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第十章
第439話 【参戦者達・1】
しおりを挟むあれから更に数日が経過して、俺と義父さんは王都へと呼び出された。
遂に竜が動き出したと、アルスさんの手紙に書かれていた。
「動き出したとは書かれてたけど、まだこっちには来てないみたいだね」
「ああ、封印した場所は地下深くの場所で這い出て来るのに時間が掛かってるんだろう。それに以前来た時もそうだったが、魔物を引き連れて来てたから向こうも向こうで仲間を集めて居るんだろうな」
「成程、流石一度戦った事のある人の言葉だね」
そう言うと、義父さんは「まあ、負けてるがな」と言って俺達は城の中へと入って行った。
それからアルスさんの部屋に着いた俺達は、部屋の中に入り呼び出された内容を聞いた。
呼び出された内容は、こちらの戦力と向こうの現在の動きについて聞いた。
「竜の動き今の所、封印の場所から動いてないけど周りの魔物達の動きが変わっていて、既に他の地域では魔物の生息地域が変わっている所もあるみたいだ」
「そんなに早くにか……」
「そう言えば、シャファルが銀竜の山に居た時も魔物の生息地域が変わってましたね……」
「うん、竜種の魔力はとてつもない程大きいから、普通の魔物は逃げ出す者も多いんだよ。それで、生息地域が変わって普段暮らしている場所に、魔物が発生しているんだよ。その件には既にギルドと協力して、兵士と冒険者を派遣して魔物の駆除をしているよ」
アルスさんの言葉に、義父さんは「ギルドも動きが早いな」と口にした。
すると、アルスさんは微かに笑って、義父さんを指さした。
「グルドの時にギルドは失敗したから、今回は失敗しない様に全力で取り掛かってるんだよ」
「成程な、あの時のせいで未だに、ギルドを根に持っている者も居ると偶に聞くしな」
「えっ、何でギルドを根に持つ人が居るんですか?」
義父さんとアルスさんの会話に、俺はそう口を挟んだ。
だって、竜が来た時にギルドが動けなかったのは、冒険者が居なかったから仕方ないんじゃ?
「ギルドが迷宮の情報を流して、そっちに冒険者が行っちまって王都に冒険者が少なくなって対処出来なかったからだよ。もし、ギルドが迷宮の情報を出さなかったら~っていう奴が居るんだよ」
「え~、それは八つ当たりすぎるでしょ……」
「俺もそう思うよ。だから、俺にそう言って一緒にギルドを訴えようって言って来た奴の事は無視して、ギルドの職員になったんだよ」
そんな過去があったとは、俺は全く知らなかった。
「まあ、そんな話は良いとして、竜討伐に出る冒険者はどうなったんだ?」
「そっちも大分集まってるよ。ベアーズファミリーが先頭切って参加表明してくれたおかげか、他の冒険者達も参加してくれているよ。その多くが当時、竜と戦えず迷宮に行っていた冒険者って事だけは、伝えておくよ」
「……」
アルスさんがニコニコとしながら義父さんに言うと、義父さんは返事を返さず顔を隠した。
俺の位置からだとバッチリと義父さんの顔が見えて、義父さんは嬉しそうな顔をしていた。
「ラルク君、グルドから手紙では聞いているけど楽園の戦力はどんな感じなのかな?」
アルスさんにそう聞かれた俺は、現時点で参加が決まっているメンバーの名前を書きだした紙を渡した。
そこには、シャファルやゼラさんの名前は勿論、イデルさんやセヴィスさんの名前も書いてある。
名前だけじゃ誰か予想出来ないと思い、一応種族の名前を書いてある。
「……竜に悪魔、他にも凄い種族の名前ばかりだね」
「まあ、それはまだ一部ですけどね」
そう言うと、アルスさんは「ラルク君が味方に居て、本当に良かった」と言った。
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