初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花

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第十章

第436話 【戦の準備・1】

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 会議の翌日、俺は現世の方で義父さん、アスラ、レティシアさんの4人で集まっていた。
 集まった理由は勿論、竜の事について説明する為だ。

「アスラとレティシアさんには、悪いけど今回の戦いの前線にはアスラ達を連れて行く事は出来ない」

 説明を終えた俺は、そうアスラ達に真剣な表情で言った。

「それ程の敵なんだね今回の相手は……」

「はい、シャファルでも苦戦したと聞いています。なので、アスラとレティシアさんには今回の戦いからは離れていて欲しいんです」

「ごめんね。ラルク君の助けになれなくて……」

 俺の言葉にアスラは、悔しそうな表情でそう言った。
 レティシアさんも戦力外通告を言われ、悔しそうに拳を握っている。

「アスラ、レティシア。そんなに悔しがるな、今回の相手は格が違い過ぎるんだ。俺だって、マスターから忠告されてる身だからな」

「グルドさん……」

「それにな、アスラ達がこの家でシャルル達を守っていてくれていた方が、俺とラルクも戦いやすい。だから、二人にはこの家を俺達が戻ってくるまで守っていて欲しいんだ」

 義父さんがそう言うと、アスラ達は「はい!」と返事をした。
 その後、アスラ達は部屋を退出し、俺と義父さんだけが残った。

「……ラルク、辛かっただろ」

「そりゃね。これまで一緒に戦って来た仲間で友人のアスラ達を、戦う能力が足りないって言って突き放したからね……」

 俺だって本当だったら、アスラ達と一緒に戦いたかった。
 でも、今回だけは私情で仲間を連れて行く相手ではない。
 もし万が一の事があれば、俺は一生自分を恨んでしまうだろう。

「ラルク、頑張るぞ」

「うん、アスラ達の分も頑張って、決戦の時まで準備をするよ」

 そう俺達は言って、早速自分達の訓練の為に庭に出た。
 互いに一通りの準備運動を終えて、模擬戦用の剣を取った。

「ラルク、本気に近い戦いをしたいから、魔法も使って構わないからな」

「良いの?」

「ああ、でも流石に音がうるさいのとかは無しだぞ? 子供達が寝てるからな」

「そこは分かってるよ」

 その後、俺と義父さんは子供達の事を考えながら、実戦的な模擬戦を行った。
 それで分かったのだが、義父さんは戦いの勘が大分鈍っている様子だった。

「やっぱりな、魔物ともほぼ戦ってなかったから体の反応が遅れてるよ」

「フィアさんの言った事は本当でしたね……どうする? もう少し続ける?」

「いや、これは本格的に魔物と戦った方が良いだろうな。移動面も考えて、楽園内の迷宮を使っても良いか?」

 そう義父さんに言われた俺は、楽園の中に義父さんと一緒に入った。
 そして、シャファルを呼び出して、義父さんに合った迷宮へと案内した。

「楽園の迷宮って、どんな感じだろうって思ってたが案外外と変わらないんだな……」

「まあ迷宮を作っているのは神様で、楽園内の迷宮も神様が作ってるからね。別に変ったところはないよ」

 マジマジと迷宮の構造を見ている義父さんはにそう言い、奥へと進んで行った。
 少し進むと魔物が出てき始めて、義父さんは剣を取り戦闘を始めた。

「くっ、こんのッ! オラッ!」

「義父さん俺と戦ってた時より、動きが酷いよ~」

「分かってる! ラルクはちゃんと見張っててくれよ!」

 普段の模擬戦より戦いが雑な義父さんに、茶々を入れながら他の魔物が邪魔しないように見張りを続けた。
 最初は魔物と一対一で戦い、徐々に魔物の数を増やしていくやり方で感覚を取り戻すと義父さんは言っていた。
 その言葉通りに、迷宮に入って一対一で魔物と戦っている。

「義父さん、大丈夫?」

「まだいけるから、次の魔物を探すぞ」

 魔物との戦闘が終わった義父さんに声を掛けると、そう返事を返してきた。
 俺はそんな義父さんの顔色と体調を見て、まだ大丈夫そうだと判断して一緒に迷宮の奥へと向かった。
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