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第十章
第440話 【参戦者達・2】
しおりを挟むその後、アルスさんから「また何かあれば報告するよ」と言われて、部屋を退室した。
アルスさんとの話し合いの為だけにここに来ていたので、再びシャファルを呼び出してヴォルトリス領に帰り楽園に入った。
今日は迷宮に行くのではなく、新しい俺と義父さんの装備を受け取りにフォルノさんの店に向かった。
「フォルノさん、装備出来てますか?」
「おっ、ラルクにグルド来たか! 装備出来てるぜ!」
店に着くと、フォルノさんはそう俺達を出迎えてくれた。
そして少し店内で待っていると、フォルノさんと店員さんが俺と義父さんの新しい装備を持ってきてくれた。
今回の装備、これまで使うのを躊躇って中々使ってこなかったシャファルの素材を使う事にした。
「まずはグルドからだな、グルドは近接戦闘を主に行うから鎧タイプでガッチリと強度を強めた物にしてみた。色合いもお前好みの黒にしてやったぜ」
「見ただけで凄さが分かる。流石、フォルノだな。ここまでの装備、俺は見た事が無い」
「今回は俺の腕というより、素材が良かったからな。イアリングの時も感じたが、やはり賢竜の素材はその辺の竜種の素材に比べて、何倍も良い物だったよ」
フォルノさんはそう言いながら、義父さんの新しい武器を取り出した。
今回、義父さんは俺と違って防具と武器、両方作って貰っている。
「この剣も見た目ほど重くも無いし、何なら軽く感じるな」
「ああ、その剣には〖軽量化〗が付いてるってのもあるけど、元の素材のおかげで更に軽く感じるんだろう。それでも切れ味は凄いぜ? ほれ、これで試してみろ」
そうフォルノさんは言いながら、店に飾ってある固そうな大剣を義父さんの前に持って行った。
義父さんは「良いのか?」と再確認をして、大剣に向かって剣を振った。
すると、義父さんが持つ剣の方は何ともなく、大剣の方はスパッと切れてしまった。
「……凄すぎだろ」
「生涯の自信作だなこいつは」
ハハッと鼻の下を掻きながら、フォルノさんはそう言った。
そして次は、俺の装備のお披露目となった。
俺は義父さんと違い、装備だけと注文したがどんな装備が来るかワクワクしている。
「んで待たせたなラルク、こっちがお前の装備だ」
そう言いながら箱から取り出されたのは、普通の服っぽい布製の様な物だった。
「ラルクは両方で戦うけど、どちらかと言えば魔法って言ってただろ? だから、強度はそこそこに動きやすさを重視したんだよ。こんな見た目だが、そこらの鎧よりかは耐久度は高いぞ」
「ありがとうございます!」
俺は装備を受け取り、その質感等を確かめ、確かに強度が有りそうな質感だった。
「んで、ラルクは武器は要らないって言ってたけど本当に良かったのか?」
「はい、俺にはこれが有るので」
そう言って〖便利ボックス〗から、女神が残した神剣ガララークを取り出した。
こいつ程の武器は、そう滅多に無いだろうし、何より使い慣れているから新しくしなくても良いだろうと判断した。
「神が作り出した剣か……流石に俺も、その領域の装備は作れないな」
フォルノさんはガララークをジッと見つめ、ため息交じりにそう言った。
それから俺と義父さんは新しい防具に着替え、装備を試す為に迷宮に向かった。
最近使っている迷宮に、シャファルに連れて来てもらうと、迷宮の入り口にフードを深く被った人が立って居た。
その人物を見ていると、俺達の存在に気付きフードを外した。
「グルドさん、ラルク。久しぶり」
「イデル!?」
「イデルさん、どうしたんですか?」
フードの人は少し前、ゼラさんの所に来て竜討伐に参加するとだけ言い、姿を見せなかったイデルさんだった。
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