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7巻
7-3
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「俺もサマディさんからお詫びとしてそれくらいの能力はもらったことがあるけど、それはあくまでお詫びとしてだったからなぁ……正直、こんな能力を簡単に渡したサマディさんの考えがよく分からないな」
「その……この能力を受け取ったとき、本当に怖くてしばらくは使えませんでした。メイナと同じように普段からお祈りはしていたけど、ここまですごい能力をもらえるほど、いい行いはしてきてないですし」
彼女が怖がるのは正直、分かる気がする。あらゆる存在の状態異常や弱点を把握するっていうのはかなり気味が悪いことだしな。
それに、急に知らない神様から特別な力をもらったら普通の人なら怖くなるだろう。それが強力なスキルだったら、なおさらだ。
とはいえ、使い方を間違えなければこれほど便利な能力はない。
「まあ、神様もルネちゃんなら悪用しないって信じて授けたんじゃないかな。あまり深く考えすぎなくていいと思うよ」
「はい、ありがとうございますラルクさん」
「これはカイ君達にも言えるけど、別に加護や特殊能力をもらったからと言っても、何か特別な使命を与えられたとかじゃないからね。あまり気を張らずに、今までと同じように過ごすこと。それと当たり前だけど、能力を悪用しちゃ駄目だよ」
「「「「はい!」」」」
俺の忠告に、カイ君達は元気に返事をした。
しかし、カイ君達のステータスはCランクの平均を超えていたな。
正直もっと低いのかと思っていたけど、俺がいないときも頑張ったみたいだ。
「それにしても、みんなよくここまで鍛えたね」
「ラルクさんがレムリードの王様に掛け合ってくれたおかげで、自由な時間が増えましたから。今までよりも冒険者として活動できる時間ができて、数日に一度は泊まり込みで狩りに行ったりもしてました」
「ああ、そっか。教会でのことが大分減ったから、そっちに時間を割けたんだ。なるほど、急成長の理由はそこにもあったってわけか」
限られた時間の中でも頑張っていたカイ君達。自由な時間が増えて、より訓練に時間を充てることができたのだろう。
それに、教会には俺が作った冒険者組のための小屋もある。そこで基礎トレーニングとかもやれるようにしていたから、天気が悪い日でも訓練を欠かさずにできたはず。
まあ、俺がやったことと言えばそういう環境を整えたくらいで、あとはカイ君達の頑張りだということに変わりはないか。
「しかし、ここまで強いとは思わなかったな……これだけ強いと、俺達のパーティに付いてきても大丈夫かもしれないね」
「えっ、ラルクさん達と一緒にですか!?」
驚いたようなカイ君に、俺は頷く。
「うん。俺達のレベルとカイ君達のレベルの間くらいの魔物なら、そんなに危なくないし歯ごたえもあると思う。もし俺の仲間がいいって言ったら、一緒にダンジョンか冒険に行ってみようか。どうかな?」
「「「「行きたいです!」」」」
カイ君達は口を揃えて言った。
よし、じゃあみんなに相談してみるか。
結果は明日伝えると言って、今日のところはお開きにすることにした。
カイ君達を玄関まで見送ったあと、俺は自分の運営する世界であるファンルードへの門を開く。レティシアさん達が依頼を終えて帰ってくるまでまだ時間があったため、先に別の用事を済ませようと思ったのだ。
ファンルードに入ったあと、俺は鍛冶屋のフォルノさんの店へと向かった。
店の中に入り、フォルノさんに用件を伝える。実は弟子達へのプレゼントを彼に作ってもらおうと考えていて、そのお願いをしに来たのである。
「ほ~、弟子に装備をプレゼントしたいのか。ラルクに弟子がいたとは驚いたな」
「少し前に話したと思いますけど、義父さんのお嫁さんの国で運営されている教会の子供達なんですよ」
「なるほどな、それでその子達に装備を贈りたいと……」
「はい。お金はもちろんですけど、もし必要な素材があればそれも用意します。お願いできますか?」
「まあ、ラルクの頼みとあれば断るわけにはいかねえな。それにしても、ラルクは本当に甘い男だな」
