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第十章
第427話 【出産・1】
しおりを挟むそれから特に何事も無く、時間が過ぎて行った。
結局、一ヵ月間アスラ達の関係は上手く行き、正式付き合う事になった。
「おめでとうアスラ、レティシアさん」
その時、俺と計画していた通りに盛大に祝ってやった。
久しぶりにアスラ達を楽園に連れ込み、三日間くらいどんちゃん騒ぎをした。
そんな平凡な日常を過ごしていたある日、俺の元に義父さんから手紙が届いた。
「えっ、もう直ぐ出産!?」
手紙には、シャルルさんのお腹も大きくなり、もう直ぐ出産時期だと手紙に書かれていた。
それを読んだ俺は、隣にいるリア達のお腹を見た。
「もしかして、時期的に義父さん達と一緒かも」
「えっ、でもシャルルさんって私達より早くに妊娠してなかった?」
「ああ、お腹も結構大きくなっていたけど別に普通だったらしくて、最近になって陣痛が酷くなったってリア達も最近陣痛が酷くなっただろ?」
「うん、私達も最近だね……ねえ、ラルク君はシャルルさんの事も心配なんだよね?」
リアは俺の気持ちを察して、そんな言葉を発した。
「ヴォルトリス家に仕える人達が良いなら、私達もそっちに移動して少しの間暮らさない?」
「良いのか?」
「うん、グルドさんからそういった手紙が来ないねってリンちゃんと話してて、もし時期が被ったらそうしようかって話してたの」
「ラルク君、私達の事も心配だろうけどシャルルさんの事も心配して、生活に支障が出るかもって」
リアとリンからそう言われた俺は、二人に「ありがとう」と言って義父さん達の所に許可を取りに向かった。
結果として、義父さんもリア達の事を心配だったらしく快く引き受けてくれた。
「と言う訳で、俺達は暫くヴォルトリス領の方で暮らす事になったんだ。アスラ達はどうする?」
「勿論、ラルク君達が良いならついて行くよ」
「私も、リアちゃん達のサポートが出来るならしたいし」
許可を取った日の夜、アスラ達に今日の事を伝えると二人共「ついて行く」と言ってくれた。
その後、俺達は諸々の準備を翌日までに行った。
まず俺は、店に出向きナラバさんに話を伝えた。
「分かりました。お店の方は任せてください。それと、リアさん達に頑張ってくださいと伝えておいてください」
と言われて、他のメンバーからも応援された。
次に向かったのは、ラックさんの所で毎度の事だが家の警備を頼んだ。
「成程、分かったよ。家の事は任せておいてくれ、子供が生まれたら挨拶に行くよ。だから、ラルク君も頑張るんだぞ」
「ありがとうございます」
ラックさんからも応援された。
翌日、全ての準備を整えた俺達は住処を、王都からヴォルトリス領へと移した。
「ラルク、久しぶりに一緒に暮らす事になったな」
「そうだね。前は、一緒に暮らしてたのにいつの間にか離れてたもんね」
引っ越し当日、俺と義父さんは久しぶりに親子で風呂に入っていた。
「しかし、まさか俺に子供が出来るとはな……ラルクの時でも驚いたのに、結婚して子供が出来るとは思いもしなかったよ」
「俺もそうだよ。捨てられて孤児になってたのに、親が出来て結婚して、今度は自分が親になるからね」
「人生って何があるか、ほんと分からないな」
「そうだね」
親子揃って色々とあった人生に、互いにそう思い昔話に花を咲かせた。
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