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第十章
第434話 【神が作った竜・2】
しおりを挟む建物に入り、ゼラさんの部屋に入った俺とシャファル。
突然の俺達の訪問に、ゼラさんは少し驚いていた。
「ラルク君だけなら、偶に来る事があるから驚かないけどシャファル君も一緒にって何かあったの?」
「察しが良いの、ゼラは」
「はい、実は現世の方で物凄くヤバイ事になってまして」
そう俺は話を切り出して、今日聞いた内容をゼラさんに伝えた。
一気に多くの事を知ったゼラさんは、頭が痛くなったのか頭を押さえて溜息を吐いた。
「相当深刻な状況ね。神が作った竜って事は、少なくともシャファル君クラスの竜を相手にしないといけないのよね?」
「そうなりますね。それも、女神が強大な力も与えているので少なくともシャファル以上という可能性も……」
「それは無い! 我は、一度勝ちそうな所まで行ったんじゃ!」
俺の言葉に、そう反論するシャファル。
しかし、その言葉に俺はとある仮説を話した。
「なあ、竜って成長するにつれて、力も上がるんだよな? だとしたら、この封印されている期間、その竜は成長して以前よりも力は強くなっているという可能性は無いのか?」
「……それはありえるな。封印されていたとしても、完全に外との魔力を絶つ事は出来んだろうからの」
「だとしたら、当時シャファルが苦戦したが勝てる相手だった竜は、成長して苦戦して勝てる見込みが不安な、相手になってるというのは無いのか?」
「……」
俺の言葉にシャファルは、黙ってしまった。
「その仮説通りだったら、相当危険な相手になるわね。これは、楽園の全勢力を使って対処した方が良いわね」
「はい、その為にゼラさんに話を伝えに来ました。今から、緊急会議を始めたいのですが良いですか?」
そう俺が言うと、ゼラさんは「そうね。分かったわ」と言って、緊急会議招集の合図を放った。
緊急会議、楽園誕生から直ぐにした会議の時に作っていた物だが、これまで使った事が無かった。
なので、それが行われたと知った会議参加メンバーは急いで会議室へと集まった。
「え~、集まってくれてありがとう。緊急会議の合図に驚いた人も多いと思うけど、これから話す内容の方が、驚くから心の準備だけはしておいて」
参加メンバーが揃い会議開始前に、俺はそう言った。
そして、会議が始まり俺の口から今回の会議内容を伝えた。
聖国の残党、竜の復活、その竜が女神が作った竜で強大な力を持ちシャファルでも苦戦したと伝えた。
それらを知った参加者達は、驚きすぎて逆に冷静になっていた。
「あの、楽園に避難させるっていうのは駄目なんですか?」
「時間が足りないだろ、避難の途中で竜に襲われて、戦う準備も無く蹂躙されるだけだな」
一人の参加者が案を言うと、他の参加者がそう口にした。
それから30分程、色んな案が飛び交ったが、特にいい案も出ずに会議室は重たい雰囲気になっていた。
「あの、ラルク様はどうお考えなんですか?」
会議中、皆の意見を聞いていた俺に参加者の一人がそう俺に聞いて来た。
「俺の案としては、竜の討伐ですね。最初にシャファルでも苦戦すると言ったけど、この楽園にはシャファルクラスの力を持つゼラさんが居ます。そのゼラさんと同等の力を持つ悪魔である方達も居るから戦いを挑むのは、有りかなと俺は思っていますね」
そう口にすると、参加者達は若干不安そうにシャファル達の方を見た。
「我としては、その案には賛成じゃな。我とゼラ達が前線に立ち、他の者達も後方から攻撃なり、支援をすればなんとかなりそうな気もする」
「そうね。私としても、その案は賛成よ。私達より後から生まれているのに、神の力で私達より上だとしても経験は私達のが上だもの」
シャファル、ゼラさん、そしてファルドさん達も同じように竜との戦いに賛成と言った。
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