初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花

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第十章

第432話 【違和感・3】

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 手紙を読み終えた後、俺と義父さんは重たい雰囲気となった。
 手紙に書かれていた事、それは〝聖国について話がある〟と書かれていた。

「聖国についてって、もうあの国は変わったんじゃないの?」

「俺もアルスから偶に聞いては居たが、順調に国が変わって行ってると聞いている。だから、聖国について話があるという事は〝今の〟聖国についてじゃなくて〝前の〟聖国について話があるんだと思うぞ……」

「……」

 俺と義父さんは手紙を見つめながら、話し合いの日付まで誰にも言わない様にした。
 それから数日後、俺と義父さんは王都の城へとやって来た。

「ここに来るのも久しぶりだな」

「まあ、その来るのが普通の用事で来たかったけどね……」

「だよな……」

 俺と義父さんは、そんな重たい雰囲気のままアルスさんが待つ部屋へと辿り着いた。
 アルスさんは俺達が入ってくると、作業を中断して俺達を出迎えてくれた。

「よく来てくれたね。グルド、ラルク君」

「〝聖国について〟何て書かれてたら、来るしかないだろ……」

「まあ、そうだよね。でも、グルド達が思っている以上にヤバイ状況なんだよね」

 アルスさんの言葉に、俺と義父さんの顔は強張った。
 今回呼び出した〝聖国について〟だが、義父さんの考えは当たり〝今の〟聖国についてじゃなかった。
 以前の、女神に支配されていた頃の聖国の残党が、数日前までは密かに生き延びてとある活動をしていたとアルスさんは言った。
 そのとある活動、それは〝封印された竜〟の封印を解く為だったと伝えられた。

「なっ!? 竜の封印って、まさかあの竜なのか!?」

 アルスさんの言葉に、義父さんは立ち上がり驚いた声を上げた。
 そんな義父さんの様子にアルスさんは、落ち着いた様子で返答した。

「そうだよ。十数年前、レコンメティスを襲った竜。グルドが一人で戦い、冒険者生命を奪ったあの竜の事だよ」

「えっ!?」

 アルスさんの言葉に、次は俺が驚いた声を上げた。
 驚く俺と義父さんに、アルスさんは言葉を続けた。
 十数年前、義父さんが撃退する事に成功した竜だが、その後も暴れまわり凄腕の魔法使いの人達によって地底へと封印されていたらしい。
 しかし、その封印は聖国の残党によって解かれ、地底の奥底で竜が目覚めたとアルスさんは言った。

「それは、本当なのか?」

「本当だよ。封印した本人、師匠が言っていたんだ。あの竜の封印が解かれたって、それに封印を守る為に各地に作っていた祠が壊されていたんだ。一番重要な森林国にある祠が襲われた時点で気付くべきだったよ……」

 アルスさんは悔しそうな顔をして、そう言葉を吐き出した。
 森林国、祠……もしかしてフェリルが守っていた森か?

「あの、アルスさん森林国の襲われた祠ってフェンリルが守って居たりしますか?」

「ああ、そう言えばラルク君は現場に丁度居たね。そうだよあそこには竜を封印する為の祠が隠されていたんだよ」

「って事は、あの時の火事は聖国の残党が……」

「そうなるね。火事を使って、自分達は祠を破壊して封印の解除を行っていたみたいだ」

 その言葉に、俺は「あの時もっと周りを見て居れば……」と落ち込んだ。
 その様子にアルスさんは気が付き、俺のせいじゃないと言ってくれた。

「しかし、聖国の残党はどうやって祠の在処を知っていたんだ? 最初から知っていたのか?」

「いや、その筈はないよ。あの竜は他国にも脅威だから、封印の場所は一国に対して一つしか知らない筈だよ。誰かが教えたとしても、全部の祠を知るには相当な時間が掛かる。だから、どうやって在処を知ったのか謎なんだよ」

 そのアルスさんの言葉に、俺の脳内にサマディさんの声が聞こえた。
 サマディさんは、その場に呼び出して欲しいと言ったので、アルスさん達に許可を取り、この場にサマディさんを呼び出した。
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