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第二十七話
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もう十分過ぎるだろう。
「私も、大丈夫です。アストリー子爵、お身体に気を付けてお過ごしください」
「ありがとう、マルヴィナ。執事とメイドがいるから大丈夫だ」
そう言うものの、どこか寂しそうなアストリー子爵を見てマルヴィナは放っておいていいものかとまた考える。
このまま別れては、次に会うのはいつか分からない。
「あの、アストリー子爵。私を娘だと思ってくれますか?」
マルヴィナは自分でもその問いがおかしいと思った。
父親だとも思えない相手に、子供だと認めて欲しいわけじゃない。
ただ、血は繋がり、そして目に見えていない部分でマルヴィナと確実に繋がるものがあるのだ。
それを思うと、父でも子でもない、友人としてアストリー子爵とちゃんと話したいと思ったのだ。
「手紙を書いてもよろしいでしょうか」
「喜んで。本当にいいのかい?」
アストリー子爵の眦の皺が深く深くなる。
優しい眼差しいは涙が滲んでいた。
「今更、父だの子だのという関係をとは思いません。友人として、手紙のやり取りをしたいのです」
「友人か。結婚式では、父親でいていいのかな」
「え……」
マルヴィナが言葉に詰まると、レナードがすぐに言葉を付け足した。
「父親として振舞ってください。マルヴィナは子爵令嬢として、フィッシャー家に来たので」
「分かった」
アストリー子爵は目に涙を溜めて、マルヴィナを見つめてくる。
その温かい視線を受けきれず、思わず逸らしてしまうしかなく、そんな子供染みた行為が恥ずかしくて仕方ない。
「では、帰らせていただきます。道中長いもので」
「ああ、気を付けて。わざわざ本当にありがとう」
アストリー子爵は深く頭を下げると、レナードも同じように頭を下げた。
そしてすぐにティールームを後にすると執事に連れられて城を出て、馬車に乗り込んだ。
執事は来た時のようにマルヴィナに質問もせず、無言のままだったのが印象的だった。
すぐに馬車は走り出すと、マルヴィナは深い深いため息を吐いてしまう。
「疲れたかい?」
レナードから肩を抱かれて、思わず腰を引いてしまう。
「少しだけ。もう婚約者のフリは……。城に戻ってきちんと考えなければいけないのだから」
「そうだったね。もう私はマルヴィナに決めているのだけれど、君が決めてくれないものだからね。どうだい? 私との結婚は。まだ嫌かな」
マルヴィナは黙ってしまい、俯いた。
アストリー子爵と会わせてくれたこと、自分の出自、知らなければそのままだったが、実の父の苦悩を知り、ただの他人でいようとは思えなくなった。
きっと、レナードが考えてくれたのだろう。
結婚するにしろしないにしろ、何も知らないままでは哀れだと。
そこまで考えてくれるのは有難いことだし、素直に嬉しい。
でも、レナードに好きだと言えるような気には中々なれないのだ。
(いくら子爵の血は受け継いだからといっても、育ちが違うもの)
「マルヴィナ。私と結婚する気は本当にないのかな。だったら、また明日からデートを申し込むだけなのだけれど、いいかな」
「レナード……私」
「私を嫌いじゃない?」
マルヴィナは顔を上げてそっとレナードの瞳を見つめた。
漆黒の瞳はマルヴィナをじっと真剣に見つめていて、逃げ出したくなる。
ふいっとマルヴィナが顔を逸らすと、レナードがマルヴィナ頬を両手で挟んだ。
「な、なにを?」
「逃げないで。私は本気だ。今ここでマルヴィナとふたりきりでいることに、どれほどの理性を保っているか、わかるかな?」
「いいえ」
マルヴィナは胸を鳴らし始め、頬にあった手がするりと移動し、マルヴィナの肩を抱いた。
ぞくりとするような感覚に、マルヴィナは思わず目を閉じる。
「マルヴィナ。私が薔薇の招待状を送ったのは身分問わず関係なかった。強いていえば、美人であると有名だったりした者を呼んだりしたが、それだけじゃ城には呼べる条件には満たない。フィッシャー家に相応しい女性か、その女性に足りうるか、肝心なのはそこだよ。とはいえ、周りはそれを理解してくれなかったんだけれどね」