「甘いですかね?」
「褒めてるんだ、気にするな」
それから俺はフォルノさんにカイ君達の特徴を伝え、四人それぞれに合う武器の製作を頼んだ。
何を作るのがいいかフォルノさんと話し合い、カイ君には片手剣、ローグ君には盾、メイナちゃんには杖、ルネちゃんには弓をそれぞれ贈ることに。
「あの……実は、なるべく早く作ってほしいんですけど、大丈夫ですか?」
「なるだけ早くか……ラルクの頼みだしな、ここはいっちょ久しぶりに本気でやってみるか」
俺が頼みごとをすることは滅多にないからか、フォルノさんはやる気を出して笑顔で引き受けてくれた。
代金は先渡し。最初は多めに渡そうとしたら「それだったら作らん」と言われた。
それから客である俺がフォルノさんからの値下げ交渉を突っぱねるという妙なやり取りが発生した。
この人、俺や義父さんからは頑なにお金を受け取ろうとしないんだよな……
最終的に、希望の値段から二割ほど安くなった金額を払うことに。
「なんで頼む側の俺が値下げ交渉に耐えないといけないんですか」
「本当だったら五割まで減らそうと思ったんだがな」
「勘弁してください」
俺は逃げるように店を離れた。
元の世界に戻ってきたあと、レティシアさん達が帰ってくるのを待つ。
一時間ほどして戻ってきたので、俺はカイ君達と一緒にダンジョンを攻略するかどこかへ冒険に出てみないかと誘った。
「カイ君達と一緒に? 私はいいと思うよ」
「うん、私もいいよ~」
「久しぶりにみんなで行動できるのが楽しみだね」
レティシアさん、リン、アスラは笑顔で提案を受け入れてくれた。
俺はみんなに「ありがと」とお礼を言い、具体的にどこへ行くかの相談をする。
こうして、明日はみんな一緒に王都から近いダンジョンに行くことになった。
3 弟子と仲間とダンジョンへ
翌日。自宅にやってきたカイ君達に、一緒にダンジョンに行けることになったと伝えた。
彼らは断られる可能性のほうが大きいと考えていたみたいで、行けると聞いた瞬間、本当に嬉しそうな顔をして「よろしくお願いします」と先に自宅に集まっていたレティシアさん達へ頭を下げた。
「そういえば、カイ君達と俺達のパーティは人数が一緒だね。今回のダンジョン攻略では、それぞれの役割りごとに二人組を組んで動いてみようか」
ふとした思いつきで俺はそう言い、カイ君達とレティシアさん達のパーティにおける役割りをそれぞれ伝えつつ、みんなに並んでもらった。
まずレティシアさんとローグ君。二人は前衛だが、レティシアさんが剣で戦うタイプであるのに対し、ローグ君は守りに特化したタイプだから正反対と言えるかもしれない。
「よ、よろしくお願いします。レティシアさん」
「うん、よろしくね。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ~、ほらっリラックスリラックス」
ニコニコと笑みを浮かべるレティシアさんとはこれまた正反対に、ローグ君は緊張した様子でレティシアさんと握手を交わした。
そして次は、魔法で前衛のカバーをするアスラとメイナちゃんだ。
「よろしくお願いします。アスラさん」
「うん、よろしくメイナちゃん。僕もラルク君に魔法を教わっている身だから、一緒の魔法の師を持つ同士だね。頑張ろう」
「えっ、アスラさんもラルクさんから魔法を教わっているんですか!」
二人はもうすでに仲良くなっている様子だった。
そして次に、パーティ全体のサポート役のリンとルネちゃん。
「よろしくお願いします。リンさん」
「うん、よろしくねルネちゃん」
こちらは二人共女性ということに加え、意外と似た者同士なのかすぐに意気投合していた。
そうして最後に残ったのが俺とカイ君なんだけど……カイ君、俺と一緒に動くと知ってから固まってしまっている。
「はッ! す、すみません! ラルクさんの隣って聞いて、驚いて魂が消えてました……」
「いや、怖いこと言わないでよ……まあ、そんなに気合入れなくてもいいよ。今回行く場所はそんなに難しい場所じゃないからね」
緊張をほぐすようにそう言ってみたが、あまり効果はなかった。
カイ君だけじゃなく、ローグ君もまだ緊張しているようだ。
まあ、仕方ないと言えば仕方ないが……ダンジョンの中でもこの状態だと、いくら危険が少ないとはいえ怪我をするかもしれない。ダンジョンに着くまでになんとか和らげるしかないな。
