を話し始めた。

「私がイザラ嬢を手伝わず何をしていたかというと、まあ、メビウスと一緒に教会のごみ掃除をしていたわけだが、これが実はすぐに終わってね。
 大司教様の協力をいいことに、怒れる第二王子様が次々と修道院を襲撃……おっと、監査した上に、フラネイルの金で懐柔したりしたものだから、今までの教会系貴族はすっかり大人しくなってしまったよ。
 代わりにクラウスから連絡が入ったのだが――」

 が、途中で気遣うようにイザラへ目を向ける。
 イザラはただ静かに返した。

「お気遣いは不要です。クラウス様は、なんと?」
「失礼。続けよう。
 クラウスは、予言された隣国との戦争を避けるため、王命で隣国の姫君と見合いに行っていてね。隣国の姫君はクラウスと同じ触手生物愛好家で、見合いの段階からお互いに気に入った様だったのだが。それを聞いた陛下が、クラウスの新しい婚約者になるのならばと、改めて調査させたらしいんだ」
「それで、ナイアの名前が出たわけか」
「タイタス。その通りなのだが、他に突っ込むべきところがあるだろう?」

 触手生物愛好家だったのですね、クラウス様。
 何がどうなったらお見合いの席で触手生物の話になるのですか、クラウス様。
 ああ、私は貴方のことを何も理解していませんでしたわ、クラウス様。

 タイタスに代わり、心の中で突っ込むイザラ。
 が、そのタイタスは慣れたのか諦めたのか、あくまで冷静に話を進める。

「ナイアが王宮に入り込める程の信頼を勝ち得ているのなら面倒だ。
 クラウスからその姫君に危険性を伝えられないのか?」
「下手にこの一件を伝えると、肝心のナイアが逃げそうだから、クラウスは気づかぬふりをしているらしい。ただ、クラウスも様子見だけをしているわけではなくてね。
 時にイザラ嬢、隣国の姫君は、君にとても興味を持っているらしい」

「え? 私に、ですか?」

「ああ。もう一度、ナイアやクラウスと相対する覚悟はあるかな?」


 # # # #


 数日後、イザラは隣国ハイボリアを訪れていた。
 馬車の中から隣国特有の美しい王宮を眺めながら、しかし、頭の中は、ラバンから告げられた「作戦」でいっぱいだった。

 ――さて、イザラ嬢。
 もうすぐ、クラウスがホトス姫と二回目の見合いを行うことになっている。
 普通ならクラウス一人でホトス姫と会うことになるわけだが、そこにこちらから人数を送り込みたい。そこで、君の出番だ。ホトス姫へのサプライズとして、クラウスから、君と君の現婚約者を紹介してもらおうと考えている。もちろん、君の現婚約者というのは、こちらから送り込む人員のことで、タイタスが担当する。
 というわけで、タイタス、死ぬ気でイザラ嬢を護って、ついでにナイアのしっぽを掴んで来てくれたまえ。

「大丈夫か?」

 タイタスから声がかかる。
 婚約者としての正装を身に着けているが、所々不自然な膨らみは、服の下で武装しているせいだろう。

「護衛は任せてくれればいい。
 俺はラバンのように気の利いたことは言えんが……」

 言葉を探している様子だったが、結局、思いつかず黙り込んでしまう。
 だが、そんな不器用なやさしさが、むしろイザラの緊張を溶かした。
 ようやく、貴族らしい落ち着きある笑みを浮かべるイザラ。

「いえ、お気持ちだけで十分です」
「イザラ様! ここで甘やかしてはいけません! もっとはっきりと、相手がタイタス様では婚約者としての役割をこなせるか不安です、くらい言わねば!」

 そんなイザラに声をかけてきたのは、いつぞやの女騎士。
 今は使用人兼護衛に扮している。

 きっと、この女騎士も、イザラに気を使っているのだろう。
 イザラは弛緩した空気に応じるように、女騎士に答えた。

「そんなことはないわ。
 貴女も、タイタス様がラバン様のように話し始めたら困るでしょう?」
「なるほど。それはおぞましいですね。
 この剣にかけて討ち取らねばならなくなります!」
「……どうやら、問題ないようだな。王城に入るぞ」

 困ったように肩をすくめながら、馬車を下りるタイタス。
 それに、イザラも続く。
 が、すぐにタイタスがイザラを押しとどめた。

「タイタス様?」
「悪い。様子がおかしい」

 謝罪と警戒の言葉も短く、雰囲気を変えたタイタス。
 鋭い視線で周囲を見渡した後、女騎士へ目を向ける。
 女騎士は小さくうなずくと、イザラの後ろについた。

「私が後ろを護衛します。
 ご心配なく、指一本触れさせませんので」
「え、ええ、ありがとう」

 言われてから、細かい違和感に気づく。
 来賓が来たというのに、王宮から衛兵ひとり出てこない。
 サプライズ、とはいっても、いくら何でもこれはおかしい。
 それに何より、どこかひりついたような空気を感じる。
 タイタスが、女騎士へ声をかけた。

