7 / 39
第七話
しおりを挟む
それに、城に呼びつけた娘達全員にそう言っているのだから、信じていいか分からなくなるような言葉だ。しかし、真顔のレナードを見てしまうとどの娘にも幸せにすると本気で思って言っているのだろう。
(本当にナルシストだわ)
マルヴィナは少し呆れ気味に見つめてしまうと、レナードと目が合った。
ニコリと微笑まれると、レナードは眦を下げて愛おしそうにマルヴィナを見つめてくる。
その視線はまるで恋人に向けるそれのようでマルヴィナはすぐに視線を逸らした。
「マルヴィナ、美しい。君が子爵令嬢だろうが村の娘だろうが、その美しさに変わりはないよ。それに、その澄んだ心だって変わらない筈さ。さあ、母上と挨拶をして早く私のところに来てくれないか」
「あ、あの……」
「照れることはない。これからはいつだって会えるのだから」
アガサが居るというのに、まるで気にする様子もなく甘ったるい言葉を言うレナードにマルヴィナは頬を染めた。
ロイツ以外の男性とまともに話すこともなかったし、話しても農作業のことばかりで恋だの結婚だのとは無縁の話ばかりだ。
村にも同じ年頃の男性はおらず出稼ぎで街に出ていたし、農作業をする男性は少し年上だ。
慣れない言葉にたじろいでしまうと、アガサがそっとマルヴィナの前に立つ。
「レナード様。娘は村での生活が長いのです。どうか、浮ついたことを仰って弄ぶことはなさらないでいただければと思います」
「弄ぶことなんてしないさ。可愛がってあげますよ」
「それがっ! ……レナード様、くれぐれもマルヴィナが子爵令嬢だということをお忘れなく。村から連れていったからと言って、村娘のような扱いをしないでください」
「皆、身分変わらず丁寧に扱っている。何も心配はいりません。その身ひとつ来てくだされば、こちらが全てを用意しています。信用してください」
レナードがもう一度頭を下げるものだから、アガサは何も言えなくなってしまいマルヴィナの横に立った。
悔しそうに口を噛み、マルヴィナの背を抱いた。
「それでは、行きましょうか」
アシュトンはアガサが下がったのを見計らってか、声を張り上げマルヴィナの手を取る。
するとアシュトンに握られていた手をレナードが取り、馬車に連れて行かれる。
マルヴィナは振り向きアガサを見ると、茫然と立ち尽くしていた。
「お母さん!」
マルヴィナは声を張り上げると、アガサが小さく手を振り、次第に大きく手を振ってくれる。
「頑張りなさい」
アガサの弱弱しい声を聞きながら、マルヴィナはレナードに引かれて馬車に乗り込んだ。
すっかり意気消沈して俯いてしまうと、レナードがそっと肩に手を置いてくる。
男性から触れられることに慣れないせいで、肩にそっと置かれた手にすら意識が集中してしまう。
(いつもロイツと話しているじゃない。同じよ、同じ!)
「母上には気の毒なことをしたと思う。金で解決とは少々私のポリシーには反するのだが、生活の足しにして欲しいと、後々送らせてもらうつもりだ。アガサが望むものがあれば、それを用意しよう」
レナードが耳元で静かに言うが、マルヴィナは何ひとつ言葉が心に刻まれることはなかった。
アガサとの生活があってこそ、村での些細な幸せこそが全てだったのだ。
きっとアガサだってお金が欲しいだとか、望みを叶えてやると言われても断るだろう。
そもそも、マルヴィナの父から仕送りをされていたお金すら村に寄付していたのだから。
(お母さん……)
何も考えられないマルヴィナの代わりに、レナードがそっと腰に手を滑らす。
それを嫌だと払うことも出来ずに、マルヴィナは放心状態だった。
「私を嫌いになったかい?」
「好きになる自信はありません」
「そうか。でも、いつかは好きになってもらいたい。いや、好きにさせてみせるよ。城の女性は皆私を好いているからね。皆私を取り合いさ」
「そうですか」
フィッシャー邸のことなど興味がなく、ましては連れていかれた女性達にも何も感じない。
皆一様に薔薇の招待状で集められた女性で、レナードの結婚相手の候補なのだ。
嫌いになるよりは好きでいる方が良いと思うものも多々いるだろう。
マルヴィナのように拒否する方が変わっているのかもしれない。
が、あの悪い噂があるのだし、この身を守らねばと思うと浮かれてはいられない。
「マルヴィナは香水は好きかい?」
「え? いえ」
(香水って、香りを身にまとうのよね)
「私も香水を吹きかけるのだけれど、男性用はあまりなくてね。それでも綺麗な香りに包まれていたいだろう? マルヴィナも興味はあるかい? 早速買ってあげよう」
「私は……その、土の香りも素敵ですし。紅茶の香りも素敵ですし」
