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第2章 美しい人
第1話
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「完璧です!お美しいですよ、殿下」
花が咲くように笑うマリーに心が温まる感覚がする。
彼女が笑うと周りも明るくなる。
王妃陛下のような人だなと、いつも思う。
「ありがとう、マリー」
自分の中では笑って言ったつもりだったけど、鏡に映る自分の口角は少しも動いていない。
ただ、いつものように己の無表情さに気落ちすることはなかった。
マリーが腕を振るっていつもの地味で根暗な雰囲気を払拭してくれるように整えてくれたのだ。
もちろん私の容姿では限界があるので、異母兄弟たちのように花が咲いたような美しさはないけれど。
「アグネス様、馬車のご用意が整いました」
扉の向こうから低めの男性らしい声が聞こえてきた。
その声に今日は私にも護衛がつくのだと、現実味のなさになんだか違和感を感じた。
王族なら普通、王宮の中でも護衛がつくものだ。だが私は王族と認められておらず、加えてほとんど外にも出ないので護衛がつくことはなかった。
正確には1週間に一度、週末に貧民街へ行って教会の人達と一緒に炊き出しをしているので、外出していないわけではないのだが。
王妃陛下は毎月「お小遣いよ」と言って私に少しお金を渡してくれていて、それを教会に寄付してなんとか炊き出しの費用を賄っている。
その教会も王都の教会のような財力があるわけではなく、私が来る前はほんの少しのお金で貧しい人たちに食料を分け与えていたようだ。
けれど炊き出しへは、アグネスとしてではなく少し裕福な町娘として行っている。
王宮の人間は私がそんなことをしているのは知らない。
加えて私は王族と認められていないので公の場に出たことがなく、国民は私の存在を噂程度にしか知らないので、貧民街の人達も私が王宮の人間とは知らない。
しかし一人だけ、マリーは私が炊き出しに行っていることを知っていて、王宮に私がいないことを知られないようにうまく取り繕ってくれている。
貧民街の子供や大人の、食べ物を食べているときの幸せそうなあの顔が大好きだ。
けれど、私が嫁げば炊き出しに行けなくなる。
それだけが唯一この国を離れるときの心残りだ。
きっと、協会の人達が続けてくれると思うが。
ふうっと一息吐いて、マリーの方を見る。
「行きましょう」
「はい!」
馬車に乗り込んで少しすると、御者らしい人物の足音がして馬車が進み始めた。
マリーは手帳のようなものを見ている。
多分、今日のスケジュール確認をしているのだろう。
しばらく室内は無言のまま、馬車は進んだ。
馬車の揺れが少なくなってから、目の前のマリーに声を掛ける。
「スリアナは隣国だから、そこまで時間はかからないわね」
「はい、殿下」
彼女は眩しい笑顔を向けて頷いた。
カーテンがかけられている、外の景色が見えるわけでもない窓を見つめる。
「ありがとう、マリー。私をそう呼んでくれるのはあなただけよ」
ぱっと今までずっと思っていたことが口から出た。
私がそう言うと、マリーは下唇を噛んで俯いた。
「…お礼の言葉など、仰らないでください。他の人達がおかしいだけで、私は当然のことをしているのです。殿下は間違いなく、国王陛下のお子ですのに」
いつも元気いっぱいで太陽のような彼女が細々とした声で話すので、どうしたのかとマリーに向き直った。
だが下を向いているせいで、彼女の表情は見えない。
「マリー?」と声をかけようと口を開く。
けれど私が声を発する前に、マリーは先程のような弱々しい声で呟いた。
「私は…」
その時急に、ずっと休むことなく動き続けていた場所が急停車した。
急に止まったので体勢を崩して椅子から落ちる。
腰をさすっていると、「お怪我はございませんか?」といつも通りの明るい声のトーンでマリーが手を差し出してくる。
元通りの彼女の様子にほっとしつつ、頷いて彼女の手を握った。
「マリーは怪我はない?」と聞くと、彼女は「はい!」と頷いて私の腕を引いて起こしてくれた。
座り直すと何やら直ぐ側で、怒鳴っている男の声と大衆のざわつく声が聞こえる。
「…どうしたのかしらね」
