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第十章
第407話 【迷宮調査・3】
しおりを挟むそして、魔馬が引く馬車に揺られ時間が経ち、目的の迷宮へと辿り着いた。
馬車の中で予め、陣形の話をしており俺が前衛に加わることはドルトスさん達に伝えていた。
「……ラルクが居ると、楽だな~」
「そうだな~、ラルク君に付いて行ってるレティシアちゃんも凄いな……」
迷宮に入り、前衛であるドルトスさんやバルバさん達を置いて俺とレティシアさんで無双していた。
「レティシアさん! ドルトスさん達が暇してますし、少しペースダウンしましょうか」
「了解。取り合えず、この魔物達を狩ったらで!」
ドルトスさん達の視線に気が付いた俺は、レティシアにペースダウンする様に言って、交戦中の魔物を狩った。
そして狩り終わった俺は、魔物の死体を回収してドルトスさん達の所に戻った。
「すみません。俺とレティシアさんで楽しんじゃって」
「いや、良いんだよ。早めにラルク達の戦力を見極めておきたかったしな、それで分かったよ。……俺達以上にラルク達は強いって、お前ら本当に成長しすぎだ!」
ドルトスさんはそう言って、男泣きをした。
まあ、可愛がっていた後輩に抜かれて、悔しいって気持ちなんだろう。
「す、すみません……」
「いい! 謝るんじゃねぇ、余計に虚しくなる! だがな、俺等だって負けてらんねぇよ! なあ、お前らッ!」
「おう! ラルク達ばかり、良い恰好させねぇぞ!」
「俺等の戦いも見やがれッ!」
ドルトスがそう仲間を鼓舞すると、声に引き付けられたのかオークの集団がやって来た。
「ラルク達は、そこで見てろよ! 行くぞ、お前らッ!」
「「おうッ!」」
ドルトスさんは声を上げて、オーク達へと突っ込んで行った。
流石Aランク冒険者パーティーなだけあって、一つ一つの連携に無駄がない。
俺達は、どちらかと言うと力技で攻める感じだが。
ドルトスさん達は、しっかりとした連携技で全員で対処するという戦い方だった。
「やっぱり、ドルトスさん達は凄いよね。私達って互いに任せあって、連携を特にしないもんね」
「えぇ、出てくる魔物が強くなれば、それこそ俺が本気で魔法を撃ちますから、連携を特にしてませんね。リンも居ないのもありますけど」
「リンちゃん、早く戻ってきてほしいな~、4人で行動してたから一人抜けただけで連携出来なくなったもん」
そんな感じでドルトスさん達の戦いを見た俺達は、連携の大切さを知らされた。
その後、ドルトスさん達との連携を意識しながら迷宮を進んで行った。
連携は出来ずとも戦力は十分で、苦戦を強いられることは無く順調に攻略していった。
「難しいって言われてましたけど、流石にこのメンツで苦戦はしませんでしたね」
「ああ、そうだな、ラルク達の戦力が大きかったな、お前らが参加してくれて助かったよ」
そう言いながら、俺達は魔物を倒し、歩みを止めず進んで行った。
その後、順調に攻略が進み苦戦する事無く30層へとたどり着いた。
「しかし、ここは久しぶりに見る。大きな迷宮だな……最近だと、20層辺りで終わる迷宮が出現する事が多かったが。この大きさは、久しぶりだな」
30層目の迷宮を歩いていると、ドルトスさんがそう言葉を零した。
「えっ? 俺達が居ない間に、迷宮が現れていたんですか?」
「んっ? 聞いていないのか。最近、点々と迷宮が出現してるんだよ。初心者用に残してる迷宮以外は、俺達や他の冒険者で潰しまわってるんだよ」
「……」
何でそんなことが起こってるんだ? 確かに、魔力が溜まったら迷宮が出来ると教えられたけど、そんな点々と現れる物なのか?
そう疑問に思ったが、特にドルトスさん達がそこを気にしている様子は無いので、複数個所に現れるのは珍しくもないのだろう。
「おっ、良い感じに休憩出来そうな場所があるな、ラルク。あそこで一旦、休憩しないか?」
「そうですね。あさこなら、魔物が来ても直ぐに分かりますし、休憩にしましょうか」
休憩出来そうな穴をドルトスさんが見つけ、これまで休憩なしで来ていた俺達は、初めて休憩をした。
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