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第十章
第435話 【神が作った竜・3】
しおりを挟むシャファル達の自信に満ちた顔を見た参加者達は、少しだけ不安な気持ちが取れた。
「さて、戦いをすると言っても我等はどう戦う? 連携は必要じゃろうし、ラルクいい案はあるか?」
「そうよね。ラルク君、何か案あるかしら?」
どう戦うか悩んでいたシャファルとゼラさんは、そう口にして俺に尋ねて来た。
「そうですね……連絡役と前線攻撃要因として、俺がシャファルの背に乗って前線に出るというのが一番いい手ですかね」
「それだと、流石にラルク君の危険じゃない?」
「そうじゃぞ、聖国の時とは違って相手は竜じゃ、舐めない方が良いぞ?」
「そうですよ。ラルク様が実力に自信があるとしても、そんな前線に出すわけにはいきませんよ」
俺の提案に対してゼラさん達は、全員否定的感じだった。
それに加えて、会議参加メンバーの人達からもそれは駄目だと言われてしまった。
「う~ん、それだとどうしましょう。ゼラさん達、悪魔部隊で前を任せてシャファルを後方支援にさせるのも良いと思いますけど、それだとシャファルが嫌でしょ?」
「そうじゃな、我としてもあやつとは戦いたいしのう。……じゃが、連携の問題であれば我は後ろに下がっても良いぞ」
「えっ、良いの? こういう時、シャファル絶対に引かないだろ?」
シャファルの了承の言葉に対して、俺は驚いた顔をしてそう言った。
だって、あのシャファルが前から離れて後ろに下がるって、そんな事今まで無かった。
「ラルクが我の事をどう思っているか、大体検討が付くが我だって考えて行動するんだぞ? いくら自分がやりたい事でも、他の者に迷惑が掛かるのであれば自重する」
「シャファル君がそれでいいなら、私達4人で前に出て竜と戦うわね。それでもしも、無理そうだったらシャファル君とラルク君に前に出て貰って、他の人達は支援だったりサポートをしてもらっていいかしら?」
シャファルの言葉を聞いたゼラさんは、そう纏めて言うと会議に参加していたメンバー達は、それで良いと返事を返した。
それから、会議の参加メンバー達は急いでこの話を、自分達の部下に伝えに行った。
シャファルやファルドさん達も出て行き、部屋には俺とゼラさんだけとなった。
「それじゃ、取り敢えず楽園の出動部隊は私達の方で何とかするわ」
「助かります。俺も外で、義父さんと色々と準備があるのでこちらの事はゼラさん達に任せます。出発の日はまだ決まってませんが、二日は猶予があると思いますので」
「ええ、分かったわ、ラルク君も頑張ってね」
そうゼラさんから言われた俺は、「はい」と返事をして楽園を出た。
楽園を出た俺は、直ぐに義父さんが居る部屋に向かった。
「どうだったシャファル達の返事は?」
「一応、楽園の戦える者達の全勢力を合わせて戦いに参戦する事が決まったよ。竜相手には、最初ゼラさんと他の3人の悪魔が攻撃を仕掛けて、無理そうだったら俺やシャファルが攻撃に入るって感じの作戦まで決まったね」
「短時間でよくそこまで決まったな、こっちはまだ何にも決まってないのに……」
義父さんがそう言うと、俺達が居る部屋に新たな人物の魔力を感じた。
その人物は、普通に扉からではなく転移魔法で部屋の中に現れた。
「フィアさん!」
そう俺が部屋に現れた人物、フィアさんに声を掛けた。
すると、フィアさんは俺の方を向いて「久しぶりね」と声を掛けてくれた。
「フィアさん、どうしたんですか急に?」
「ええ、竜についての追加情報を伝えに来たのよ」
フィアさんの言葉に、俺と義父さんは固まりジッとフィアさんの方を見つめた。
そんな俺達の様子に、フィアさんも真剣な様子で話し始めた。
「あの竜、目覚めて直ぐに封印を解いた聖国の残党を殺して、封印をした地下洞窟から出ようとしているみたなのよ。魔道具で観察しただけだから、詳しい状況は分からないけど、準備する時間はあまり無いみたいよ」
「マジですか……」
「嫌な予感はしたが、まさかもう動き始めたか……」
フィアさんの言葉を聞いた俺達は、そう気持ちが下がって口にした。
そんな俺達に対して、フィアさんは現状の戦力について聞いて来た。
多分、フィアさんも俺がシャファル達に話す事を見越して、その話題に触れたのだろう。
俺はそれを察して、先程の会議の結果を伝えた。
「……それだけ聞くと、過剰戦力の様に聞こえちゃうけど、竜の強さが今どうなっているのか分からないし、戦力を多めに見積もっておくのは大事ね」
フィアさんはそう言うと、義父さんの方を見て「参戦するの?」と聞いた。
「一応、そのつもりですね。もし、竜を討伐出来なかったら今度こそレコンメティスは危険な事になるだろうし、そうなったら折角生まれて来た子供達が危険な目に合うので、俺も参加しますよ」
「そっか、まあそうよね。でもグルド、貴方は一度前線から引いて身ってのを理解して戦いに挑むのよ? いくら、ラルク君達と模擬戦をしていても本当の戦いの感覚は、一度引いた者は中々取り戻せないからね」
「はい、分かっています」
フィアさんの言葉に、義父さんは真剣な表情で返事をした。
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