「イザラを馬車に乗せて逃がすのは?」
「難しいでしょう。
 敵の手が帰路まで伸びている可能性を否定できません。また、この馬車も籠城戦は考慮していませんので、この場で立てこもるのも危険かと」
「そうか。イザラ、すまないが着いて来てくれ」

 前に出るタイタス。
 イザラも後に続く。

 王宮は異様な静けさに満ちていた。
 その中を、タイタスはよどみなく歩く。
 どうやら、クラウスが見合いをしている部屋へ向かっているようだ。
 海が近いのか、少しづく強くなっていく潮の香を感じながら、どこか薄暗い廊下を進み、目的の扉の前へ。
 目くばせするタイタスに、女騎士とともにうなずくイザラ。

 タイタスはタイミングを計るように室内を伺い――
 勢い良く、扉を開いた!

 開いた扉から、「ナニか」がぶつかったような鈍い音が響く!

「っ! タイタスか!」

 クラウスの怒号が響き、

「っ!」

 同時に、タイタスの剣が、閃いた。
 何者かが倒れる音。
 目を向けると、異常なまでに筋肉が発達した、兵士が倒れていた。
 もう、イザラは見慣れてしまった、寄生生物に侵された、被害者――

「! お待ちください!」

 駆け寄ろうとするイザラを、女騎士が押しとどめる。
 タイタスが軽く室内を見渡し、こちらへ視線を向けるのを待ってから、手を放す女騎士。
 イザラはそっと、被害者へと歩み寄った。

(大丈夫、侵食は、そこまで進んでいない……!)

 手早く鞄から薬を取り出し、被害者へ打ち込む。
 万一を想定して持ってきたものだ。
 神の種、いや、危険生物44号が、その場で崩れ落ちた。

「その薬は――そうか、完成していたんだな」

 クラウスの声が響く。
 それに重ねるように、タイタスが問いかけた。

「何があった?」
「その者は姫の護衛だ。
 お見合いの最中に、急に襲ってきた。
 今、私が分かるのはそれだけだが……」
「きっとナイアの仕業ヨ! アイツったラ、『クラウス王子のために最も美しい触手生物を用意します』とか言っテ――!」

 クラウスの答えを遮ったのは、橙の民族衣装を身にまとった少女。
 イザラは面識はないが、おそらく、ホトス姫だろう。

 そこへ、部屋の奥から嘲笑が、響いた。

「素晴らしイ!
 過去の封印された知識を解き明かすとハ!
 流石はイザラ様!」

「っ! ナイア!」

 その名を叫んだのは誰だっただろうか。
 奥から、ナイアがイザラを見つめていた。
 その視線を遮るように、タイタスが剣を構える。

「危険生物44号に対する特効薬はもう完成した。
 お前は、研究者としても敗北した……おとなしく投降しろ」
「いいエ! タイタスさマ! まだ敗北ではありませン!
 なぜなラ! 私にハ! 改良を加えタ!
 私の優秀な作品達がいるのですかラ!」

 ナイアの後ろから、異常に筋肉が発達した兵士二人と、その二人に拘束された、海色のドレスの少女。
 少女は意識がないのか、ぐったりとしたまま身動きしない。

「トトス!? トトスを放しなさイ!」

 声を上げるホトス姫。
 トトス――確か、隣国の王子の名だったはずだ。
 イザラは面識がなかったため分からなかったが、海色のドレスの少女は、どうやら少女ではなく王子だったらしい。
 しかし、ナイアは弟の身を案じる姉をあざけるように答える。

「イイですよ?
 ただし、イザラさマ、貴女の持つ特効薬と引き換えでス」

 タイタスが、イザラへ視線を向ける。
 イザラはうなずくと、薬のサンプルを取り出した。

「トトス王子をそちらの椅子に座らせた後、離れてください。
 私は、この薬をそちらの机に置きます」
「いいでしょウ」

 特効薬を机の上に置き、離れるイザラ。
 ナイアも兵士に命じてトトスを椅子に座らせ、離れる。

 トトスに駆け寄るホトスとクラウス。
 ナイアは、サンプルを手に声を上げた。

「やはり素晴らしイ!
 私が見つけた文献でモ、寄生生物に対抗する解毒薬の存在は示唆されていましタ!
 過去の戦争では、生物兵器と制御用の解毒薬は対となるものだったのでス!
 ですガ、私は生物兵器を再現するだけで精一杯デ、解毒薬まで手が回らなかっタ!
 だかラ、私は待ったのでス!
 貴女ガ、私の作品に対する特効薬を開発してくれるのヲ!」