そう考えながら、俺達は予め予約していた馬車に乗って目的のダンジョンへ向かった。
これから行くダンジョンはすでに行ったことがある場所だから転移魔法で行くことも可能だったが、それだと冒険感がなくて味気ないと思い予約していたのだった。
だけど馬車を用意して正解だったな。転移魔法で移動していたら緊張をほぐす時間を作れなかったし。
馬車で移動中、レティシアさん達はカイ君達に積極的に話しかけていた。
四人の名字が同じだというローグ君の話を聞いて、レティシアさんが驚いたように言う。
「へ~、珍しい風習だね」
「はい、それが俺達の教会のルールと言いますか。違う場所の生まれでも、姓を同じにして家族意識を高めるという教会の方針があるんです。もちろん、大人になって嫌だったら姓を取ってもいいという風になってます」
姓があるからといって特別何かあるわけではないが、それによって家族意識が増すというのはなんとなくわかる。俺も義父さんと親子になった際、自分の名前に義父さんと一緒の姓が付いて嬉しかったことを今でも覚えている。
その後、馬車の中ではいろんな話で盛り上がり、カイ君とローグ君の緊張した様子はなくなった。
一時間弱で目的のダンジョンへ到着した。
「さてと、ダンジョンに着いたわけだけど……さっき説明した通り、今回は合同探索だ。同じ役割の者同士が固まって、助け合いながら探索をする。このダンジョンに出没する魔物はカイ君達の実力より強めだから、攻撃があまり効かなくて焦るかもしれない。でも、俺達のパーティを信用して萎縮せず自由に動いてほしい」
「「「「はい!」」」」
俺の言葉にカイ君達は元気良く返事をした。
俺達はそれぞれの役割りごとに組んで、ダンジョンの中へ入っていった。
流石と言うべきか、ダンジョンに入ったカイ君達は入る前のワクワクした様子はなく真剣な表情で歩いている。
ちゃんとダンジョンでの心構えはできているみたいだ。まあCランク冒険者なら当然だな。
「ねぇ、ラルク君。私達も戦っていいって言ってたけど、どの程度力を出していいの?」
進んでいる途中、レティシアさんがそっと近寄って小声で話しかけてきた。
「基本的に、カイ君達のサポートをお願いします。彼らの実力はそこそこ高いですけど、このダンジョンにいる魔物相手だとそんなに楽に勝てないと思うので」
「了解、とりあえず様子見しながら手伝うって感じ?」
「はい、その方針でお願いします。アスラとリンもそんな感じで頼む」
「「了解」」
しばらく歩いていたら、このダンジョン初の魔物達が現れた。
出没したのは合計で四匹のスケルトン。その中には魔法使いっぽい個体がいた。
俺はカイ君に、戦闘の指示を出させてみることにした。
「カイ君、相手は四体でさらに魔法使いもいるみたいだ。どういう陣形で戦うかみんなに指示を出してもらえる?」
「は、はい! レティシアさん、ローグはそれぞれ前に出て前衛の二匹を押さえてください! アスラさんとメイナは魔法使いの個体を攻撃してください! リンさんとルネは四人のサポートを頼みます!」
四匹が相手でその中に魔法使いがいる場合、最初に叩くのは魔法使いという定石がある。
遠距離から攻撃されてパーティが壊滅することはよくあるケースだから、魔法といった遠距離攻撃を持つ魔物は何がなんでも最初に倒しておくのが基本だ。
カイ君の指示はその基本がしっかり押さえられていた。満点を出せるレベルだ。
レティシアさん達は混乱することなく作戦通りに動き、難なく魔物達を倒していった。
最初に魔法使いを倒し、前衛二匹を始末する。そして最後の一匹は、ルネちゃんの弓によって頭をぶち抜かれて戦闘は勝利に終わった。
「ラルクさん、どうでしたか?」
「……うん、いい指示出しだったと思う。声もちゃんとみんなに通っていたし、普段からちゃんと声を出しているんだなと分かったよ。みんなはどうだった?」
レティシアさん達へと視線を向けて感想を聞いてみる。
「うん、声が良く聞こえて指示も的確だったよ。その歳でそれだけできる冒険者は少ないと思うから、今のうちに鍛えたらすぐに上に行けると思う」
「僕も同じ意見だよ。ラルク君の弟子って聞いてたから、ある程度はできると思ってたけど予想以上だったかな」