私がそう言うとマリーはすくっと立ち上がり、いつも通りの輝かんばかりの笑顔で私を見た。
「私、見に行ってまいります!」
そう言って彼女が勢いよく駆け出していったあと、先程までの騒がしさはなくなった。
男性の怒鳴り声が聞こえなくなってしばらく経つと、マリーが困ったような顔をして戻ってきた。
「殿下、どうやら子供が馬車の前に飛び出してきたようでして…御者がその子に罰を与えると…」
そんな気はしていた。
貴族の馬車と接触した人は、子供でも大人でも関係なく処罰を受ける。
そして処罰の内容は、その時馬車に乗っている貴族の気分によって変わる。
このままでは、その子は厳しい罰を受けるだろう。
「私が行くわ。」
マリーが馬車の扉を開けると、頭に響く怒声が聞こえてきた。
「下民の子供が、我らの進路を防ぐとは!万死に値するぞ!!」
馬車から出て目に飛び込んできたのは、やや肥満気味の短く髭を生やした身なりの整った中年男性が目を赤くして、6歳くらいの男の子に向かって罵詈雑言を吐いている光景だった。
周りには人がたくさん集まっていたが、誰も子供を助けようとはしない。
自分が罰を受けるのが怖いのだろう。
当然といえば当然なのだが、嫌な気分になる。
御者と思われる、怒鳴り散らしている男性の方へ向かう。
「御者の方。何をしているの?」
御者は私に気がつくと、おろおろと言葉を濁した。
地面に尻餅をついている子供のほうを見る。
子供は私と目が合うと、怯えたように目をそらした。
体がブルブル震えている。
自分の膝に深く刻まれた傷には、恐怖のあまり気づいていないようだ。
早く手当しないと。
そう思い、御者に向き直る。
「たかが子どものしたことよ。そんなに怒ってどうするの」
御者は子供を人睨みすると、渋々といったように引き下がった。
けれどすれ違うとき、彼は嫌悪感の籠もった声で呟いた。
「娼婦の子が偉そうに…」
目ざとくマリーが彼を睨む。
「今の発言、不敬ですよ!!」
「いいのよマリー。いつものことだわ」
マリーを手で制して、先程よりかは幾分ほっとした表情の子供へ向かった。
子供の前にしゃがみ込み、少年と目線を合わせて大量に出血している膝を指差す。
「その膝、怪我してるわよ。血が出てる」
その時子供は初めて怪我に気づいたようで、唐突に痛みがやってきたのか涙を流し始めた。
「大丈夫よ、すぐに手当するわ。マリー、馬車から救急箱を持ってきてくれる?」
「はい!殿下は馬車でお待ちになっていてください。手当は私がしますから」
そう言うと、マリーはすぐに馬車に向かって走っていった。
殿下、という言葉に大衆がざわつき始めた。
だがそんなことを気にしている暇はないので、気にせず嗚咽を漏らす子供の背中をさすった。
すぐに救急箱を抱えたマリーが息を切らしながら戻ってきた。
マリーのほうがこういうことに慣れているので、彼女の言葉に甘えて立ち上がる。
自分だけ馬車に戻って休むのは気が引けたので、一歩下がってマリーと子供の様子を見守った。
応急処置をするマリーの手際の速さに感心していると、彼女は救急箱を持ってすくっと立ち上がった。
「できましたよ!」
「さすがマリー。速いわね」
私がそう言うと、彼女は嬉しそうに笑みを深めた。
彼女の笑顔に胸が温まる。
先程まで涙を流していた子どもが、目元をゴシゴシと拭いながら立ち上がって私たちの方を見上げる。
「気をつけて帰るのよ。もう怪我しないようにね」
私がそう言うと、彼は鼻をすんと鳴らしてお辞儀をして走り去っていった。
「さすが殿下ですね!!他の王族や貴族の方だったら、間違いなくあの子は罰を与えられていましたよ!」
マリーは感極まったように大きな声で早口でそう言った。
「当然のことをしただけよ。さあ、早く戻りましょう」
彼女は「はい!」と言って私が歩きだしてから、馬車の方へ足を進めた。
御者はまだ私を睨んでいて、この後の馬車の揺れは少し激しくなった。
そのあとしばらくして、やっとクラッサ王国とスリアナ皇国の国境を越えることができた。
スリアナの街並みはとても美しくて、思わずカーテンを開けてマリーと共にその風景に釘付けになった。
もう少しでアイザイン邸に着く。
そして未来の夫となるかもしれない人と会うのだと思うと、なんだか緊張してきてしまった。
ヒーローが出てくるまで時間がかかってしまい申し訳ありません。次回登場です!