レナードはマルヴィナの事をそっと抱いた。
もはや嫌だと抵抗することはなかった。
自分はレナードから求められ、そしてフィッシャー家に嫁ぐことにも申し分ないと言われている。
勿論、村育ちの令嬢など反対する者はいるだろうが、きっとレナードなら守ってくれるだろう。
温もりに包まれながら、アストリー子爵のことをちらりと思い出す。
(結婚、してもいいのかしら)
「レナード。私、あの……。あなたを、気になってはいるの」
「うん、それで? その続きはないのかな」
頭上からは急かすような低い声音が聞こえてきて、胸が鳴り止まない。
マルヴィナだって、自分の気持ちを言うのは恥ずかしくてたまらないのだが、もう黙っていられないような、レナードの切羽詰まった雰囲気に言わずにはいられなかった。
「あの……好きに、なりかけているから、少し待って」
「待てない。好きになりかけているのなら、好きだと言わせてみせる」
瞬間、マルヴィナの唇は塞がれていた。
「……んっ……ふぁ」
「可愛い声じゃないか、マルヴィナ」
自分でも、キスだけで体中が火照るのはおかしいとキスから逃げたくて仕方がない。
それなのに、口腔にはすぐに舌先が割入り、口内を蹂躙されてしまうと下肢がジンジンと疼き、目はとろんと虚ろになってしまう。
(変だわ、私。好きだって、思っただけよ)
「はぁ……んっ……ふぅあ……」
マルヴィナの口内では舌先が這いまわり、舌を絡め取られると思わず応じてしまう。
(だめ。私ったら)
「素直だね、マルヴィナ」
「んっ……ち、がっ……ふぁ……」
蕩けるようなキスに、マルヴィナの下肢からは蜜がトロトロと溢れ始め、ドロワースを汚すほどだった。
自分でも分かるほどで、すぐに逃げるようにキスを中断する。
「レナード、待って……」
火照る体を持て余しながらも、レナードとひとつになるのは恥ずかしさで一杯で逃げてしまう。
するとレナードはマルヴィナを立たされ腰を突き出す恰好をさせられると、スカートを捲りあげられた。
あまりの事に目を見開きレナードを見ると、床に跪いている。
「なにをするの? やめて、まだ馬車の中よっ」
「そんな顔を見せられて、まだ我慢しろなんて無理なことを言わないで欲しい」
ドロワースを引き下ろされてしまうと、蜜が下肢を伝う。
淫靡な香りが馬車に広がると、マルヴィナは頬を真っ赤に染めた。
しかし恥ずかしがっている暇もなく、じゅるっという音と共にレナードが蜜を舐め始める。
「ひっ……あぁ……そこ……やぁ……」
秘丘から亀裂まですべて舐めまわされてしまうと、もはや足ががくがくと震え始めて立っているのすら辛くなる。
淫靡に喘ぎ、吐息を漏らしながら、次第にぞくぞくと絶頂を迎えそうな程の悦楽が背筋を這うのを感じた。
「だめ……、私、これが限界……。こんな、こと……。汚いことを、レナードにさせられない」
「綺麗にしているだけだよ、マルヴィナ。とても綺麗だ」
「ち……が……そんなわけ……ひっ……あ……」
舌先が蜜壺に侵入すると等々マルヴィナは自力で立てない程になり、馬車の内壁にもたれた。
「大丈夫かい、マルヴィナ。態勢を変えようか」
言われてくるんとひっくり返されると、マルヴィナは椅子に座らされた。
しかし足は大きく開脚させられ、すぐに指が入り込む。
「レナード! ……そこ……もう……。そんなにしないでっ」
「素直なマルヴィナは、本当に可愛い。マルヴィナ、私を好きかい?」
「好きです」
蕩けるような頭で、とうとう言ってしまった。
もっとちゃんとした時に言いたかったし、きちんと言わないと意味はない。
でも、理性は吹き飛び塞いでいた気持ちを堪える自信もなかったのだ。
「好き、レナード」
もう一度言うと、指の抽送が激しくなる。
「あっ……やっあ……」
「結婚も考えてる? 本気で?」
「こんな、時に……ひっあ……そこまで……んっ……あぁ」
「そうか。じゃあ、また改めて聞く。それより、マルヴィナ、蜜が溢れて止まらないよ」
「だって、それは……」
(レナードを好きだって思うから)
言えない気持ちはまだあると思いつつ、頬を染めてうっとりと見つめるとそっと亀裂をなぞられながら、指は蜜壺に侵入に更に増やされて抜き差しがされる。