「私も良かったと思う。仲間のことをちゃんと分かっていて指示を出してるんだなって感じたよ」
レティシアさん、アスラ、リンの順番でカイ君の指示出しを褒める。
カイ君は照れた様子で「あ、ありがとうございます」と頭を下げた。
そのあと他のメンバーの動きも褒めると、みんな嬉しそうな顔をしていた。
戦闘後、さらに奥へ進んでいく。
それぞれの役割り同士で仲が深まっていき、ローグ君達はレティシアさん達からアドバイスを受けていた。レティシアさん達も歳が近い冒険者に教える機会はこれまでなかったから、楽しそうだった。
今回のダンジョン探索、レティシアさん達も誘って正解だったな。
「カイ君。そろそろ休憩にしたらどうかな?」
「そうですね。僕も休んだほうがいいかなと思っていたところです」
ダンジョン探索を始めてから二時間ほどが経ち、休憩したほうが良さそうだと思いカイ君に声を掛けると、同じように考えていたみたいだ。
みんなもそろそろ休みたいと思っていたタイミングだったらしく、異論は出なかった。
座れそうな場所を探し、元々のパーティ同士で固まって座る。
休憩中、俺はレティシアさん達に今回の冒険について聞いてみた。
「レティシアさん、アスラ、リン。正直、今回の探索はどんな感じに思ってる?」
「ん~? 最初はちょっと不安だったけど、人に教えるって案外楽しいね。いい体験だなって思ってるよ」
「僕は元からラルク君の弟子達がどんな子なのか興味があったから、今回のことでよく知ることができて良かったな」
「私も楽しいよ。ほらっ、私達って同年代の冒険者の人とあまり関わりがないから、歳が近くていろんな話もできて嬉しい」
三人はそれぞれそう言った。
良かった、みんな今日のことを楽しんでくれているようだ。
それから休憩を終え、探索を再開する。
休憩前は狩りをメインに行動していたが、今度は素材採取をメインに行動している。
「カイ君達はまだあんまりダンジョンで素材を採取したことないんだっけ?」
「はい、普段はモンスターとの戦闘に重点を置いているので……」
「じゃあまずは俺達の動きを見て勉強してね」
「「「「はい!」」」」
俺はダンジョン内の素材がある場所の探し方や、素材採取するときのコツをカイ君達に丁寧に説明する。また、素材採取は全員で行うのではなく、誰か一人に採取係を任せ、残りの三人は周りを警戒してあげるのが大事だと教えた。
「カイ君達の中だと一番採取が得意なのは誰?」
一通り説明し終えたあとそう質問すると、カイ君とローグ君とメイナちゃんはパッとルネちゃんのほうを見た。
全員から視線を向けられたルネちゃんは「えっ、えっ?」と驚いている。
まあ確かに、この四人の中で誰が採取向きかと言えば、色々と多才なルネちゃんだろう。
「それじゃ、採取係はルネちゃんにしよう。ルネちゃんはそれで大丈夫?」
「あっ、はい。みんながいいなら、私が引き受けます」
「うん、まあそんな緊張しなくてもいいよ。ルネちゃんは器用だからすぐにコツを掴めると思うし、失敗しても怒る人はいないからリラックスして採取に挑もう」
俺はそう言ってルネちゃんの緊張をほぐし、鉱石を採掘できそうな場所に向かった。
採掘に必要な道具は運びやすさを重視して小さいものもあるが、それだと力がいるため、今回は普通の大きさのものを使うことに。
「採掘場所に着いたら、すぐに掘り始めるんじゃなくて周りを確認することが大事だ。採掘には時間がかかるし、近くに魔物がいたら集中して掘れないからね」
ダンジョンの素材の中で一番採取が難しいのは、やはり掘るのが面倒な鉱石系。
他の採取物はそのときそのときで価値が変わるが、鉱石に関しては一定の価値が保証されている。金を稼ぎたいなら鉱石の採取は必須だ。
まだCランク冒険者のカイ君達なら、下手に他の採取物を集めるよりも鉱石系に狙いを絞ったほうがいいと、俺はカイ君達に伝えた。
「周りに魔物の気配がないのを確認したら、採掘を始める。このとき大事なのは、速さはもちろんだけど、それよりも綺麗に掘ること。そっちを優先するほうが換金時に高く売れるからね。もし途中で魔物が襲ってきたら、ルネちゃんは無理に採掘を続けるんじゃなくてカイ君達の戦いに参戦するんだ」