「ああ、そうか! 香水は苦手かい? それなら綺麗な花を沢山部屋に飾ろうじゃないか。素敵じゃないか、部屋中に薔薇を飾って……いや、百合もいいぞ。そうだ、マルヴィナの選ぶ花を部屋に沢山運ばせようじゃないか」
「あ、ありがとうございます」
楽しそうに喋るレナードとは対照的に、マルヴィナは小さく頭を下げると何を言っていいのか分からなくなって黙り込んだ。
香水の話をもっとすれば良かったのだろうが、マルヴィナには知識はなく、迂闊なことも言えないと土の香りが好きだと言ってしまった。
しかしそんな事を気にする事もなく、それに対して花で部屋を埋め尽くすと言いだす。
そのスケールの違いに、マルヴィナは勉強した筈のレディの知識やマナーなど吹き飛んでしまいそうになる。
そもそも、それが通じるかも分からなくなってきた。
「あの、レナード様」
「レナードでいいよ。皆そう呼んでいる。私はマルヴィナと呼んでいいかい?」
「……はい」
「ではマルヴィナ。花で埋めた部屋には沢山ドレスを用意させよう。すぐに夜会に行こうか」
「それでは他の女性が」
「皆の一緒さ」
「……」
マルヴィナは言葉に詰まった。
そして思わずロイツを思い出す。
(ひとりの女性で頭がいっぱいになることはないのかしら?)
レナードは屈託のない笑顔でマルヴィナを見つめながら、話しかけるものだから、母親との別れの辛さも次第に和らいできた。
忘れることは出来ないが、レナードがずっと喋っていたおかげで辛くなることはなかった。
けれど、口にすることはマルヴィナの想像とは違い大袈裟な話ばかりでついていけそうになく、頷くのが精一杯だ。
「マルヴィナはそういえば私の髪より綺麗だが、もっと綺麗にしないかい?」
「いえ、もう充分です」
「そうかい? 私は毎日清潔にして、トリートメントも欠かさずしている。そのおかげで艶やかな髪を得たんだ。マルヴィナは元が素晴らしいのだから、もっと綺麗になるんじゃないかい?」
言われて頭を撫でられると、ぴくんとマルヴィナは体を震わせる。
無謀備なつもりはなかったが、レナードとの距離を取る余裕がなく触れられても当然で咄嗟に離れた。
「逃げるなんて可愛い子だ。そういう子は好きだし、一から教えてあげたくなる」
艶やかの声音は、さっきまでの意気揚々とした口調とは少し違う。
(本当にナルシストだわ)
マルヴィナは少し呆れ気味に見つめてしまうと、レナードと目が合った。
ニコリと微笑まれると、レナードは眦を下げて愛おしそうにマルヴィナを見つめてくる。
その視線はまるで恋人に向けるそれのようでマルヴィナはすぐに視線を逸らした。
「マルヴィナ、美しい。君が子爵令嬢だろうが村の娘だろうが、その美しさに変わりはないよ。それに、その澄んだ心だって変わらない筈さ。さあ、母上と挨拶をして早く私のところに来てくれないか」
「あ、あの……」
「照れることはない。これからはいつだって会えるのだから」
アガサが居るというのに、まるで気にする様子もなく甘ったるい言葉を言うレナードにマルヴィナは頬を染めた。
ロイツ以外の男性とまともに話すこともなかったし、話しても農作業のことばかりで恋だの結婚だのとは無縁の話ばかりだ。
村にも同じ年頃の男性はおらず出稼ぎで街に出ていたし、農作業をする男性は少し年上だ。
慣れない言葉にたじろいでしまうと、アガサがそっとマルヴィナの前に立つ。
「レナード様。娘は村での生活が長いのです。どうか、浮ついたことを仰って弄ぶことはなさらないでいただければと思います」
「弄ぶことなんてしないさ。可愛がってあげますよ」
「それがっ! ……レナード様、くれぐれもマルヴィナが子爵令嬢だということをお忘れなく。村から連れていったからと言って、村娘のような扱いをしないでください」
「皆、身分変わらず丁寧に扱っている。何も心配はいりません。その身ひとつ来てくだされば、こちらが全てを用意しています。信用してください」
レナードがもう一度頭を下げるものだから、アガサは何も言えなくなってしまいマルヴィナの横に立った。
悔しそうに口を噛み、マルヴィナの背を抱いた。
「それでは、行きましょうか」
アシュトンはアガサが下がったのを見計らってか、声を張り上げマルヴィナの手を取る。
するとアシュトンに握られていた手をレナードが取り、馬車に連れて行かれる。
マルヴィナは振り向きアガサを見ると、茫然と立ち尽くしていた。
「お母さん!」
マルヴィナは声を張り上げると、アガサが小さく手を振り、次第に大きく手を振ってくれる。
「頑張りなさい」
アガサの弱弱しい声を聞きながら、マルヴィナはレナードに引かれて馬車に乗り込んだ。
すっかり意気消沈して俯いてしまうと、レナードがそっと肩に手を置いてくる。
男性から触れられることに慣れないせいで、肩にそっと置かれた手にすら意識が集中してしまう。
(いつもロイツと話しているじゃない。同じよ、同じ!)
