初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる！

第十章

第431話 【違和感・２】

　そんな少し前の事を思い出しながら、俺は久しぶりに王都へと来ていた。
　移動にはアスラの転移魔法に頼み、アスラとレティシアさんは別行動で今はデートを楽しんでいる。
　そんな二人が楽しんでいる中、俺はドルスリー商会へと野菜を届けに来ていた。

「毎回見てるけど、ほんとラルク君の収納魔法は凄い数が入るよね。頭も良いし、ラルク君が本格的な商人だったら、私の店は危なかったよ」

「あはは、まあ他にやりたい事もありましたし、商人一本で行く気は無かったですからね。それに、今はお金も何だかんだ余裕もありますし、商売はちょっとした趣味でやっていくので、これからもよろしくお願いしますね」

「ああ、私の方こそラルク君と繋がる事が出来て良かったと、当時の私とラルク君と会わせてくれたレックに感謝してるよ」

　ラックさんは、ニコニコと笑顔でそう言った。
　その際、ふとレックが今どうしているのか気になった様で、俺にレックの様子を聞いて来た。

「少し前に会いましたけど、順調そうでしたよ。流通の便がいい楽園内で、行商人として活躍しているってゼラさん達からも高評でしたから」

「そうか、レックも頑張っているんだね。良かったよ。別の世界で頑張っているから、連絡の取りようがないからね」

「そうですね。俺自身、転移系の魔法が使えたら気軽にラックさんとか他の方を楽園に招待出来ますけど、俺は転移系の魔法が使えませんからね……」

「そこは適性の問題だから、仕方ないよ。私だって、強い魔法とか使えたら冒険者になって見たかったけどね」

　それから少しラックさんと世間話をしてから、ドルスリー商会の建物を後にした。
　折角王都に来たし、店の方も確認しておこうと道を歩いていると、地震が起きた。

「っとと、最近多いな……」

　最近、地震が広い範囲で続いている。
　少し前にアスラが実家に帰った際も、地震が起きたと言っていた。
　もしかしたら、大陸全体で地震が起きているんじゃないか？

　その後、店に顔を出すと地震の影響も無く、今日も人が沢山居て賑わっていた。
　手紙で無事に出産は終えた事は伝えていたので、ナラバさん達から祝いの言葉を貰った。

「ラルク君も、遂にお父さんですね」

「はい、良き親として子供達に接して行きたいです」

　同じく親であるナラバさんからは、何か分からない事があればいつでも相談に乗ると言われた。
　そんな心強い言葉を聞けて、困ったら頼らせてもらいますと言ってから店を出た。
　それから、アスラ達と待ち合わせしている場所に行き、アスラ達を待っていると別の人がやって来た。

「あっ、久しぶりですね。影さん」

「……お久しぶりです。ラルク様、こちら主からの手紙になります」

　俺に近づいて来た人は、昔俺の警護をしてくれていた影の一人だった。
　その人から俺は手紙を預かり、帰宅後に義父さんと読んで欲しいと頼まれた。

「分かりました。それじゃ、お仕事頑張ってくださいね」

「はい、ラルク様もお気をつけて」

　影さんはそう言うと、姿を一瞬にして消した。
　それから少しして、アスラ達が来たのでヴォルトリス領に戻って来た。
　そして俺は、先程預かった手紙を義父さんと読む為に、義父さんを子供部屋から呼び出して別室で手紙を読む事にした。