思わず腰を引いてしまうが、決して嫌ではなく、もたらされる快楽を受け止めきれずに反射的に腰を引いたのだ。
「あっ……レナード。こんな……とこ、見つかっ……たら」
「決して恥ずかしい思いはさせないよ。それに、道中長いだろう? 馬車に揺られて眠るだけじゃあ、つまらないじゃないか」
「そうだけど……んっ……やっ……動かさないでっ」
レナードの太い男性的な二本の指が内壁を擦ると、途端にマルヴィナは腰を揺らめかせてしまう。
背を仰け反らせ、なんとか快楽の坩堝から逃げようとするのだが、じわじわと昇り詰めてしまうと、マルヴィナは淫靡な吐息を吐くだけになる。
搔き混ぜられてしまうと、もはや言葉も言えずにガクガクを震える足をレナードが抱えながら、マルヴィナをじっと見つめてくるだけだ。
「こんな、顔見ないで……ひぃ……んっ……」
「可愛い顔だ。キスしていいかな」
「だっ、だめっ」
(そんなことされたらっ)
くちゅくちゅと搔き混ぜながら、レナードがマルヴィナに覆い被さりキスをしてくる。
途端、マルヴィナはレナードを全身で感じて一気に頂きを昇り詰めてしまう。
「んっ……ひっ……あっ……あっ……あぅ……」
レナードの指を咥え込み、膣をヒクヒクと痙攣させ、足はピンと張り弓なりのように体は伸びた。
「気持ちよかった? もっとしようか」
「だめっ、これ以上されたら、私、おかしくなるわっ」
「じゃあ、その続きをしてもいい?」
マルヴィナは小さく頷いた。
体中でレナードを求めるような火照りに、マルヴィナはその衝動を抑えることは出来なかった。
下肢からは蜜がトロトロに溢れて止まらず、レナードからのキスだけで果ててしまうのだ。
自分の体の変化に心が追いつかないが、レナードが熱っぽく求めることに素直に応じればいいのだと、なぜか思える。
レナードが服を脱ぎ、下着から男根を引き抜くとマルヴィナは目を見開いた。
猛る男根は脈打ち、余裕のあるレナードの表情とは正反対で今にも爆発しそうな程膨らんでいる。
男性の性器は初めて見たせいか、思わず目を逸らした。
「怖くなった? 嫌ならいいんだよ」
「いいえ。ただ、ちょっと……驚いて」
「私にしがみついているといい」
言いながら、レナードに手を引かれて肩に手を置くように促される。
「私も、大丈夫です。アストリー子爵、お身体に気を付けてお過ごしください」
「ありがとう、マルヴィナ。執事とメイドがいるから大丈夫だ」
そう言うものの、どこか寂しそうなアストリー子爵を見てマルヴィナは放っておいていいものかとまた考える。
このまま別れては、次に会うのはいつか分からない。
「あの、アストリー子爵。私を娘だと思ってくれますか?」
マルヴィナは自分でもその問いがおかしいと思った。
父親だとも思えない相手に、子供だと認めて欲しいわけじゃない。
ただ、血は繋がり、そして目に見えていない部分でマルヴィナと確実に繋がるものがあるのだ。
それを思うと、父でも子でもない、友人としてアストリー子爵とちゃんと話したいと思ったのだ。
「手紙を書いてもよろしいでしょうか」
「喜んで。本当にいいのかい?」
アストリー子爵の眦の皺が深く深くなる。
優しい眼差しいは涙が滲んでいた。
「今更、父だの子だのという関係をとは思いません。友人として、手紙のやり取りをしたいのです」
「友人か。結婚式では、父親でいていいのかな」
「え……」
マルヴィナが言葉に詰まると、レナードがすぐに言葉を付け足した。
「父親として振舞ってください。マルヴィナは子爵令嬢として、フィッシャー家に来たので」
「分かった」
アストリー子爵は目に涙を溜めて、マルヴィナを見つめてくる。
その温かい視線を受けきれず、思わず逸らしてしまうしかなく、そんな子供染みた行為が恥ずかしくて仕方ない。
「では、帰らせていただきます。道中長いもので」
「ああ、気を付けて。わざわざ本当にありがとう」
アストリー子爵は深く頭を下げると、レナードも同じように頭を下げた。
そしてすぐにティールームを後にすると執事に連れられて城を出て、馬車に乗り込んだ。
執事は来た時のようにマルヴィナに質問もせず、無言のままだったのが印象的だった。
すぐに馬車は走り出すと、マルヴィナは深い深いため息を吐いてしまう。
「疲れたかい?」
レナードから肩を抱かれて、思わず腰を引いてしまう。