 バルコニーへと走るナイア。
 追いかけるタイタス。
 だが、それを兵士が遮る。

「この薬を解析すれバ!
 神の種に特効薬への耐性を与えることができまス!
 これで私の狩人ゴ号はいよるくんは完全体に近づク!
 私の作品の完成に協力してくれテ、ドウモありがとウ!
 お礼ハ、そのトトス王子に施した改良型はいよるくんで結構でス!」

 その言葉を最後に、部屋の奥へと消えていくナイア。
 兵士を切り捨てたタイタスが、後を追う。
 イザラも続こうとしたところで、トトスがうめき声をあげた。

「トトス!」

 声を上げるクラウス。
 が、トトスにその声が届くことはなく、肉体の変容が始まる。

「っ! イザラ! 特効薬を!」

 クラウスの必死の叫びで、イザラは残った特効薬を慌てて取り出し、

「ま、まって、くださイ……」

 トトス王子から声がかかった。

「トトス、大丈夫だ。今、この特効薬で――」
「違う、のでス……クラウス様!
 この寄生生物ハ、私の身体ヲ、女性に変えるものでス!
 一緒に改良したのデ、間違いありませン……!」
「トトス、君は……」
「ボ、僕ハ、どうしてモ、アナタニ……だかラ……」
「なら、尚のこと、ナイアなどの手など借りるべきではない」

 トトスを抱きしめるクラウス。

「私は男女問わず愛せるタイプだ!」

 涙を流すトトス。
 歓喜の声を上げるホトス。

 えっと、どうしましょう。

 感動の光景を前に、困るイザラ。

 しかしそこへ、タイタスが戻ってきた。

「タイタス様! ご無事ですか?」
「ああ、ナイアには逃げられたが、な」

 忌々しそうに納刀するタイタス。
 だが、すぐに女騎士へ向き直る。

「包囲網を敷く。隣国の生き残った兵士にも、連絡を入れてくれ」
「承知しました」
「急いでくれ。
 ヤツがイザラの薬を解析して、キメラを強化するまでに捉えねばならん」

 が、それを遮るように、イザラは声を引き絞った。

「あ、あのっ!」
「ああ、すまない。イザラをどこか落ち着けるところへ――」
「いえ! そうではないのですっ!
 その、ナイアに渡したのは、解毒薬ではなく、ただの麻酔薬なのです!
 症状が進んでしまった方がいた場合のために、用意していたもので!」

 目を見開くタイタス。
 が、すぐに優しい笑みを浮かべた。

「そうか。本当に――いや、よくやってくれた。
 後は、こちらに任せてくれ」

 それはまるで危機は去ったと告げるようで。
 急激に緊張を失ったイザラは、倒れそうになり、
 それをタイタスが優しく支え、

 そんなイザラの背中を、何者かが突っついた。
 振り返ると、

(^_^)/ こんにちハ

 そんな文字を書く、触手生物が、いた。

 悲鳴を上げなかったのは、せめてもの公爵令嬢としての意地だろうか。
 緊張を取り戻したイザラ、慌ててタイタスから離れる。

(*^▽^*) 私、ホトス姫とトトス姫にお仕えしていまス、ヨグちゃんと申します。
( `・∀・´)ノ 今後とモヨロシク!

「え、ええ、よろしくお願いします?」

 とりあえず、挨拶を交わすイザラ。

<(`^´)> 本当なら私があのナイアを排除したかったのですガ!
(><) トトス王子を人質に取らレ、動けませんでしタ!
m(__)m まことに申し訳ありませン!

「い、いえ、人質がいたらなら、仕方がないと思いますわ?」

(^_^)v ありがとうございまス!
('ω')ノ 重ねてのお願いになりますガ!
(._.) トトス王子への治療は少し待っていただき!
(>_<) もう少シ、あの三人だけにして貰っても良いでしょうカ?

 クラウスたちの方へ触手を向けるヨグちゃん。
 イザラ、困惑しながらも答えた。

「え、ええ。44号が治療が難しくなるほど全身まで侵食するのは、時間がかかるから構いませんが……」

(^^) ありがとうございまス!
(*‘∀‘) それでハ! 護衛の方ト! 向こうでお待ちくださイ!

 今度は奥の部屋へ触手を向けるヨグちゃん。
 イザラ、どうすべきかわからず、タイタスの方へ目を向ける。

「分かった、俺とイザラは向こうで待たせてもらう」

 何か悟った顔で、イザラを奥の部屋へエスコートするタイタス。
 女騎士が、駆け寄ってきて尋ねた。

「よろしいのですか? クラウス様の護衛は?」
「いらぬだろう、ヤツは触手生物愛好家だからな。
 それに、二回目だ」
「二回目、ですか?」
「ああ、二回目だ」

 何か悟ったような顔をした女騎士、

「では、イザラ様。
 タイタス様を、よろしくお願いいたします」

 そう言い残して、去っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...