「母上には気の毒なことをしたと思う。金で解決とは少々私のポリシーには反するのだが、生活の足しにして欲しいと、後々送らせてもらうつもりだ。アガサが望むものがあれば、それを用意しよう」
レナードが耳元で静かに言うが、マルヴィナは何ひとつ言葉が心に刻まれることはなかった。
アガサとの生活があってこそ、村での些細な幸せこそが全てだったのだ。
きっとアガサだってお金が欲しいだとか、望みを叶えてやると言われても断るだろう。
そもそも、マルヴィナの父から仕送りをされていたお金すら村に寄付していたのだから。
(お母さん……)
何も考えられないマルヴィナの代わりに、レナードがそっと腰に手を滑らす。
それを嫌だと払うことも出来ずに、マルヴィナは放心状態だった。
「私を嫌いになったかい?」
「好きになる自信はありません」
「そうか。でも、いつかは好きになってもらいたい。いや、好きにさせてみせるよ。城の女性は皆私を好いているからね。皆私を取り合いさ」
「そうですか」
フィッシャー邸のことなど興味がなく、ましては連れていかれた女性達にも何も感じない。
皆一様に薔薇の招待状で集められた女性で、レナードの結婚相手の候補なのだ。
嫌いになるよりは好きでいる方が良いと思うものも多々いるだろう。
マルヴィナのように拒否する方が変わっているのかもしれない。
が、あの悪い噂があるのだし、この身を守らねばと思うと浮かれてはいられない。
「マルヴィナは香水は好きかい?」
「え? いえ」
(香水って、香りを身にまとうのよね)
「私も香水を吹きかけるのだけれど、男性用はあまりなくてね。それでも綺麗な香りに包まれていたいだろう? マルヴィナも興味はあるかい? 早速買ってあげよう」
「私は……その、土の香りも素敵ですし。紅茶の香りも素敵ですし」
「ああ、そうか! 香水は苦手かい? それなら綺麗な花を沢山部屋に飾ろうじゃないか。素敵じゃないか、部屋中に薔薇を飾って……いや、百合もいいぞ。そうだ、マルヴィナの選ぶ花を部屋に沢山運ばせようじゃないか」
「あ、ありがとうございます」
楽しそうに喋るレナードとは対照的に、マルヴィナは小さく頭を下げると何を言っていいのか分からなくなって黙り込んだ。
香水の話をもっとすれば良かったのだろうが、マルヴィナには知識はなく、迂闊なことも言えないと土の香りが好きだと言ってしまった。
しかしそんな事を気にする事もなく、それに対して花で部屋を埋め尽くすと言いだす。
そのスケールの違いに、マルヴィナは勉強した筈のレディの知識やマナーなど吹き飛んでしまいそうになる。
そもそも、それが通じるかも分からなくなってきた。
「あの、レナード様」
「レナードでいいよ。皆そう呼んでいる。私はマルヴィナと呼んでいいかい?」
「……はい」
「ではマルヴィナ。花で埋めた部屋には沢山ドレスを用意させよう。すぐに夜会に行こうか」
「それでは他の女性が」
「皆の一緒さ」
「……」
マルヴィナは言葉に詰まった。
そして思わずロイツを思い出す。
(ひとりの女性で頭がいっぱいになることはないのかしら?)
