勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第四章 魔王ロイド

最終話

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 〝魔王ロイド結婚、相手はリクサムス王国王女や異世界からやって来た少女達に元奴隷の身分であった少女達と身分を問わないハーレム婚!〟そのような見出しをした張り紙が結婚報告して暫くして国中にバラまかれた。

「クロム王、よくもあんな事してくれましたね……」

「あんなこととは?」

「これですよッ!」

 俺はそう言いながら配られているビラを取り出してテーブルに叩きつけた。それを見たクロム王は「私は関係ないぞ? ただ、パレードをするから宣伝をするようにと言っただけだ」と完全に自分は関係ないと言い切った。

「……分かりました。クロム王がその気なら俺だってやってやりますよ」

「な、何をするつもりだ?」

 部屋を出る際に小声でそう言うと、何をされるか分かっていないクロム王は怯えた顔をしていたが、もうそんなのはどうでもいい。その足で俺は、宣伝を行っていた兵士の詰め所へと突撃し、クロム王の秘密を暴露した。勿論、クロム王が暗黒騎士クロという情報だ。更に、ネルニャードさんも連れて来て事細かい暗黒騎士クロの伝説を兵士に伝えた。
 それを聞いた兵士達は、面白い記事が出来る! と感じたのか、俺のビラ配りを注視して一日で〝【速報】暗黒騎士クロの正体は、実はクロム王だった!?〟という見出しで国中にビラが配られる予定となった。俺はそのビラを一枚貰いクロム王の所へとやって来て、テーブルの上に堂々と置いてやった。

「ろ、ロイド君。流石にこれはやりすぎでは無いかな……」

「全く? 先にやったのはクロム王ですよ。それに嘘は書いてませんから、良かったですね。既に暗黒騎士クロについてはネルニャードさんにお願いして情報を集めていたので、完璧に暗黒騎士クロの冒険譚も一緒に載せていますよ」

「……」

「あ~それと、各地で言っていた。あれは名言というですかね? それも全て集めて一緒に載せていますよ」

 そう言うと、クロム王はガタンッと立ち上がると「うわぁぁぁぁ!!」と言って部屋を飛び出していき走り去って行った。その光景を見届けた俺は、ガッツポーズをして、やる事も終わったので自宅へと帰宅した。
 その後、魔王ロイドの結婚の話題と暗黒騎士クロの話題は国中で騒がれて、リクサムス王国建国以来の盛り上がっていた。

「ロイド君、どうかなこれ?」

「勿論、似合っているよ。でも、アリサ。衣装見せは皆で一緒にやるって言ってなかったか?」

「えへへ~」

 パレード用に用意したドレスを着たアリサに俺がそう言うとの同時に再び部屋の扉が開けられミリア達が慌てて入って来て中に居たアリサを見つけると「また、抜け駆けして!」と言ってアリサの耳を引っ張った。

「痛いよ~ロイド君助けて~」

「アリサ、皆との約束を破るのは駄目だよ。ミッチリと怒られなさい」

 俺の言葉にアリサは「そんな~」と叫び、ミリア達にミッチリと叱られた。

「うん、皆綺麗だね」

「ロイド様もカッコいいですよ」

「ロイド、いつもより大人びた感じがしてカッコいいな」

「いつもの感じとは違ったロイド様も良いですね」

「主人様はいつもカッコいいですが、今日は更にカッコいいです」

 アリサが叱られた後、ミリア達を褒めると皆は嬉しそうに俺にそう返してくれた。説教されてないていたアリサも「ロイド君、カッコいいよ~」と言ってくれて、こんな皆と結婚出来る俺は幸せ者だなと感じた。
 衣装合わせから数日後、パレードの為に王都へとやって来た。一発勝負の本番で俺達はパレード用に作られた移動車に乗り込み、王都の住人から祝福されながら王都の街の中を走り、俺達が走り終わった後は盛大な祭りが始まった。祭りは、夜遅くまで続いて酒を飲むもの、音楽を楽しむもの、食事を楽しむもの等色んな人達が居た。

「凄いねロイド君、この人達全員私達の事を祝福してくれてるんだよ」

「そうだな……まあ、中には祭りを楽しみたいといって集まった者も居るかもしれないが、それでも一緒になって祝福してくれるのは嬉しいな」

「そうですね。これもロイド様が良き魔王としてこの国に力を示しているからでしょうね。一度は魔王に攻められた国がこんなにも魔王の結婚を祝福してるのは、この国位ですよ」

「確かにな……」

 その後、夜遅くまでパレードに参加していた俺達はそのまま王都に泊る事にした。まだ結婚をしていないので一緒の部屋には泊らず一人だけ別に貸してもらった部屋に入ると、何故か部屋の中にクロム王が居た。

