初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花

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第十章

第433話 【神が作った竜・1】

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 サマディさんが現れると、義父さんとアルスさんはサマディさんに対して一礼した。
 俺も義父さん達に合わせて、一礼した。

「ごめんね。急に来ちゃって、そんな畏まらなくていいよ」

「いえ、流石に神様相手に畏まるなと言われましても、無理があります」

 サマディさんの言葉に、義父さんがそう答えるとアルスさんも同じ意見で頷いた。
 そうだよね~と、サマディさんは言って今回来た理由、聖国について話を始めた。

「まず、竜の封印の居場所についてだけどね。薄々気づいて居ると思うけど、教えたのは聖国の女神だった彼女だよ」

「やっぱりですか……」

 サマディさんの言葉に、俺は内心そうだろうなと思っていた内容と同じで、そう言葉を零した。
 それには義父さん達も同じだったようで、あの女神ならやりかねんと言った表情をしていた。

「居なくなった後も彼女のせいで迷惑を掛けて、ラルク君達には本当に申し訳ないと思ってるよ。ごめんね」

「サマディエラ様が謝る事じゃないですよ。それに今回のは、情報を流したのは女神だったとしても実行したのは聖国の残党です。それは私達が見逃してしまった者達ですから、自分達の責任です」

 謝罪をするサマディさんに対して、アルスさんはそう言った。
 そんなアルスさんに対して、サマディさんは何処か言い難そうな顔をして発言した。

「うん、そう言ってくれるのは私としても助かるんだけど……」

 サマディさんはそこで一度言葉を止めて、覚悟をした様子で言葉を続けた。

「そもそも、あの竜は女神が面白半分で下界に作った生物なんだ」

「「「えっ!?」」」

 サマディさんの爆弾発言に、俺達は一斉に驚いた声を上げた。

「あの当時の事は、特に平凡な感じだったから私もよく覚えてないんだけど、後々あの子が下界に竜を作った事が分かったんだ」

「マジですか……」

「神が作った竜……」

「流石にそれは……」

 俺達はサマディさんの言葉に、そう口々に理解できないと言った感じに言葉を発した。
 その後、サマディさんは「ラルク君達の無事を祈ってる」と言って、神界へと帰った。

「……まさか、こうなるとはね」

「こんな事、誰が予想できるかって感じだがな……しかし、俺が戦った相手がまさか神が作った竜だとはな……」

「それにシャファルの様に、人を守る竜じゃなくて、人を襲う竜を作るなんて何処まで性格の悪い神だったんだよ……」

 サマディさんが居なくなった部屋で、俺達は一気に気持ちが沈んだ状態でそう言葉を発した。
 神が作り出した竜、それだけでどれだけ強いのか理解できた。

「これはマズイ事になったね。戦える者を招集して、竜の対処を急がないと」

 アルスさんは、沈んでいた気持ちをいち早く切り替えてそう言った。
 そうだよな、いつまでも気持ちを沈ませていても竜は待っていてくれない!

「俺もシャファル達に話を伝えて、戦える者を集めてみますね」

「ラルク君のその言葉は、本当に心強いよ」

 アルスさんは無理に笑顔を作り、そう俺に言い解散した。
 解散後、部屋から出てシャファルの転移魔法でヴォルトリス領へと帰宅して、そのまま俺はシャファルと楽園の中に入った。

「ラルク、慌てて楽園に入ったが何かあったのか? グルドの様子もおかしかったが」

 俺と義父さんの様子が変な事に、気が付いていたシャファルはそう質問した来た。
 俺はその質問に対して、今日の話し合いの内容を伝えた。

「何じゃと、あの竜の封印が解かれたのか!?」

「シャファル知ってるのか?」

「知っているも何も、我が転生する前、最後に戦った相手じゃ!」

 シャファルは、憤慨した様子でそう口にした。
 最後に戦った相手って、でもあの竜は封印されただけだよな? あれ、って事はシャファルは勝てなかったのか?

「負けたのか?」

「違う! 転生時期が近くて、思うように力が出せなくて逃げられたんじゃ……」

 悔しそうな言うシャファルは、俺の方を見て「その戦い、我は出るぞ」とやる気に満ちた目で言って来た。

「勿論、最初からそのつもりだよ。シャファルには一番期待してるからな」

「任せるんじゃ! 今度こそ、あの竜を屠って見せる!」

 そう自信満々に言うシャファルと俺は、楽園のゼラさんの居る建物へと入って行った。
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