「はい、鉱石は綺麗に採ることが一番大事だから、焦らないことが大事なんですね」
「そう。まあ、一番いいのは他の三人だけでルネちゃんが魔物に襲われないように魔物を足止めすることだけど、それは三人だけでの戦いに慣れてからのほうがいい」
そう俺が言うと、話を聞いていたカイ君が何かに気付いた様子で手を挙げた。
「その……この能力を受け取ったとき、本当に怖くてしばらくは使えませんでした。メイナと同じように普段からお祈りはしていたけど、ここまですごい能力をもらえるほど、いい行いはしてきてないですし」
彼女が怖がるのは正直、分かる気がする。あらゆる存在の状態異常や弱点を把握するっていうのはかなり気味が悪いことだしな。
それに、急に知らない神様から特別な力をもらったら普通の人なら怖くなるだろう。それが強力なスキルだったら、なおさらだ。
とはいえ、使い方を間違えなければこれほど便利な能力はない。
「まあ、神様もルネちゃんなら悪用しないって信じて授けたんじゃないかな。あまり深く考えすぎなくていいと思うよ」
「はい、ありがとうございますラルクさん」
「これはカイ君達にも言えるけど、別に加護や特殊能力をもらったからと言っても、何か特別な使命を与えられたとかじゃないからね。あまり気を張らずに、今までと同じように過ごすこと。それと当たり前だけど、能力を悪用しちゃ駄目だよ」
「「「「はい!」」」」
俺の忠告に、カイ君達は元気に返事をした。
しかし、カイ君達のステータスはCランクの平均を超えていたな。
正直もっと低いのかと思っていたけど、俺がいないときも頑張ったみたいだ。
「それにしても、みんなよくここまで鍛えたね」
「ラルクさんがレムリードの王様に掛け合ってくれたおかげで、自由な時間が増えましたから。今までよりも冒険者として活動できる時間ができて、数日に一度は泊まり込みで狩りに行ったりもしてました」
「ああ、そっか。教会でのことが大分減ったから、そっちに時間を割けたんだ。なるほど、急成長の理由はそこにもあったってわけか」
限られた時間の中でも頑張っていたカイ君達。自由な時間が増えて、より訓練に時間を充てることができたのだろう。
それに、教会には俺が作った冒険者組のための小屋もある。そこで基礎トレーニングとかもやれるようにしていたから、天気が悪い日でも訓練を欠かさずにできたはず。
まあ、俺がやったことと言えばそういう環境を整えたくらいで、あとはカイ君達の頑張りだということに変わりはないか。
「しかし、ここまで強いとは思わなかったな……これだけ強いと、俺達のパーティに付いてきても大丈夫かもしれないね」
「えっ、ラルクさん達と一緒にですか!?」
驚いたようなカイ君に、俺は頷く。
「うん。俺達のレベルとカイ君達のレベルの間くらいの魔物なら、そんなに危なくないし歯ごたえもあると思う。もし俺の仲間がいいって言ったら、一緒にダンジョンか冒険に行ってみようか。どうかな?」
「「「「行きたいです!」」」」
カイ君達は口を揃えて言った。
よし、じゃあみんなに相談してみるか。
結果は明日伝えると言って、今日のところはお開きにすることにした。
カイ君達を玄関まで見送ったあと、俺は自分の運営する世界であるファンルードへの門を開く。レティシアさん達が依頼を終えて帰ってくるまでまだ時間があったため、先に別の用事を済ませようと思ったのだ。
ファンルードに入ったあと、俺は鍛冶屋のフォルノさんの店へと向かった。
店の中に入り、フォルノさんに用件を伝える。実は弟子達へのプレゼントを彼に作ってもらおうと考えていて、そのお願いをしに来たのである。
「ほ~、弟子に装備をプレゼントしたいのか。ラルクに弟子がいたとは驚いたな」
「少し前に話したと思いますけど、義父さんのお嫁さんの国で運営されている教会の子供達なんですよ」
「なるほどな、それでその子達に装備を贈りたいと……」
「はい。お金はもちろんですけど、もし必要な素材があればそれも用意します。お願いできますか?」
「まあ、ラルクの頼みとあれば断るわけにはいかねえな。それにしても、ラルクは本当に甘い男だな」
「甘いですかね?」
「褒めてるんだ、気にするな」
それから俺はフォルノさんにカイ君達の特徴を伝え、四人それぞれに合う武器の製作を頼んだ。