「王様がこんな所に居ていいんですか?」

「私の城の中だから構わないだろう」

「まあ、言われてみればそうですね」

 クロム王は「まだ、飲めるか?」と言ってお酒を取り出したので、少しだけなら付き合いますよと言ってテーブルを囲って座った。

「ロイド、ミリアはああ見えて我が強いからな」

「ええ、知っていますよ」

「それに、理想も高いからな」

「ええ、父親に似て理想は高いですね」

 クロム王は酒を飲みながらミリアについて色々と話をして行き、飲む回数が増えて行き次第に顔が赤くなって生き涙を流し始めた。

「最初は押し付ける形でミリアを渡したが、これでも娘想いなんだ。ミリアを悲しませるような事はしないでくれよ。そして、絶対に守るんだぞ」

「はい、ミリアも含めて彼女達が悲しむような事はしません。それが世界を敵に回す形になったとしてもミリア達だけは守りますよ」

「ははは、世界最強の魔王様がそう言うと頼もしいよ……」

 クロム王はそう言うと、酒が入ったコップから手が離れてテーブルに顔を突っ伏して眠ってしまった。

(父親として、娘が嫁に行く前に言いたかったんだろうな……)

 俺はクロム王の行動に対してそう思い、廊下に出て執事を呼びクロム王を寝室まで連れて行ってもらった。それから、一人となった部屋で酒の片付けをしてからベッドに横になった俺はクロム王から言われた言葉を頭の中で考えながら深い眠りへと入った。
 パレードから数週間後、無事に結婚式を挙げた俺達は晴れて一緒の家族となった。魔王が人間の国の姫様と結婚するのは、何でも初らしく魔王サイドの者達からも今後の人間との友好発展に貢献すると感謝された。俺としては、自分が好きな相手と結婚しただけなので感謝される様な事でもないのだが。

「ロイド様、こちらの資料なんですが任せてもよろしいでしょうか?」

「ああ、了解。討伐系ならサクッと言ってくるからよ」

 結婚をしたが結局俺達の日常は何も変わらない。既に魔王との話し合いも終わっているので怯える相手も居らず、他の他種族に対してもクロノスや配下達が和平条約の為に飛び回ってくれたおかげで心配事は無い。まあ、あるとすれば迷宮から大量の魔物が出てくる事位なのだが、それについてもリクに相談して各地のダンジョンマスターと連絡を取り合い危険な場所には即座に対応する事が出来るシステムも作った。

「すっかりこの世界は魔王ロイドの手中になったと言っても過言ではないね」

「そんなつもりは無いんですけどね。ミルスさん」

「でもさ実際の所、魔王側はロイド君が上だと認めて反乱を起こす事は無いし、そんな魔王陣を持っているロイド君に反論する馬鹿も居ないだろうから事実上この世界はロイド君の者だね。流石、世界最強の魔王様だね」

 ミルスさんに茶化されてそう言われた俺は「まあ、危険な世界よりもいいんじゃないですか」と言うと、ミルスさんは「確かにね」と納得した顔で言った。

「まあ、でもだからと言って従う者だけとは限らないよ。私の耳にもいくつか反乱を起こそうとしてね者が居ると届いているよ」

「ええ、分かっています。そこに関してはクロノス達を使って情報を集めて貰ってます」

「流石ロイド君、忠告する前に気付いていたんだね」

 ミルスさんは感心したようにそう言って「それなら、大丈夫そうだね」と言って俺の目の前から姿を消した。

「しかし、ミルスさんに言われた通り、この世界は俺が支配してる様な物なのかな……」

 世界最強の魔王、ミルスさんにそう言われた俺だがこの呼び名は全世界からの俺の称号みたいな物だ。なので、従う者は沢山居て反乱する者は少ない。別に強制して何かをやらせてもいないから反乱も何もないのだが、話の分からない者も居ると認識して今は動いている。

「やっぱり、村人のままでいた方が楽だったかも知れないな……」

 その後〝世界最強の魔王ロイド〟の名は各地に知れ渡り、後世にも名を残す事となった。歴史書には、魔王ロイドの陰には、異世界やって来た少女達、とある国のお姫様、元奴隷の身分である少女の支えがあったと語り継がれていった。
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感想 59

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みんなの感想(59件)

アホ
2024.11.09 アホ

なかなか面白かったです

解除
PomyuBare
2022.01.26 PomyuBare

4話で最上級の『魔導士』と記述があるけど、9話のステータスで『魔術師』となっています。

解除
ケイ
2021.04.20 ケイ

本当に面白かったです。
勇者や魔王との戦闘も圧倒的に直ぐに勝ってスムーズにストーリーが進むのであとくされなく、読みやすかったです。
ただ、勇者や聖国があの後どうなったか気になりますが、面白かったです。
良い暇つぶしになりました、ありがとうございました。
これからも体に気をつけてラノベ作り頑張ってください、応援しています。
楽しい作品、ありがとうございました。

解除

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