181 / 206
第十章
第434話 【神が作った竜・2】
しおりを挟む建物に入り、ゼラさんの部屋に入った俺とシャファル。
突然の俺達の訪問に、ゼラさんは少し驚いていた。
「ラルク君だけなら、偶に来る事があるから驚かないけどシャファル君も一緒にって何かあったの?」
「察しが良いの、ゼラは」
「はい、実は現世の方で物凄くヤバイ事になってまして」
そう俺は話を切り出して、今日聞いた内容をゼラさんに伝えた。
一気に多くの事を知ったゼラさんは、頭が痛くなったのか頭を押さえて溜息を吐いた。
「相当深刻な状況ね。神が作った竜って事は、少なくともシャファル君クラスの竜を相手にしないといけないのよね?」
「そうなりますね。それも、女神が強大な力も与えているので少なくともシャファル以上という可能性も……」
「それは無い! 我は、一度勝ちそうな所まで行ったんじゃ!」
俺の言葉に、そう反論するシャファル。
しかし、その言葉に俺はとある仮説を話した。
「なあ、竜って成長するにつれて、力も上がるんだよな? だとしたら、この封印されている期間、その竜は成長して以前よりも力は強くなっているという可能性は無いのか?」
「……それはありえるな。封印されていたとしても、完全に外との魔力を絶つ事は出来んだろうからの」
「だとしたら、当時シャファルが苦戦したが勝てる相手だった竜は、成長して苦戦して勝てる見込みが不安な、相手になってるというのは無いのか?」
「……」
俺の言葉にシャファルは、黙ってしまった。
「その仮説通りだったら、相当危険な相手になるわね。これは、楽園の全勢力を使って対処した方が良いわね」
「はい、その為にゼラさんに話を伝えに来ました。今から、緊急会議を始めたいのですが良いですか?」
そう俺が言うと、ゼラさんは「そうね。分かったわ」と言って、緊急会議招集の合図を放った。
緊急会議、楽園誕生から直ぐにした会議の時に作っていた物だが、これまで使った事が無かった。
なので、それが行われたと知った会議参加メンバーは急いで会議室へと集まった。
「え~、集まってくれてありがとう。緊急会議の合図に驚いた人も多いと思うけど、これから話す内容の方が、驚くから心の準備だけはしておいて」
参加メンバーが揃い会議開始前に、俺はそう言った。
そして、会議が始まり俺の口から今回の会議内容を伝えた。
聖国の残党、竜の復活、その竜が女神が作った竜で強大な力を持ちシャファルでも苦戦したと伝えた。
それらを知った参加者達は、驚きすぎて逆に冷静になっていた。
「あの、楽園に避難させるっていうのは駄目なんですか?」
「時間が足りないだろ、避難の途中で竜に襲われて、戦う準備も無く蹂躙されるだけだな」
一人の参加者が案を言うと、他の参加者がそう口にした。
それから30分程、色んな案が飛び交ったが、特にいい案も出ずに会議室は重たい雰囲気になっていた。
「あの、ラルク様はどうお考えなんですか?」
会議中、皆の意見を聞いていた俺に参加者の一人がそう俺に聞いて来た。
「俺の案としては、竜の討伐ですね。最初にシャファルでも苦戦すると言ったけど、この楽園にはシャファルクラスの力を持つゼラさんが居ます。そのゼラさんと同等の力を持つ悪魔である方達も居るから戦いを挑むのは、有りかなと俺は思っていますね」
そう口にすると、参加者達は若干不安そうにシャファル達の方を見た。
「我としては、その案には賛成じゃな。我とゼラ達が前線に立ち、他の者達も後方から攻撃なり、支援をすればなんとかなりそうな気もする」
「そうね。私としても、その案は賛成よ。私達より後から生まれているのに、神の力で私達より上だとしても経験は私達のが上だもの」
シャファル、ゼラさん、そしてファルドさん達も同じように竜との戦いに賛成と言った。
95
お気に入りに追加
20,562
あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。