勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第四章 魔王ロイド

第62話

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 その後、俺達が付き合った事についてはいつの間にか知れ渡っていて一週間もすれば城内ですれ違う者達には「おめでとうございます」と言われることが多々あった。

「ロイド様、現世組の兵士の訓練は大分予定通りに行ってますが、異空間組の兵士はどんな感じでしょうか?」

「順調と言えば順調だよ。元の才能もある人達ばかりで、教えた事を直ぐに吸収してくれるよ」

「そうなんですね。良かったです……所で、団長達の姿をここ最近見てないのですが、どうなってるのでしょうか?」

「あぁ、団長達か……まあ、生きてはいるよ」

 そう言うと、ミリアは「えっ?」と不思議そうな顔をした。いや、まあ俺が頼んだというのもあるのだがルドラ達は団長達の訓練を結構厳しめでやっているみたいだ。偶に見に行くのだが、いつも団長達は地面に転がっている。特にひどいのがローウェンさんで他の人よりも大分ボロボロになっている場面を見たことがある。

「まあ、そんな感じですと団長達も頑張っているんですね」

「そこに関しては頑張ってるよ。同盟を結んだとはいえ人族が多種族より劣っている事は、蜘蛛の魔王との一件で思い知らされていたみたいで死ぬ気で国の為に頑張ってるよ」

 ミリアはその言葉を聞くと少し嬉しそうに微笑み「頑張って下さいと伝えておいてください」と言って、クロム王の部屋に用事があるみたいで去って行った。ミリアと別れた後、異空間へと戻って来た俺は兵士達の訓練して諸々の報告書等を確認していた。

「なんか体が怠いな……」

 そう呟きながら肩を回して、ふと最近は兵士達の訓練以外で体を動かしていなくて以前よりも大分動く頻度が落ちている事に気が付いた。動かなくなったせいで体に怠い感じで出てきたのだと理解した俺は、今日の分の報告書を確認し終えた俺は現世へと戻って来て、適当な相手を見つける為に転移魔法で魔物狩りへと向かった。

「んっ? ロイド、何してるんだ?」

「えっ、父さん? 父さんこそ何でこんな所に居るの?」

 魔物狩りに向かった場所、それは以前の戦いの際に元蜂の魔王領にある湖であるのだが、そこで魔物を狩ろうとした瞬間、同じ魔物を同時に俺と父さんが剣で切り裂き互いに驚いた表情をしていた。

「そっか、体動かす為にこっちに来てたのか」

「うん、兵士の訓練してるけど自分の力を制御してるせいか逆効果でね。頭の片隅にここの事を残していたから、丁度良いと思って来たんだけど……父さんこそ、何でこんなところに?」

「いや、一応ここの領地に近いのは炎竜人族だろ? 大体の管理は私達が担っているのだが、この付近はやたら強い魔物が居るからね。偶に私自ら出向いて、暇つぶしも兼ねて処理をしてるんだよ」

 父さんは笑顔でそう言うと、抜いていた剣を鞘に戻した。

「それじゃ、ロイド。今日は久しぶりに一緒に狩りでもしないか?」

「えっ?」

「折角こっちに来てるんだし、時間もあるんだろ? なら、父さんと一緒に狩りをしながら話でもしよう」

 父さんからのその提案に俺は考えも時間も無く「いいよ」と即答し、久しぶりの親子水入らずで魔物狩りを楽しんだ。

「……それで、私の事を忘れて二人で楽しんでたのね。二人が楽しんでる間、私は一人で寂しく読書をしていたのに」

「ご、ごめんよ。メリア」

「いや、最初は父さんと一緒に狩るつもりも無かったから母さんを呼ぶの忘れてたよ。ごめん」

 あの後、父さんと狩りを楽しんだ俺達は久しぶりに我が家に帰ろうと思い父さんと一緒に実家に帰宅してリビングに入ると、冷めた顔をして俺達を見つめる母さんが居て必然的に土下座をして謝罪を行っていた。

「次は私も連れて行ってよ」

「はい! 次は、絶対に母さんも誘います!」

「……もういいわよ。それよりロイド、母さんとは話す時間無かったんだから、夕飯まで居てくれるわよね?」

「はい!」

 その後、俺は母さんに言われた通り夕飯を実家で過ごし、その際にアリサ達と付き合っている事を報告すると、母さんが「息子の成長が早い……」と泣いていた。
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