何を作るのがいいかフォルノさんと話し合い、カイ君には片手剣、ローグ君には盾、メイナちゃんには杖、ルネちゃんには弓をそれぞれ贈ることに。
「あの……実は、なるべく早く作ってほしいんですけど、大丈夫ですか?」
「なるだけ早くか……ラルクの頼みだしな、ここはいっちょ久しぶりに本気でやってみるか」
俺が頼みごとをすることは滅多にないからか、フォルノさんはやる気を出して笑顔で引き受けてくれた。
代金は先渡し。最初は多めに渡そうとしたら「それだったら作らん」と言われた。
それから客である俺がフォルノさんからの値下げ交渉を突っぱねるという妙なやり取りが発生した。
この人、俺や義父さんからは頑なにお金を受け取ろうとしないんだよな……
最終的に、希望の値段から二割ほど安くなった金額を払うことに。
「なんで頼む側の俺が値下げ交渉に耐えないといけないんですか」
「本当だったら五割まで減らそうと思ったんだがな」
「勘弁してください」
俺は逃げるように店を離れた。
元の世界に戻ってきたあと、レティシアさん達が帰ってくるのを待つ。
一時間ほどして戻ってきたので、俺はカイ君達と一緒にダンジョンを攻略するかどこかへ冒険に出てみないかと誘った。
「カイ君達と一緒に? 私はいいと思うよ」
「うん、私もいいよ~」
「久しぶりにみんなで行動できるのが楽しみだね」
レティシアさん、リン、アスラは笑顔で提案を受け入れてくれた。
俺はみんなに「ありがと」とお礼を言い、具体的にどこへ行くかの相談をする。
こうして、明日はみんな一緒に王都から近いダンジョンに行くことになった。
3 弟子と仲間とダンジョンへ
翌日。自宅にやってきたカイ君達に、一緒にダンジョンに行けることになったと伝えた。
彼らは断られる可能性のほうが大きいと考えていたみたいで、行けると聞いた瞬間、本当に嬉しそうな顔をして「よろしくお願いします」と先に自宅に集まっていたレティシアさん達へ頭を下げた。
「そういえば、カイ君達と俺達のパーティは人数が一緒だね。今回のダンジョン攻略では、それぞれの役割りごとに二人組を組んで動いてみようか」
ふとした思いつきで俺はそう言い、カイ君達とレティシアさん達のパーティにおける役割りをそれぞれ伝えつつ、みんなに並んでもらった。
まずレティシアさんとローグ君。二人は前衛だが、レティシアさんが剣で戦うタイプであるのに対し、ローグ君は守りに特化したタイプだから正反対と言えるかもしれない。
「よ、よろしくお願いします。レティシアさん」
「うん、よろしくね。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ~、ほらっリラックスリラックス」
ニコニコと笑みを浮かべるレティシアさんとはこれまた正反対に、ローグ君は緊張した様子でレティシアさんと握手を交わした。
そして次は、魔法で前衛のカバーをするアスラとメイナちゃんだ。
「よろしくお願いします。アスラさん」
「うん、よろしくメイナちゃん。僕もラルク君に魔法を教わっている身だから、一緒の魔法の師を持つ同士だね。頑張ろう」
「えっ、アスラさんもラルクさんから魔法を教わっているんですか!」
二人はもうすでに仲良くなっている様子だった。
そして次に、パーティ全体のサポート役のリンとルネちゃん。
「よろしくお願いします。リンさん」
「うん、よろしくねルネちゃん」
こちらは二人共女性ということに加え、意外と似た者同士なのかすぐに意気投合していた。
そうして最後に残ったのが俺とカイ君なんだけど……カイ君、俺と一緒に動くと知ってから固まってしまっている。
「はッ! す、すみません! ラルクさんの隣って聞いて、驚いて魂が消えてました……」
「いや、怖いこと言わないでよ……まあ、そんなに気合入れなくてもいいよ。今回行く場所はそんなに難しい場所じゃないからね」
緊張をほぐすようにそう言ってみたが、あまり効果はなかった。
カイ君だけじゃなく、ローグ君もまだ緊張しているようだ。
まあ、仕方ないと言えば仕方ないが……ダンジョンの中でもこの状態だと、いくら危険が少ないとはいえ怪我をするかもしれない。ダンジョンに着くまでになんとか和らげるしかないな。
