初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる！

第十章

第402話 【久しぶりのデート】

　この迷宮にやって来て数日が経った。
　何度か家に帰り、リア達に迷宮であった事等を話したりして休日と訓練の日を作り、俺達は着実に成長していった。
　俺の加護や特別なスキルで加速されているレベルアップ速度に、アスラ達は羨ましがる時間も惜しむように訓練を頑張っていた。

「よし、今日はここまでにしよう。連日の訓練で大分、体力を消耗してるから明日は休みだ」

「はいっす……」

「はーい」

「もうちょっとしたかったけど、ラルク君がそう言うなら仕方ないね」

　俺の指示にルーカス、レティシアさん、アスラの順で返事を返された。
　そして、アスラの転移魔法で迷宮から家に帰宅した。
　リア達に会う前に、俺は身を綺麗にする為に風呂に入ってリア達の所に向かった。

「ただいま、リア、リン」

「おかえり～ラルク君」

「おかえりなさいラルク君」

　リンとリアは、部屋に入って来た俺にそう声を掛けて読んでいた本を閉じた。
　最近のリア達だが、ウォリスから借りて来た物語の本を毎日読んでいるみたいだ。
　一度俺も一緒に読んだが、王道の冒険物語だった。

「ねぇ、ラルク君。明日、訓練お休みの日だよね？」

　リア達と一緒に本を読んでいると、リアが何か言いたそうに明日の予定を聞いてた来た。

「ああ、休みだよ。何かしたいのか？」

「うん、ほら最近ずっと楽園の中に居るでしょ？　久しぶりに王都でブラブラ散歩したいな～って思っちゃって」

「あ～、そう言えば最近はずっと楽園の中に居たな……リンも行きたいのか？」

「うん、ラルク君が良いなら３人でデートしようってリアちゃんと話してたんだ」

「成程な……まあ、これと言って予定も無いし、久しぶりにデートするか」

　そう言うと、リア達はパァッと笑顔になって喜んでいた。
　その日の夕食時に、明日現世の方に出る事をレティシアさん達に言うと二人共、それぞれ一度、家族に顔見せに行きたいと言った。
　なので、明日は全員で現世の方に出る事になった。

　そして翌日、扉を開いて現世の王都にある義父さんの家のリビングに出た俺達は、それぞれ別行動で移動をした。
　アスラは転移魔法で家に帰り、レティシアさんは王都の実家に向かった。
　残った俺とリア達も家を出て、商業区の方へと向かった。

「何だか少し居ないだけで、懐かしいって感じるね」

「そうだな、そんなに時間は経ってないけど懐かしいって感じるな……」

　久しぶりの王都の街並みに、懐かしさを感じる俺達一向。
　以前世話になった人達にも会えて、久しぶりに現世に出て来て良かったと感じた。
　朝からずっと歩き回っていた俺達は、久しぶりに店の調子も見たくて一号店の店へとやって来た。

「ここも相変わらず人気だね～、流石王都一人気のお店って紹介されてるだけあるね」

　リンの言葉通り、一号店の中には沢山の人が入っていた。
　お昼時という事も有り、外まで人が並んでいた。
　流石にこの列を並ぶのはな……折角のデートだし……
　そう思った俺は、商業者特権という事で裏から入って２階に通してもらう事にした。

「ラルクさんお久しぶりですね」

「久しぶりです。ナラバさん、外凄い行列でしたね」

「少し前から他国の方も食べに来る様になりまして、忙しさが倍になりました。ですが、楽しさもありますので苦ではありません」

　俺達の対応にナラバさんが来たので、久しぶりに話しをすると、ナラバさんは凄い良い笑顔でそう言った。
　……まあ、でも顔に疲労が出てるみたいだな、これは早急に人手を増やした方が良いな

　内心ではずっと、ほったらかして良いのだろうかと、迷っていたが。
　やはり、見に来ていないとこういった事態を見過ごしてしまう。
　食後、店を出た俺はリア達に「デート中だけど、ラックさんの所に寄って良いかな？」と聞いた。

「お店の為に人員の補給をしたいんだよね？　良いよナラバさん達が倒れたら、ラルク君が悲しいもんね」

「私も良いよ」

「ありがとうリア、リン……」

　そんな優しいリア達にお礼を言って、俺はドルスリー商会の建物に向かった。