異世界で推し神布教生活

霜月雹花

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第一章

第3話 【誕生日会・1】

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 この世界に生まれて5度目の誕生日。
 5歳はこの国では大事な歳らしく、今までの誕生日会よりも盛大な準備が行われていた。

「ユリウス。暇そうだね~」

「まあ、主役は俺だから何もする事無いんだよね。服の採寸とかも終わって、本当に待つだけだし」

 家の中は慌ただしいが俺は特にする事が無く、自室にていつもやってる魔法の訓練を行っている。
 そんな俺の所には話し相手として、妖精達が来てくれていた。

「それにしてもユリウス。この数年間で魔法制御が凄く上手くなったね」

「ほぼ毎日やってるからね。ただ魔物とか倒した事が無いから、レベル自体は低いのが見栄え的にあれなんだよな……」

 妖精の言葉に俺はそう言葉を零し、自分のステータスを確認した。


名 前:ユリウス・フォン・アルバティウス
年 齢:5
種 族:ヒューマン
性 別:男
属 性:全属性

レベル:1
筋 力:1000
魔 力:1000
敏 捷:1000
 運 :87

スキル:【鑑定:4】【身体強化:3】【剣術:2】
    【属性魔法:3】【魔力制御:5】【魔力感知:4】
    【信仰心:6】
固 有:【異空間ボックス】【成長促進】
能 力
加 護:大地神の加護


 まず能力値に関して、本来普通に訓練したとしても少量しか上がらない。
 しかし、俺の場合は固有能力の【成長促進】のおかげで普通の人よりも能力値が上げやすくなっている。

 また【成長促進】はスキルにも影響していて、たった5年間でスキルのレベルをかなり上げられた。
 この世界だとスキルのレベルは10段階。
 レベル1~3が初心者、レベル4~6が中級者、7~8が上級者という組み分け。
 それ以上のレベルは生涯を賭してあげるものだったり、天才達の領域と言われているらしい。

「俺の場合だと【成長促進】があるおかげで楽にここまでこれたけど、ここから先が未知数だな。現に【信仰心】も最後にレベルが上がってから一年が経つしな……」

 ちなみに【属性魔法】に関してだが、本来であれば属性毎に分かれてるのが普通。
 しかし、俺は全ての属性を扱える為、本来分かれてるスキルが統一された形になっている。
 全属性の持ち主は全ての属性を扱える代わりに、全ての属性を熟知していかないとスキルのレベルすら上がらないと妖精に教えて貰った。
 極稀に全属性持ちの者が生まれるが、その者達はその上がり難さ故に魔法を扱うのを諦める者もいるらしい。

「その点、俺は妖精族と仲良くなれて本当に良かったよ」

「魔法の事なら私達よく知ってるもん!」

「それにユリウスは魔法の上達も早いし、教える私達も楽しいからね!」

 妖精達からの教えのおかげで俺は全ての属性に対する理解度を増し、他のスキルよりかは遅いが着実に成長をさせている。

「後は本当にレベル上げさえ出来る環境になればな……それと、能力値の詳しい情報も欲しいな」

 妖精達からある程度の事は聞いているのだが、妖精達も詳しい能力値の数値などは知らないみたいだ。
 その為、俺も自分なりに探ろうと色々と頑張ってみたが特に成果は無かった。

「今の俺の数値がどれだけの強さなのか、イマイチ分からないから早めに知りたい所だけど」

「ユリウスは勉強熱心で努力家だね~」

「「努力家だよね~」」

 妖精達からそんな風に褒められ、俺は笑みを零し「ありがとう」とお礼を言った。
 その後、更に一時間程待っていると部屋にナティアが部屋に呼びに来た。

「ユリウス様。ベッドに横にならないでくださいって言いましたよね?」

「あっ、ごめん。つい待ちくたびれて」

「折角の晴れ舞台なんですから、ユリウス様の為に国中から色んな方が来てくれてるんですよ?」

「正直、そんなに盛大に祝われるのもな……例年通りの家だけで済ませられた方が」

 そう俺が言い終わる前にナティアは、真剣な表情を浮かべながら俺の唇を摘まみ発言を止めた。

「それ以上は歴史を侮辱する事になりますよ」

「ご、ごめん」

 この5年で変わった事との一つ、それはナティアの怖さだろう。
 5年前の俺の専属に成り立ての頃は、可愛らしいメイドとしてパタパタと忙しなく動いていた。
 しかし、専属になって5年の今のナティアは既にベテランの域に達しており、俺の面倒の他にも色々と仕事を受け持っている。

「うわぁ、外にまだ並んでる……あれ全員が俺を祝いに来たの?」

「そうですよ。ユリウス様の為に来てくださった方達です。貴族の方々は勿論の事、アルバティウス家が贔屓にしている商人や、高位ランクの冒険者等も集まってますね」

「マジで色んな人達が来てるんだ。ってか、冒険者さんとかと家って繋がりがあるの?」

「ありますよ。武家ですから、今日来て下さった冒険者の中にはライアン様が直々に指導した人もいます」

 へ~、貴族だから冒険者との繋がりとかあまりないと思ってたけど、武家という家柄だからかそういった繋がりがあるのか。
 そう俺は新しい事実を知り感心し、他にもナティアから今日来た人達の情報を聞きながら待機室へと向かった。
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