「少しだけ。もう婚約者のフリは……。城に戻ってきちんと考えなければいけないのだから」
「そうだったね。もう私はマルヴィナに決めているのだけれど、君が決めてくれないものだからね。どうだい? 私との結婚は。まだ嫌かな」
マルヴィナは黙ってしまい、俯いた。
アストリー子爵と会わせてくれたこと、自分の出自、知らなければそのままだったが、実の父の苦悩を知り、ただの他人でいようとは思えなくなった。
きっと、レナードが考えてくれたのだろう。
結婚するにしろしないにしろ、何も知らないままでは哀れだと。
そこまで考えてくれるのは有難いことだし、素直に嬉しい。
でも、レナードに好きだと言えるような気には中々なれないのだ。
(いくら子爵の血は受け継いだからといっても、育ちが違うもの)
「マルヴィナ。私と結婚する気は本当にないのかな。だったら、また明日からデートを申し込むだけなのだけれど、いいかな」
「レナード……私」
「私を嫌いじゃない?」
マルヴィナは顔を上げてそっとレナードの瞳を見つめた。
漆黒の瞳はマルヴィナをじっと真剣に見つめていて、逃げ出したくなる。
ふいっとマルヴィナが顔を逸らすと、レナードがマルヴィナ頬を両手で挟んだ。
「な、なにを?」
「逃げないで。私は本気だ。今ここでマルヴィナとふたりきりでいることに、どれほどの理性を保っているか、わかるかな?」
「いいえ」
マルヴィナは胸を鳴らし始め、頬にあった手がするりと移動し、マルヴィナの肩を抱いた。
ぞくりとするような感覚に、マルヴィナは思わず目を閉じる。
「マルヴィナ。私が薔薇の招待状を送ったのは身分問わず関係なかった。強いていえば、美人であると有名だったりした者を呼んだりしたが、それだけじゃ城には呼べる条件には満たない。フィッシャー家に相応しい女性か、その女性に足りうるか、肝心なのはそこだよ。とはいえ、周りはそれを理解してくれなかったんだけれどね」
レナードはマルヴィナの事をそっと抱いた。
もはや嫌だと抵抗することはなかった。
自分はレナードから求められ、そしてフィッシャー家に嫁ぐことにも申し分ないと言われている。
勿論、村育ちの令嬢など反対する者はいるだろうが、きっとレナードなら守ってくれるだろう。
温もりに包まれながら、アストリー子爵のことをちらりと思い出す。
(結婚、してもいいのかしら)
「レナード。私、あの……。あなたを、気になってはいるの」
「うん、それで? その続きはないのかな」
頭上からは急かすような低い声音が聞こえてきて、胸が鳴り止まない。
マルヴィナだって、自分の気持ちを言うのは恥ずかしくてたまらないのだが、もう黙っていられないような、レナードの切羽詰まった雰囲気に言わずにはいられなかった。
「あの……好きに、なりかけているから、少し待って」
「待てない。好きになりかけているのなら、好きだと言わせてみせる」
瞬間、マルヴィナの唇は塞がれていた。
「……んっ……ふぁ」
「可愛い声じゃないか、マルヴィナ」
自分でも、キスだけで体中が火照るのはおかしいとキスから逃げたくて仕方がない。
それなのに、口腔にはすぐに舌先が割入り、口内を蹂躙されてしまうと下肢がジンジンと疼き、目はとろんと虚ろになってしまう。
(変だわ、私。好きだって、思っただけよ)
「はぁ……んっ……ふぅあ……」
マルヴィナの口内では舌先が這いまわり、舌を絡め取られると思わず応じてしまう。
(だめ。私ったら)
「素直だね、マルヴィナ」
「んっ……ち、がっ……ふぁ……」
蕩けるようなキスに、マルヴィナの下肢からは蜜がトロトロと溢れ始め、ドロワースを汚すほどだった。
自分でも分かるほどで、すぐに逃げるようにキスを中断する。
「レナード、待って……」
火照る体を持て余しながらも、レナードとひとつになるのは恥ずかしさで一杯で逃げてしまう。
するとレナードはマルヴィナを立たされ腰を突き出す恰好をさせられると、スカートを捲りあげられた。
あまりの事に目を見開きレナードを見ると、床に跪いている。
「なにをするの? やめて、まだ馬車の中よっ」
「そんな顔を見せられて、まだ我慢しろなんて無理なことを言わないで欲しい」
ドロワースを引き下ろされてしまうと、蜜が下肢を伝う。
淫靡な香りが馬車に広がると、マルヴィナは頬を真っ赤に染めた。