そう考えながら、俺達は予め予約していた馬車に乗って目的のダンジョンへ向かった。
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だけど馬車を用意して正解だったな。転移魔法で移動していたら緊張をほぐす時間を作れなかったし。
馬車で移動中、レティシアさん達はカイ君達に積極的に話しかけていた。
四人の名字が同じだというローグ君の話を聞いて、レティシアさんが驚いたように言う。
「へ~、珍しい風習だね」
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姓があるからといって特別何かあるわけではないが、それによって家族意識が増すというのはなんとなくわかる。俺も義父さんと親子になった際、自分の名前に義父さんと一緒の姓が付いて嬉しかったことを今でも覚えている。
その後、馬車の中ではいろんな話で盛り上がり、カイ君とローグ君の緊張した様子はなくなった。
一時間弱で目的のダンジョンへ到着した。
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「「「「はい!」」」」
俺の言葉にカイ君達は元気良く返事をした。
俺達はそれぞれの役割りごとに組んで、ダンジョンの中へ入っていった。
流石と言うべきか、ダンジョンに入ったカイ君達は入る前のワクワクした様子はなく真剣な表情で歩いている。
ちゃんとダンジョンでの心構えはできているみたいだ。まあCランク冒険者なら当然だな。
「ねぇ、ラルク君。私達も戦っていいって言ってたけど、どの程度力を出していいの?」
進んでいる途中、レティシアさんがそっと近寄って小声で話しかけてきた。
「基本的に、カイ君達のサポートをお願いします。彼らの実力はそこそこ高いですけど、このダンジョンにいる魔物相手だとそんなに楽に勝てないと思うので」
「了解、とりあえず様子見しながら手伝うって感じ?」
「はい、その方針でお願いします。アスラとリンもそんな感じで頼む」
「「了解」」
しばらく歩いていたら、このダンジョン初の魔物達が現れた。
出没したのは合計で四匹のスケルトン。その中には魔法使いっぽい個体がいた。
俺はカイ君に、戦闘の指示を出させてみることにした。
「カイ君、相手は四体でさらに魔法使いもいるみたいだ。どういう陣形で戦うかみんなに指示を出してもらえる?」
「は、はい! レティシアさん、ローグはそれぞれ前に出て前衛の二匹を押さえてください! アスラさんとメイナは魔法使いの個体を攻撃してください! リンさんとルネは四人のサポートを頼みます!」
四匹が相手でその中に魔法使いがいる場合、最初に叩くのは魔法使いという定石がある。
遠距離から攻撃されてパーティが壊滅することはよくあるケースだから、魔法といった遠距離攻撃を持つ魔物は何がなんでも最初に倒しておくのが基本だ。
カイ君の指示はその基本がしっかり押さえられていた。満点を出せるレベルだ。
レティシアさん達は混乱することなく作戦通りに動き、難なく魔物達を倒していった。
最初に魔法使いを倒し、前衛二匹を始末する。そして最後の一匹は、ルネちゃんの弓によって頭をぶち抜かれて戦闘は勝利に終わった。
「ラルクさん、どうでしたか?」
「……うん、いい指示出しだったと思う。声もちゃんとみんなに通っていたし、普段からちゃんと声を出しているんだなと分かったよ。みんなはどうだった?」
レティシアさん達へと視線を向けて感想を聞いてみる。
「うん、声が良く聞こえて指示も的確だったよ。その歳でそれだけできる冒険者は少ないと思うから、今のうちに鍛えたらすぐに上に行けると思う」
「僕も同じ意見だよ。ラルク君の弟子って聞いてたから、ある程度はできると思ってたけど予想以上だったかな」
「私も良かったと思う。仲間のことをちゃんと分かっていて指示を出してるんだなって感じたよ」
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カイ君は照れた様子で「あ、ありがとうございます」と頭を下げた。
そのあと他のメンバーの動きも褒めると、みんな嬉しそうな顔をしていた。
戦闘後、さらに奥へ進んでいく。
それぞれの役割り同士で仲が深まっていき、ローグ君達はレティシアさん達からアドバイスを受けていた。レティシアさん達も歳が近い冒険者に教える機会はこれまでなかったから、楽しそうだった。
今回のダンジョン探索、レティシアさん達も誘って正解だったな。
「カイ君。そろそろ休憩にしたらどうかな?」
「そうですね。僕も休んだほうがいいかなと思っていたところです」
ダンジョン探索を始めてから二時間ほどが経ち、休憩したほうが良さそうだと思いカイ君に声を掛けると、同じように考えていたみたいだ。
みんなもそろそろ休みたいと思っていたタイミングだったらしく、異論は出なかった。
座れそうな場所を探し、元々のパーティ同士で固まって座る。
休憩中、俺はレティシアさん達に今回の冒険について聞いてみた。
「レティシアさん、アスラ、リン。正直、今回の探索はどんな感じに思ってる?」
「ん~? 最初はちょっと不安だったけど、人に教えるって案外楽しいね。いい体験だなって思ってるよ」
「僕は元からラルク君の弟子達がどんな子なのか興味があったから、今回のことでよく知ることができて良かったな」
「私も楽しいよ。ほらっ、私達って同年代の冒険者の人とあまり関わりがないから、歳が近くていろんな話もできて嬉しい」
三人はそれぞれそう言った。
良かった、みんな今日のことを楽しんでくれているようだ。
それから休憩を終え、探索を再開する。
休憩前は狩りをメインに行動していたが、今度は素材採取をメインに行動している。
「カイ君達はまだあんまりダンジョンで素材を採取したことないんだっけ?」
「はい、普段はモンスターとの戦闘に重点を置いているので……」
「じゃあまずは俺達の動きを見て勉強してね」
「「「「はい!」」」」
俺はダンジョン内の素材がある場所の探し方や、素材採取するときのコツをカイ君達に丁寧に説明する。また、素材採取は全員で行うのではなく、誰か一人に採取係を任せ、残りの三人は周りを警戒してあげるのが大事だと教えた。
「カイ君達の中だと一番採取が得意なのは誰?」
一通り説明し終えたあとそう質問すると、カイ君とローグ君とメイナちゃんはパッとルネちゃんのほうを見た。
全員から視線を向けられたルネちゃんは「えっ、えっ?」と驚いている。
まあ確かに、この四人の中で誰が採取向きかと言えば、色々と多才なルネちゃんだろう。
「それじゃ、採取係はルネちゃんにしよう。ルネちゃんはそれで大丈夫?」
「あっ、はい。みんながいいなら、私が引き受けます」
「うん、まあそんな緊張しなくてもいいよ。ルネちゃんは器用だからすぐにコツを掴めると思うし、失敗しても怒る人はいないからリラックスして採取に挑もう」
俺はそう言ってルネちゃんの緊張をほぐし、鉱石を採掘できそうな場所に向かった。
採掘に必要な道具は運びやすさを重視して小さいものもあるが、それだと力がいるため、今回は普通の大きさのものを使うことに。
「採掘場所に着いたら、すぐに掘り始めるんじゃなくて周りを確認することが大事だ。採掘には時間がかかるし、近くに魔物がいたら集中して掘れないからね」
ダンジョンの素材の中で一番採取が難しいのは、やはり掘るのが面倒な鉱石系。
他の採取物はそのときそのときで価値が変わるが、鉱石に関しては一定の価値が保証されている。金を稼ぎたいなら鉱石の採取は必須だ。
まだCランク冒険者のカイ君達なら、下手に他の採取物を集めるよりも鉱石系に狙いを絞ったほうがいいと、俺はカイ君達に伝えた。
「周りに魔物の気配がないのを確認したら、採掘を始める。このとき大事なのは、速さはもちろんだけど、それよりも綺麗に掘ること。そっちを優先するほうが換金時に高く売れるからね。もし途中で魔物が襲ってきたら、ルネちゃんは無理に採掘を続けるんじゃなくてカイ君達の戦いに参戦するんだ」
「はい、鉱石は綺麗に採ることが一番大事だから、焦らないことが大事なんですね」
「そう。まあ、一番いいのは他の三人だけでルネちゃんが魔物に襲われないように魔物を足止めすることだけど、それは三人だけでの戦いに慣れてからのほうがいい」
そう俺が言うと、話を聞いていたカイ君が何かに気付いた様子で手を挙げた。
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