レナードは屈託のない笑顔でマルヴィナを見つめながら、話しかけるものだから、母親との別れの辛さも次第に和らいできた。
忘れることは出来ないが、レナードがずっと喋っていたおかげで辛くなることはなかった。
けれど、口にすることはマルヴィナの想像とは違い大袈裟な話ばかりでついていけそうになく、頷くのが精一杯だ。
「マルヴィナはそういえば私の髪より綺麗だが、もっと綺麗にしないかい?」
「いえ、もう充分です」
「そうかい? 私は毎日清潔にして、トリートメントも欠かさずしている。そのおかげで艶やかな髪を得たんだ。マルヴィナは元が素晴らしいのだから、もっと綺麗になるんじゃないかい?」
言われて頭を撫でられると、ぴくんとマルヴィナは体を震わせる。
無謀備なつもりはなかったが、レナードとの距離を取る余裕がなく触れられても当然で咄嗟に離れた。
「逃げるなんて可愛い子だ。そういう子は好きだし、一から教えてあげたくなる」
艶やかの声音は、さっきまでの意気揚々とした口調とは少し違う。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
美貌の騎士団長は逃げ出した妻を甘い執愛で絡め取る
束原ミヤコ
恋愛
旧題:夫の邪魔になりたくないと家から逃げたら連れ戻されてひたすら愛されるようになりました
ラティス・オルゲンシュタットは、王国の七番目の姫である。
幻獣種の血が流れている幻獣人である、王国騎士団団長シアン・ウェルゼリアに、王を守った褒章として十五で嫁ぎ、三年。
シアンは隣国との戦争に出かけてしまい、嫁いでから話すこともなければ初夜もまだだった。
そんなある日、シアンの恋人という女性があらわれる。
ラティスが邪魔で、シアンは家に戻らない。シアンはずっとその女性の家にいるらしい。
そう告げられて、ラティスは家を出ることにした。
邪魔なのなら、いなくなろうと思った。
そんなラティスを追いかけ捕まえて、シアンは家に連れ戻す。
そして、二度と逃げないようにと、監禁して調教をはじめた。
無知な姫を全力で可愛がる差別種半人外の騎士団長の話。
大嫌いなアイツが媚薬を盛られたらしいので、不本意ながらカラダを張って救けてあげます
スケキヨ
恋愛
媚薬を盛られたミアを救けてくれたのは学生時代からのライバルで公爵家の次男坊・リアムだった。ほっとしたのも束の間、なんと今度はリアムのほうが異国の王女に媚薬を盛られて絶体絶命!?
「弟を救けてやってくれないか?」――リアムの兄の策略で、発情したリアムと同じ部屋に閉じ込められてしまったミア。気が付くと、頬を上気させ目元を潤ませたリアムの顔がすぐそばにあって……!!
『媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした』という作品の続編になります。前作は読んでいなくてもそんなに支障ありませんので、気楽にご覧ください。
・R18描写のある話には※を付けています。
・別サイトにも掲載しています。
【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。
でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?
冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!
仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。
18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。
噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。
「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」
しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。
途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。
危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。
エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。
そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。
エルネストの弟、ジェレミーだ。
ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。
心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――
【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜
まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください!
題名の☆マークがえっちシーンありです。
王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。
しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。
肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。
彼はやっと理解した。
我慢した先に何もないことを。
ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。
小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。
元男爵令嬢ですが、物凄く性欲があってエッチ好きな私は現在、最愛の夫によって毎日可愛がられています
一ノ瀬 彩音
恋愛
元々は男爵家のご令嬢であった私が、幼い頃に父親に連れられて訪れた屋敷で出会ったのは当時まだ8歳だった、
現在の彼であるヴァルディール・フォルティスだった。
当時の私は彼のことを歳の離れた幼馴染のように思っていたのだけれど、
彼が10歳になった時、正式に婚約を結ぶこととなり、
それ以来、ずっと一緒に育ってきた私達はいつしか惹かれ合うようになり、
数年後には誰もが羨むほど仲睦まじい関係となっていた。
そして、やがて大人になった私と彼は結婚することになったのだが、式を挙げた日の夜、
初夜を迎えることになった私は緊張しつつも愛する人と結ばれる喜びに浸っていた。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【完結】【R18】男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど!?
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
「俺と結婚してくれたら、衣食住完全補償。なんだったら、キミの実家に支援させてもらうよ」
「え、じゃあ結婚します!」
メラーズ王国に住まう子爵令嬢マーガレットは悩んでいた。
というのも、元々借金まみれだった家の財政状況がさらに悪化し、ついには没落か夜逃げかという二択を迫られていたのだ。
そんな中、父に「頼むからいい男を捕まえてこい!」と送り出された舞踏会にて、マーガレットは王国の二大公爵家の一つオルブルヒ家の当主クローヴィスと出逢う。
彼はマーガレットの話を聞くと、何を思ったのか「俺と契約結婚しない?」と言ってくる。
しかし、マーガレットはためらう。何故ならば……彼には男色家だといううわさがあったのだ。つまり、形だけの結婚になるのは目に見えている。
そう思ったものの、彼が提示してきた条件にマーガレットは飛びついた。
そして、マーガレットはクローヴィスの(契約)妻となった。
男色家疑惑のある自由気ままな公爵様×貧乏性で現金な子爵令嬢。
二人がなんやかんやありながらも両想いになる勘違い話。
◆hotランキング 10位ありがとうございます……!
――
◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる