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第五話
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***
「ど、どうしてまた⁉」
「こちらの夜会に参加していると噂を聞いて」
ガウェインがわざとらしく膝を折って頭を下げてくる。
今日は近隣の子爵の夜会でロバートの友人だけが集められたものであり、こぢんまりとしていた。
令嬢たちも以前の宮廷に来た者と違い、着飾っているものの少しばかり派手さに劣る。
ロバートからゆっくりと相手を探せば良いと言われて、イーニッドはお気に入りの緑色のドレスに袖を通して、胸元にリボンのあしらってある可愛らしいものを選んだ。
今日ならば良い相手もいるだろうと思って来てみれば、早々にガウェインに声を掛けられたのだ。
驚いて目を見開くしかない。別室でひっそりと空腹を満たし、やりきれない思いだっただけに、持っていたサンドウィッチを手から落としそうになる。
「ゆっくりと食べてください。俺もひとつ頂こう」
「ここにはどうやって……」
「あまり言いたくはありませんが、ソレク候の息子だと言えば地方子爵が抵抗することはありません。あまり使いたくない手ではありますが」
「あ、あなたのそういうやり方、好きじゃないわっ」
「でも、そうでもしなければ会えないものです。入り口で指を咥えて待っていろと?」
「そ、そうよ。私が帰るまで待っていれば良かったんだわ」
「その時に隣に男性がいては、俺も嫉妬してしまって、屋敷に連れ帰ってしまうかもしれない。互いの距離はじっくり詰めたいでしょう?」
何も言えなくなると、イーニッドは食べ途中のサンドウィッチを無理やり口に入れた。
美味しいのかも分からずに咀嚼していると、ガウェインも同じように食べ始める。
(私以外に、もっと素晴らしい女性がいるじゃない。わざわざ私を選ぶ必要はないわっ)
互いに黙り込んで食べていると、ガウェインが愛おしそうに目を細めてこちらを見つめてくる。
何事かと見れば、くすっと微笑まれた。
「食べている姿も愛らしい。リスのようだ」
「いい加減にしてください。私をからかっても意味はないわ」
「まあ、そう言わず。ここまで来たことの意味を、少し理解していただきたいのですが」
ガウェインが執事から食前酒を取ると、そっとイーニッドに渡してくる。
仕方なく受け取り、口を付けるとじわっと甘い苦みが広がった。
瞳を潤ませつつ、イーニッドはじっと睨む。
「理解することなどありません」
「そんな可愛らしい顔で言われても、説得力がありません。それに、夜会に来てダンスを踊っていないところを見ると、やはり壁際に立っているだけなのでは?」
「余計なお世話だわ」
(誰のせいでそうなったと思っているのかしら)
マッケンジー家のイーニッドと名乗るまでもなく、没落貴族の娘など相手にする暇はないと、男性は皆、令嬢を次々と決めている。
それを見ていられなくて、別室でサンドウィッチに手を伸ばしていたのだが。
(ガウェインがいるなんてっ)
「お暇なら、一曲。それとも、少し夜風に当たりましょうか」
目を細めて微笑む彼はやはりお世辞抜きに色香漂う何かを感じる。
すっと伸びた背だろうか、それとも、切れ長の瞳だろうかと、思わず考えそうになって慌てて首を振る。
彼のことを考えるなど、あってはいけないことだ。
「私は、あなたとはお付き合い出来ません。ダンスも踊れません」
「要求を飲むと言っているのに? 取引だと思えばいいのではありませんか?」
「結婚は……取引では……」
初心な乙女のようなことを言ってしまい、頬を染める。
家同士の結婚であり、色恋など関係ないと良く言われて育った。
しかし、取引という言葉には、なぜか反発してしまう。
心のどこかで、好きな人と結ばれたい思いがあるせいだろう。
夜会に出ても積極的になれない理由のひとつに、恋もせずに結婚をするのが、辛く悲しいような気がしていた。
イーニッドは恋のことなど頭から追い払い、ガウェインに向き直る。
彼には確かめなければいけないことがあるのだ。
上目でじっと見つめた。
ガウェインが不思議そうに首を傾げる。
「本当に、家族を王都に?」
「嘘などつきません。誓いの言葉を紙に書いても問題ないでしょう」
イーニッドは目を見開いた。
こんな大胆な嘘など初めて聞いたからだ。
それに、もしもこれが本当だとしたそれはそれで大事なのだ。
ガウェインは平然と言っているが、それは父を裏切るということになる。
「ガウェイン、あなた何を考えているの?」
「いえ、何も」
くすっと口角を上げる仕草に、ぞくっとした綺麗さを感じた。
彼は優し気な表面とは裏腹に、とてもしたたかなことを考えているような気がする。
イーニッドが食前酒に口を付けると、ガウェインはそっとグラスを取り上げた。
「こんなところで話していても、仕方がありません。バルコニーに行きましょう」
ぐっと手を引かれて、イーニッドは身体をよろけさせる。
するとすぐに腰を引かれて、身体にそっと寄り添う形になってしまった。
「ガウェイン!」
「怒ると余計に可愛らしい。怒りそうにない人ですからね」
くすっと笑われて、イーニッドは頬を染めた。
自分が他人に対して怒りを露わにしたことはあまりない。
でも、ガウェインの馴れ馴れしいような態度と、家の敵と思うとつい本音を言って声が上がる。
自分なんて放っておいて欲しいのに、どうしてこの人は自分をと、会う度に膨れる疑問だって、苛立ちの理由だ。
「私のこと、どこで?」
「何度か夜会でお見かけしています。イーニッドはいつも扇子で顔を隠していますし、周りの男性に興味がなさそうですから、分からなかったのでしょう」
「……」
バルコニーに連れ出されると、風がひゅっと頬を凪いだ。
大きく開いた胸元が寒く、肩を抱く。
すると、ガウェインがすぐにジャケットを脱いで掛けてくれた。
「ショールはないのですか?」
「外に出るなんて思わないもの」
「誰かから誘われて夜の散歩に行くかもしれないのに。もっと自分に自信を持てばいいと思うのですが」
また優しく微笑まれて、イーニッドは胸を鳴らせていた。
彼の微笑みは、とても悪いことをした人には見えずに吸い込まれるように目を奪われる。
眼差しはきついが、とても柔らかい笑みだった。自分たち一家を陥れたソレク家の人間とは思えないほど、人懐っこさを感じて困ってしまう。
頬を染めて見惚れてしまうと、ガウェインが首を傾げた。
「どうかしましたか?」
「なんでもないわ」
顔を逸らすと、自分でも歯がゆいような想いに戸惑ってしまう。
自分を認めてくれた男性など、今までいなかった。
夜会に行っても、イーニッドはつい逃げてしまい、積極的にダンスを踊れなかったのだ。
その様子をガウェインが密かに見ていたのが信じられないし、それを悪く思わないところも、イーニッドを戸惑わせる。
「どうして、そんなに頑なに俺から離れようとするんです?」
「だって……。自分で変だと思わないの? マッケンジー家に嫌われているって少しは――」
「いいえ。親のしたことと、自分のしたいことは別です。その尻拭いはさせてもらいますが」
ガウェインが肩を竦めた。
イーニッドが言葉に詰まっていると、ガウェインがそっと手を取る。
「ど、どうしてまた⁉」
「こちらの夜会に参加していると噂を聞いて」
ガウェインがわざとらしく膝を折って頭を下げてくる。
今日は近隣の子爵の夜会でロバートの友人だけが集められたものであり、こぢんまりとしていた。
令嬢たちも以前の宮廷に来た者と違い、着飾っているものの少しばかり派手さに劣る。
ロバートからゆっくりと相手を探せば良いと言われて、イーニッドはお気に入りの緑色のドレスに袖を通して、胸元にリボンのあしらってある可愛らしいものを選んだ。
今日ならば良い相手もいるだろうと思って来てみれば、早々にガウェインに声を掛けられたのだ。
驚いて目を見開くしかない。別室でひっそりと空腹を満たし、やりきれない思いだっただけに、持っていたサンドウィッチを手から落としそうになる。
「ゆっくりと食べてください。俺もひとつ頂こう」
「ここにはどうやって……」
「あまり言いたくはありませんが、ソレク候の息子だと言えば地方子爵が抵抗することはありません。あまり使いたくない手ではありますが」
「あ、あなたのそういうやり方、好きじゃないわっ」
「でも、そうでもしなければ会えないものです。入り口で指を咥えて待っていろと?」
「そ、そうよ。私が帰るまで待っていれば良かったんだわ」
「その時に隣に男性がいては、俺も嫉妬してしまって、屋敷に連れ帰ってしまうかもしれない。互いの距離はじっくり詰めたいでしょう?」
何も言えなくなると、イーニッドは食べ途中のサンドウィッチを無理やり口に入れた。
美味しいのかも分からずに咀嚼していると、ガウェインも同じように食べ始める。
(私以外に、もっと素晴らしい女性がいるじゃない。わざわざ私を選ぶ必要はないわっ)
互いに黙り込んで食べていると、ガウェインが愛おしそうに目を細めてこちらを見つめてくる。
何事かと見れば、くすっと微笑まれた。
「食べている姿も愛らしい。リスのようだ」
「いい加減にしてください。私をからかっても意味はないわ」
「まあ、そう言わず。ここまで来たことの意味を、少し理解していただきたいのですが」
ガウェインが執事から食前酒を取ると、そっとイーニッドに渡してくる。
仕方なく受け取り、口を付けるとじわっと甘い苦みが広がった。
瞳を潤ませつつ、イーニッドはじっと睨む。
「理解することなどありません」
「そんな可愛らしい顔で言われても、説得力がありません。それに、夜会に来てダンスを踊っていないところを見ると、やはり壁際に立っているだけなのでは?」
「余計なお世話だわ」
(誰のせいでそうなったと思っているのかしら)
マッケンジー家のイーニッドと名乗るまでもなく、没落貴族の娘など相手にする暇はないと、男性は皆、令嬢を次々と決めている。
それを見ていられなくて、別室でサンドウィッチに手を伸ばしていたのだが。
(ガウェインがいるなんてっ)
「お暇なら、一曲。それとも、少し夜風に当たりましょうか」
目を細めて微笑む彼はやはりお世辞抜きに色香漂う何かを感じる。
すっと伸びた背だろうか、それとも、切れ長の瞳だろうかと、思わず考えそうになって慌てて首を振る。
彼のことを考えるなど、あってはいけないことだ。
「私は、あなたとはお付き合い出来ません。ダンスも踊れません」
「要求を飲むと言っているのに? 取引だと思えばいいのではありませんか?」
「結婚は……取引では……」
初心な乙女のようなことを言ってしまい、頬を染める。
家同士の結婚であり、色恋など関係ないと良く言われて育った。
しかし、取引という言葉には、なぜか反発してしまう。
心のどこかで、好きな人と結ばれたい思いがあるせいだろう。
夜会に出ても積極的になれない理由のひとつに、恋もせずに結婚をするのが、辛く悲しいような気がしていた。
イーニッドは恋のことなど頭から追い払い、ガウェインに向き直る。
彼には確かめなければいけないことがあるのだ。
上目でじっと見つめた。
ガウェインが不思議そうに首を傾げる。
「本当に、家族を王都に?」
「嘘などつきません。誓いの言葉を紙に書いても問題ないでしょう」
イーニッドは目を見開いた。
こんな大胆な嘘など初めて聞いたからだ。
それに、もしもこれが本当だとしたそれはそれで大事なのだ。
ガウェインは平然と言っているが、それは父を裏切るということになる。
「ガウェイン、あなた何を考えているの?」
「いえ、何も」
くすっと口角を上げる仕草に、ぞくっとした綺麗さを感じた。
彼は優し気な表面とは裏腹に、とてもしたたかなことを考えているような気がする。
イーニッドが食前酒に口を付けると、ガウェインはそっとグラスを取り上げた。
「こんなところで話していても、仕方がありません。バルコニーに行きましょう」
ぐっと手を引かれて、イーニッドは身体をよろけさせる。
するとすぐに腰を引かれて、身体にそっと寄り添う形になってしまった。
「ガウェイン!」
「怒ると余計に可愛らしい。怒りそうにない人ですからね」
くすっと笑われて、イーニッドは頬を染めた。
自分が他人に対して怒りを露わにしたことはあまりない。
でも、ガウェインの馴れ馴れしいような態度と、家の敵と思うとつい本音を言って声が上がる。
自分なんて放っておいて欲しいのに、どうしてこの人は自分をと、会う度に膨れる疑問だって、苛立ちの理由だ。
「私のこと、どこで?」
「何度か夜会でお見かけしています。イーニッドはいつも扇子で顔を隠していますし、周りの男性に興味がなさそうですから、分からなかったのでしょう」
「……」
バルコニーに連れ出されると、風がひゅっと頬を凪いだ。
大きく開いた胸元が寒く、肩を抱く。
すると、ガウェインがすぐにジャケットを脱いで掛けてくれた。
「ショールはないのですか?」
「外に出るなんて思わないもの」
「誰かから誘われて夜の散歩に行くかもしれないのに。もっと自分に自信を持てばいいと思うのですが」
また優しく微笑まれて、イーニッドは胸を鳴らせていた。
彼の微笑みは、とても悪いことをした人には見えずに吸い込まれるように目を奪われる。
眼差しはきついが、とても柔らかい笑みだった。自分たち一家を陥れたソレク家の人間とは思えないほど、人懐っこさを感じて困ってしまう。
頬を染めて見惚れてしまうと、ガウェインが首を傾げた。
「どうかしましたか?」
「なんでもないわ」
顔を逸らすと、自分でも歯がゆいような想いに戸惑ってしまう。
自分を認めてくれた男性など、今までいなかった。
夜会に行っても、イーニッドはつい逃げてしまい、積極的にダンスを踊れなかったのだ。
その様子をガウェインが密かに見ていたのが信じられないし、それを悪く思わないところも、イーニッドを戸惑わせる。
「どうして、そんなに頑なに俺から離れようとするんです?」
「だって……。自分で変だと思わないの? マッケンジー家に嫌われているって少しは――」
「いいえ。親のしたことと、自分のしたいことは別です。その尻拭いはさせてもらいますが」
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