勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第四章 魔王ロイド

第56話

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 その後、新しい魔王を連れて話し合いの場に戻って来た俺は魔王達に話した内容を新米魔王に対しても説明した。そして説明を聞いた新米魔王はそのルールを守ると約束をしてくれた。

「話し合いが出来る奴で良かったよ」

「いえ、事前にロイドさんの事は聞いておりましたので逆らっても意味が無いですので、それでしたら下に付いた方が得策ですので」

 そう言ったのは、新米魔王である。今は無き蜘蛛の魔王の実の息子である新しい蜘蛛の魔王である。そんな新米魔王を見た竜人の魔王は涙を浮かべつつ蜘蛛の魔王を見ていた。

「あのちっちゃかった奴がここまで大きくなっていたのか……」

「竜の親父さんも元気そうで良かったですよ」

 二人の魔王は親しそうに話しながら話し合いも終わったので部屋を出て行った。それから他の魔王達も側近と一緒に部屋を出て行ったのだが、最後まで部屋に残っていた人物が居た。それは、話し合いの途中で死んだ黒翼の魔王の側近だった。

「あの、私はどうしたらいいんでしょうか……魔王様もお亡くなりになられましたし……」

「あ~、取りあえずお前の主だった魔王の領地は竜王の魔王が預かったからあの魔王に聞いてくれ」

「は、はい……」

 黒翼の魔王の側近だった者は暗い顔をしつつ部屋を出て行き、この部屋には俺とリズだけとなった。そう言えば、話し合いの最中ずっとリズの声が聞こえなかったがと思いつつリズの方を向くと完全に気絶していた。

「まあ、気付かれない様に気絶していたし、頑張った方だな……」

 俺はそう呟きつつ、リズを抱えて部屋を出て行き転移魔法で王都へと戻って来た。王都に戻って来た俺はミリアにリズの事を頼みクロム王の所へと向かった。

「早かったなロイド」

「ええ、事前に色々と準備してましたからね。それと結局、今回の黒幕だった魔王は死んで新しい魔王が誕生しました」

「新しい魔王だと?」

「えぇ、蜘蛛の魔王の息子が新しい魔王になりました」

 俺がそう言うと、クロム王は「蜘蛛の魔王の息子!?」と驚愕した。

「だ、大丈夫なのか? 私の国と一度戦争した国だが……」

「大丈夫ですよ。既に話は通しているので、それに父である元蜘蛛の魔王と同じく魔力の少なく敵対する意思は向けて来なかったですから」

「……そう言えば、私達が魔王の魔力だと思っていた魔力は蜘蛛の魔王の魔力だけで、他の魔王はそれ以上あると言っていたな」

 クロム王とそんなやり取りをした俺は、今回の話し合いで決まった事を伝え、早速交易がしたいといった魔王との取引を進めるようにクロム王に伝えて部屋を出た。それから、俺はアリサ達と合流して現世で訓練している兵士達の様子を聞いて良い感じに鍛えられていると聞いた俺は、そろそろ隊長達もこっちで訓練する様にするかと考えて、異空間へと入った俺は訓練を行っている隊長達の所へと向かった。

「ロイド君お疲れ、魔王の話し合いは終わったのかい?」

「ええ、終わりましたよ。無事に話し合いがついて、魔王同士で協力する事に成功しました」

「おお、それは凄いね」

 ローウェンさんとそう話した後、ルドラ達と訓練をしていたヘ他の隊長達も俺に気が付いた様なので、そろそろ現世で訓練をしている兵士達と合流する事を伝えた。

「もういいのかい? 私達はまだまだ相手出来ていないんだよ?」

「大丈夫ですよ。最初の時と比べたら全く違います。ずっと負けっぱなしなので実感は無いと思いますが、現世で訓練していた兵士達と戦えば自分達の成長が分かりますよ」

 俺がそう言うと、自分達が強くなったと実感が湧いていない隊長達は渋々と言った感じに現世に戻る準備を行い。それから20分程して、隊長達と共に現世へと戻って来て兵士達の前に隊長達を連れて行くと、訓練所は大騒ぎとなった。

「隊長! たった数日でどうやって、そこまでお強くなられたんですか!?」

「凄いです。隊長、以前の隊長の倍以上のオーラを感じます!」

 兵士達は様変わりした隊長達をみて、そんな驚いた声を上げていたが未だ実感が湧いていない隊長達は苦笑いを浮かべていた。
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