花が咲くように笑うマリーに心が温まる感覚がする。
彼女が笑うと周りも明るくなる。
王妃陛下のような人だなと、いつも思う。
「ありがとう、マリー」
自分の中では笑って言ったつもりだったけど、鏡に映る自分の口角は少しも動いていない。
ただ、いつものように己の無表情さに気落ちすることはなかった。
マリーが腕を振るっていつもの地味で根暗な雰囲気を払拭してくれるように整えてくれたのだ。
もちろん私の容姿では限界があるので、異母兄弟たちのように花が咲いたような美しさはないけれど。
「アグネス様、馬車のご用意が整いました」
扉の向こうから低めの男性らしい声が聞こえてきた。
その声に今日は私にも護衛がつくのだと、現実味のなさになんだか違和感を感じた。
王族なら普通、王宮の中でも護衛がつくものだ。だが私は王族と認められておらず、加えてほとんど外にも出ないので護衛がつくことはなかった。
正確には1週間に一度、週末に貧民街へ行って教会の人達と一緒に炊き出しをしているので、外出していないわけではないのだが。
王妃陛下は毎月「お小遣いよ」と言って私に少しお金を渡してくれていて、それを教会に寄付してなんとか炊き出しの費用を賄っている。
その教会も王都の教会のような財力があるわけではなく、私が来る前はほんの少しのお金で貧しい人たちに食料を分け与えていたようだ。
けれど炊き出しへは、アグネスとしてではなく少し裕福な町娘として行っている。
王宮の人間は私がそんなことをしているのは知らない。
加えて私は王族と認められていないので公の場に出たことがなく、国民は私の存在を噂程度にしか知らないので、貧民街の人達も私が王宮の人間とは知らない。
しかし一人だけ、マリーは私が炊き出しに行っていることを知っていて、王宮に私がいないことを知られないようにうまく取り繕ってくれている。
貧民街の子供や大人の、食べ物を食べているときの幸せそうなあの顔が大好きだ。
けれど、私が嫁げば炊き出しに行けなくなる。
それだけが唯一この国を離れるときの心残りだ。
きっと、協会の人達が続けてくれると思うが。
ふうっと一息吐いて、マリーの方を見る。
「行きましょう」
「はい!」
馬車に乗り込んで少しすると、御者らしい人物の足音がして馬車が進み始めた。
マリーは手帳のようなものを見ている。
多分、今日のスケジュール確認をしているのだろう。
しばらく室内は無言のまま、馬車は進んだ。
馬車の揺れが少なくなってから、目の前のマリーに声を掛ける。
「スリアナは隣国だから、そこまで時間はかからないわね」
「はい、殿下」
彼女は眩しい笑顔を向けて頷いた。
カーテンがかけられている、外の景色が見えるわけでもない窓を見つめる。
「ありがとう、マリー。私をそう呼んでくれるのはあなただけよ」
ぱっと今までずっと思っていたことが口から出た。
私がそう言うと、マリーは下唇を噛んで俯いた。
「…お礼の言葉など、仰らないでください。他の人達がおかしいだけで、私は当然のことをしているのです。殿下は間違いなく、国王陛下のお子ですのに」
いつも元気いっぱいで太陽のような彼女が細々とした声で話すので、どうしたのかとマリーに向き直った。
だが下を向いているせいで、彼女の表情は見えない。
「マリー?」と声をかけようと口を開く。
けれど私が声を発する前に、マリーは先程のような弱々しい声で呟いた。
「私は…」
その時急に、ずっと休むことなく動き続けていた場所が急停車した。
急に止まったので体勢を崩して椅子から落ちる。
腰をさすっていると、「お怪我はございませんか?」といつも通りの明るい声のトーンでマリーが手を差し出してくる。
元通りの彼女の様子にほっとしつつ、頷いて彼女の手を握った。
「マリーは怪我はない?」と聞くと、彼女は「はい!」と頷いて私の腕を引いて起こしてくれた。
座り直すと何やら直ぐ側で、怒鳴っている男の声と大衆のざわつく声が聞こえる。
「…どうしたのかしらね」
私がそう言うとマリーはすくっと立ち上がり、いつも通りの輝かんばかりの笑顔で私を見た。
「私、見に行ってまいります!」
そう言って彼女が勢いよく駆け出していったあと、先程までの騒がしさはなくなった。
男性の怒鳴り声が聞こえなくなってしばらく経つと、マリーが困ったような顔をして戻ってきた。
「殿下、どうやら子供が馬車の前に飛び出してきたようでして…御者がその子に罰を与えると…」
そんな気はしていた。
貴族の馬車と接触した人は、子供でも大人でも関係なく処罰を受ける。
そして処罰の内容は、その時馬車に乗っている貴族の気分によって変わる。
このままでは、その子は厳しい罰を受けるだろう。
「私が行くわ。」
マリーが馬車の扉を開けると、頭に響く怒声が聞こえてきた。
「下民の子供が、我らの進路を防ぐとは!万死に値するぞ!!」
馬車から出て目に飛び込んできたのは、やや肥満気味の短く髭を生やした身なりの整った中年男性が目を赤くして、6歳くらいの男の子に向かって罵詈雑言を吐いている光景だった。
周りには人がたくさん集まっていたが、誰も子供を助けようとはしない。
自分が罰を受けるのが怖いのだろう。
当然といえば当然なのだが、嫌な気分になる。
御者と思われる、怒鳴り散らしている男性の方へ向かう。
「御者の方。何をしているの?」
御者は私に気がつくと、おろおろと言葉を濁した。
地面に尻餅をついている子供のほうを見る。
子供は私と目が合うと、怯えたように目をそらした。
体がブルブル震えている。
自分の膝に深く刻まれた傷には、恐怖のあまり気づいていないようだ。
早く手当しないと。
そう思い、御者に向き直る。
「たかが子どものしたことよ。そんなに怒ってどうするの」
御者は子供を人睨みすると、渋々といったように引き下がった。
けれどすれ違うとき、彼は嫌悪感の籠もった声で呟いた。
「娼婦の子が偉そうに…」
目ざとくマリーが彼を睨む。
「今の発言、不敬ですよ!!」
「いいのよマリー。いつものことだわ」
マリーを手で制して、先程よりかは幾分ほっとした表情の子供へ向かった。
子供の前にしゃがみ込み、少年と目線を合わせて大量に出血している膝を指差す。
「その膝、怪我してるわよ。血が出てる」
その時子供は初めて怪我に気づいたようで、唐突に痛みがやってきたのか涙を流し始めた。
「大丈夫よ、すぐに手当するわ。マリー、馬車から救急箱を持ってきてくれる?」
「はい!殿下は馬車でお待ちになっていてください。手当は私がしますから」
そう言うと、マリーはすぐに馬車に向かって走っていった。
殿下、という言葉に大衆がざわつき始めた。
だがそんなことを気にしている暇はないので、気にせず嗚咽を漏らす子供の背中をさすった。
すぐに救急箱を抱えたマリーが息を切らしながら戻ってきた。
マリーのほうがこういうことに慣れているので、彼女の言葉に甘えて立ち上がる。
自分だけ馬車に戻って休むのは気が引けたので、一歩下がってマリーと子供の様子を見守った。
応急処置をするマリーの手際の速さに感心していると、彼女は救急箱を持ってすくっと立ち上がった。
「できましたよ!」
「さすがマリー。速いわね」
私がそう言うと、彼女は嬉しそうに笑みを深めた。
彼女の笑顔に胸が温まる。
先程まで涙を流していた子どもが、目元をゴシゴシと拭いながら立ち上がって私たちの方を見上げる。
「気をつけて帰るのよ。もう怪我しないようにね」
私がそう言うと、彼は鼻をすんと鳴らしてお辞儀をして走り去っていった。
「さすが殿下ですね!!他の王族や貴族の方だったら、間違いなくあの子は罰を与えられていましたよ!」
マリーは感極まったように大きな声で早口でそう言った。
「当然のことをしただけよ。さあ、早く戻りましょう」
彼女は「はい!」と言って私が歩きだしてから、馬車の方へ足を進めた。
御者はまだ私を睨んでいて、この後の馬車の揺れは少し激しくなった。
そのあとしばらくして、やっとクラッサ王国とスリアナ皇国の国境を越えることができた。
スリアナの街並みはとても美しくて、思わずカーテンを開けてマリーと共にその風景に釘付けになった。
もう少しでアイザイン邸に着く。
そして未来の夫となるかもしれない人と会うのだと思うと、なんだか緊張してきてしまった。
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