しかし恥ずかしがっている暇もなく、じゅるっという音と共にレナードが蜜を舐め始める。
「ひっ……あぁ……そこ……やぁ……」
秘丘から亀裂まですべて舐めまわされてしまうと、もはや足ががくがくと震え始めて立っているのすら辛くなる。
淫靡に喘ぎ、吐息を漏らしながら、次第にぞくぞくと絶頂を迎えそうな程の悦楽が背筋を這うのを感じた。
「だめ……、私、これが限界……。こんな、こと……。汚いことを、レナードにさせられない」
「綺麗にしているだけだよ、マルヴィナ。とても綺麗だ」
「ち……が……そんなわけ……ひっ……あ……」
舌先が蜜壺に侵入すると等々マルヴィナは自力で立てない程になり、馬車の内壁にもたれた。
「大丈夫かい、マルヴィナ。態勢を変えようか」
言われてくるんとひっくり返されると、マルヴィナは椅子に座らされた。
しかし足は大きく開脚させられ、すぐに指が入り込む。
「レナード! ……そこ……もう……。そんなにしないでっ」
「素直なマルヴィナは、本当に可愛い。マルヴィナ、私を好きかい?」
「好きです」
蕩けるような頭で、とうとう言ってしまった。
もっとちゃんとした時に言いたかったし、きちんと言わないと意味はない。
でも、理性は吹き飛び塞いでいた気持ちを堪える自信もなかったのだ。
「好き、レナード」
もう一度言うと、指の抽送が激しくなる。
「あっ……やっあ……」
「結婚も考えてる? 本気で?」
「こんな、時に……ひっあ……そこまで……んっ……あぁ」
「そうか。じゃあ、また改めて聞く。それより、マルヴィナ、蜜が溢れて止まらないよ」
「だって、それは……」
(レナードを好きだって思うから)
言えない気持ちはまだあると思いつつ、頬を染めてうっとりと見つめるとそっと亀裂をなぞられながら、指は蜜壺に侵入に更に増やされて抜き差しがされる。
思わず腰を引いてしまうが、決して嫌ではなく、もたらされる快楽を受け止めきれずに反射的に腰を引いたのだ。
「あっ……レナード。こんな……とこ、見つかっ……たら」
「決して恥ずかしい思いはさせないよ。それに、道中長いだろう? 馬車に揺られて眠るだけじゃあ、つまらないじゃないか」
「そうだけど……んっ……やっ……動かさないでっ」
レナードの太い男性的な二本の指が内壁を擦ると、途端にマルヴィナは腰を揺らめかせてしまう。
背を仰け反らせ、なんとか快楽の坩堝から逃げようとするのだが、じわじわと昇り詰めてしまうと、マルヴィナは淫靡な吐息を吐くだけになる。
搔き混ぜられてしまうと、もはや言葉も言えずにガクガクを震える足をレナードが抱えながら、マルヴィナをじっと見つめてくるだけだ。
「こんな、顔見ないで……ひぃ……んっ……」
「可愛い顔だ。キスしていいかな」
「だっ、だめっ」
(そんなことされたらっ)
くちゅくちゅと搔き混ぜながら、レナードがマルヴィナに覆い被さりキスをしてくる。
途端、マルヴィナはレナードを全身で感じて一気に頂きを昇り詰めてしまう。
「んっ……ひっ……あっ……あっ……あぅ……」
レナードの指を咥え込み、膣をヒクヒクと痙攣させ、足はピンと張り弓なりのように体は伸びた。
「気持ちよかった? もっとしようか」
「だめっ、これ以上されたら、私、おかしくなるわっ」
「じゃあ、その続きをしてもいい?」
マルヴィナは小さく頷いた。
体中でレナードを求めるような火照りに、マルヴィナはその衝動を抑えることは出来なかった。
下肢からは蜜がトロトロに溢れて止まらず、レナードからのキスだけで果ててしまうのだ。
自分の体の変化に心が追いつかないが、レナードが熱っぽく求めることに素直に応じればいいのだと、なぜか思える。
レナードが服を脱ぎ、下着から男根を引き抜くとマルヴィナは目を見開いた。
猛る男根は脈打ち、余裕のあるレナードの表情とは正反対で今にも爆発しそうな程膨らんでいる。
男性の性器は初めて見たせいか、思わず目を逸らした。
「怖くなった? 嫌ならいいんだよ」
「いいえ。ただ、ちょっと……驚いて」
「私にしがみついているといい」
言いながら、レナードに手を引かれて肩に手を置くように促される。
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