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第十章

第428話 【出産・2】

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 ヴォルトリス領へと引っ越してきた俺は、リア達の様子を見ながら実家の手伝いをする事にした。
 まあ、特に難しい訳でも無いからスラスラと進めていると義父さんからジト目で見つめられている事に気が付いた。

「どうしたの?」

「いや、ラルクの仕事の速さに驚いてただけだ」

 義父さんはそう言って、自分がやっていた仕事を終わらせて首をボキッと鳴らして、ソファーの方へと移動した。

「こうずっと机仕事してると、体が鈍って嫌になるな……」

「そうだね。あっ、それなら今日の仕事はもう終わりそうだし、さっさと終わらせて久しぶりに模擬戦する?」

「良いのか!?」

 模擬戦がしたそうな表情で俺の方をチラチラと見ていた義父さんに、そう言うと嬉しそうに俺の方を振り向いた。
 そんなに喜んでくれるとは思わなかったので、少しだけ俺は驚いてしまった。

「よし、そうとなったら早く終わらせるぞ! ラルク!」

「はい、頑張ろう」

 その後、義父さんは疲れた表情が吹き飛びウキウキとした表情で仕事に取り掛かった。
 ご褒美があるからなのか、義父さんは先程までは比べ物にもならない速さで仕事を終わらせていった。
 そして、昼少し前に全ての仕事が終わり、昼食を食べた俺達は庭に出て模擬戦の準備をした。

「ラルク、どうする。魔法も有りにするか?」

「俺はどっちでも良いけど、剣術見て欲しいから剣だけにする?」

「分かった。じゃあ、使って良いのは剣だけな。身体強化も無しだ」

「了解」

 ルールを確認しながら、俺達は装備を付けて行った。
 そして、準備が終わった俺達は数m離れた位置に付いた。

「それじゃ、アスラ。合図を頼むよ」

「はーい、それじゃ行くよ? 試合はじめ!」

 アスラの合図と共に、俺と義父さんは一斉に動いた。
 お互いに接近し、剣を振り下ろした。

「ガッ!」

 殺傷能力がない鉄の剣同士がぶつかり合い、鈍い音が鳴った。
 その音は何度も続き、俺と義父さんは互いの剣術を披露した。
 くっそ、やっぱり義父さんの剣術はレベルが違う。

 そう内心思いながらも、劣っている剣術の部分も能力値でカバーして戦った。
 しかし、技術が高い義父さんに徐々に追い詰められ行った。

「クッソ! 成長した姿を見せたやるんだ!」

 そう叫び、俺は剣を振るう速さを上げた。
 その速度に一瞬、遅れた義父さんを俺は逆に追い詰めて行った。
 攻めの体勢を取らせない様に、俺は攻撃の手数を緩めなかった。

「ハ、ハハ、ラルク強くなったな!」

 義父さんは久しぶりに俺との戦闘が楽しいのか、笑いながらそう言い。
 ガンッと、剣を振るい俺を弾いた。
 弾き飛ばされ事で攻撃が止まり、俺と義父さんの間には試合が始まった時くらいの距離が空いていた。

「これなら、もっと全力で行ける。行くぞ、ラルク!」

「こっちだって、もっともっと力を出すからね!」

 そう言って俺と義父さんは、互いの剣術をぶつけ合った。
 久しぶりの模擬戦に、俺も内心高ぶっていて俺も笑いながら試合を行った。
 結局、模擬戦は夕方まで何回も行い、俺と義父さんは笑いながら地面に横になった。

「楽しかった。ありがとなラルク」

「俺も楽しかったよ。やっぱり、義父さんとの模擬戦は楽しいね」

 そうお互いに言い、試合を見守っていてくれたアスラとレティシアさんから、タオルを手渡された。

「ありがと」

「ありがとなアスラ」

 そう俺と義父さんは言い、タオルで汗を拭いた。
 その後、タオルだけじゃふき取れなかったので、夕食前に俺と義父さんは汗を流しに風呂に入り、今日の模擬戦の感想を言い合った。
 
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