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第十章

第416話 【アスラとレティシアの苦悩・2】

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「結婚ねぇ……」

 アルスさんの所に来た俺達は、結婚についてアルスさんに尋ねた。
 すると、アルスさんは悩み始め数秒経って「楽しさも有り、地獄もある」と答えた。

「地獄って……それは、アルスさんが仕事をさぼって遊ぶからじゃないですか?」

 その言葉にアルスさんは、ギクッと反応した。
 まあこの人の場合、面白さ第一の考えだからな……面白そうだと感じたら、仕事が有ろうが首を突っ込むからな。

「まあ、でも悪くは無いよ。ラルク君も知っての通り、結婚すれば好きな人と一緒に暮らすことが出来て、好きな人との時間が沢山出来るからね」

「好きな人との時間……」

 アルスさんの言葉にアスラは、そんな風に反応をし、次の質問者の所へと向かった。
 次の質問者は、長年夫婦で宿を行っている小熊亭へと訪れた。

「結婚についてねぇ……アスラ君は、まだ悩むには早い歳だと思うけど、やっぱり一緒に居て楽しい人が良いわよ。だって、結婚ってずっとその人と一緒に居るって事だしね」

「ずっと一緒に……」

 アメルダさんは笑いながらそう言うと、奥からダッツさんが出て来た。
 そしてアメルダさんと同じ事を言って、次の質問者の所へと向かった。
 次は俺と同じく、新婚の義父さん達の所へと訪れた。

「ラルク、アスラ。久しぶりだな」

「そう言えば暫く会ってなかったね義父さん、どうこっちの調子は?」

「順調だよ。ラルクのおかげで色々と楽になったからな、それで今日はどうしたんだ?」

 久しぶりに会う義父さんは、いつも通りで突然来た俺達にそう尋ねた。
 俺はそんな義父さんに、アスラの悩みを話した。

「結婚について悩んでいるのか……まあ、早ければ好きな人との時間が多いけど、ジックリと考えて結婚するのも悪くないと思うぞ、俺はそうだったし」

「……でも、グルドさんは元々好きな人が居たんですよね? 僕はその好きな人も居ないんですよ。幼い頃に一緒に育った子も居ません」

「ふむ、まあ確かに好きな人が居ないってのに悩む年頃かもしれんが、別にそれが悪い訳ではないだろ?」

 そう義父さんが言うと、アスラは「でも両親は……」と悩むことになったきっかけを話した。
 それを聞いた義父さんは、アスラが王族という事を思い出した様で「そんな理由が……」と悩み始めた。

「でもなぁ、焦って良い人を見つけようとしても失敗する事の方が多いと思うぞ、ラルク達より長く色んな人も見て来たが焦って恋人を見つけようとして、失敗した奴等は沢山居たからな」

「……」

 人生経験が俺等よりもある義父さんの言葉に、アスラは黙って聞いていた。
 そんなアスラに対して、義父さんはある助言をアスラは受けた。

「アスラは交友関係が狭くても、横に居るラルクは広い方だろ? ラルクの中でアスラに会う子を紹介してもらうとかも一つの手だと思うぞ」

「あっ!」

 義父さんの言葉に、アスラは俺の方を見て声を出した。

「ああ、その手があったね。紹介って手を全く考えてなかったよ」

「まあ、それでうまく行かなったから、ラルクの友達関係が少しギスギスなるけど、そこまで悩んでいるんなら友達からって感じで、アスラに友達を紹介するのは良いと思うぞ」

「ら、ラルク君……」

 神様を見るような目でアスラが見て来たので、俺はアスラの肩に手を置いて「任せて」と言った。
 それから希望も見えてところで、義父さんの近況について詳しく聞く事になった。
 領地の方は問題なく進んでいるみたいで、今は無理もしていないと言った。

「って、そう言えばシャルルさんはどうしてるの?」

「シャルルなら今は、大人しく部屋で休ませてるよ。妊婦の癖に、剣を持って鍛錬する! とか言ってな、無理矢理剣を奪って今は使用人から出産後の事について、ミッチリと叩き込んで貰ってる」

「……まあ、鍛錬して怪我をしたら大変だしね。リア達は大人しくて良かったよ」

「そう言えば、リア達の方はどうなんだ?」

「今日も元気にしてたよ。今は、アスラと同じ悩みをしてるレティシアさんの手助けをしてるよ」

「レティシアもか……まあ、成人してるし一度は悩むことなんだろうな」

 その後、俺達は王都へと戻って来た俺は、誰をアスラに紹介するか悩み、今日の夜にでもリン達と話し合う事にした。
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