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第十章

第419話 【恋愛初心者達・2】

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 デートプランを渡した翌日、アスラはレティシアさんをデートに誘ったと報告に来た。
 その際、アスラにある頼み事をされた。
 その頼み事を俺は了承して、リア達にアスラの頼みを伝えた。

「えっ、それじゃ私達もアスラ君達と一緒にデートをするの?」

「いや、ダブルデートじゃなくて、離れた所で見守っていて欲しいんだって、アスラなりに一人でレティシアさんを楽しませたいって言ってたけど、もし何かあった時に手助けをしてほしいって言われたんだよね」

 アスラに頼まれた事、それはデートの時に影から見守っていてというのだった。
 リアと同じく「ダブルデート?」と聞いたが、それは違うと言われた。

「一緒に見て回るんじゃなくて。見守っていて欲しいんだ」

 アスラに真剣な顔でそう言われた俺は、何となく理解してない頭で「分かった」と返事をしてしまった。
 まあ、様はレティシアさんに見つからない様に影から見守るのが今回のミッションだ。

「う~ん、ちょっと良く分からないけど、とりあえずアスラ君とレティシアさんを影から見守れば良いって事だよね」

「うん、そんな感じだね」

 リアとリンも何てなく理解して無い感じだが、出かける事は変わりない。
 なので、リア達はアスラ達がデート行く日が楽しみだねと言って、この日の話し合いは終わった。
 翌日、アスラとレティシアさんのデート当日。
 昼ちょょっと前にアスラ達は家から出たのを確認して、俺達も変装をしてから家を出た。

「リア、リン。レティシアさんは前衛で長く色んな魔物と戦ってきているから、常人より勘が鋭くなってる。あまり見つめ過ぎたり、変な行動はしないようにね」

「「了解」」

 リア達は俺の言葉そう返事をして、変に隠れず一定の距離を保ってアスラ達を遠くから見守りながら移動した。
 それからアスラの様子を伺いつつ、俺達も自分達のデートを楽しんでいた。

「……ねえ、ラルク君。アスラ君が困ってるみたいだよ?」

「えっ?」

 屋台で串肉を買って食べていると、リアにそう言われてアスラの方を見た。
 すると、アスラはレティシアさんに見つからない様にカバンの中を漁っていた。

「もしかして、何か忘れ物したのかな?」

「忘れ物……」

 今ここはお昼を食べる予定の公園、既にレティシアさんに昼食が入ったバスケットを手渡している。
 この状況で探す物、それは……

「敷物を忘れたのかッ」

「あっ、確かに周りの人達も敷物を敷いて食べてるもんね。レティシアさん、何処かで食べようか周り見ててアスラ君が忘れてる事に気が付いてないね」

 俺の言葉にリンがそう言うと、レティシアさんが「あそこどうかな?」とアスラに言って移動を始めた。
 俺は直ぐに〖便利ボックス〗にこんな事もあろうかと、敷物を用意していた。

「後はこれを……」

 小さく小さく折りたたみ、風の魔法でレティシアさんにバレない様にアスラのカバンの中に入れた。
 一瞬、重さを感じたアスラはバッとカバンの中に手を入れ、敷物がある事を確認した。
 アスラは、そのまま敷物を出してレティシアさんと移動した先の場所に敷物を敷いて、昼食を食べ始めた。

「ふぅ、何とかなったな……」

「ラルク君が魔法得意で良かったね。レティシアさんにはバレいない感じだね」

「ああ、魔力も見つからない様、神経を研ぎ澄ましたからね。あんなに真剣な魔法、久しぶりに使ったよ」

 いやマジで、今の魔法簡単にやったように見えて凄く辛かった。
 ただ物を乗せて移動させる位なら簡単だが、魔力を見つからない様にするのは至難の業だ。

「レティシアさんがデートを楽しんでいて、多少勘が鈍っていたおかげだな。普段のレティシアさんなら気が付いていた可能性のが高かったよ……」

「でも、それだけ今のデートを楽しんでいるって事だよね。良かったねアスラ君」

 その後、何事も無く昼食を終え、次の運動広場へと移動する事になった。
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