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第四章 魔王ロイド
第54話
しおりを挟む昨日はあの後、直ぐに異空間へと戻って来た俺はルドラ達に兵士達の様子を聞き、ちゃんと休んでいると聞いた俺は明日の訓練内容を考えて眠りについた。
翌日、朝早くから隊長達を呼び訓練を始めた。今日の訓練は昨日と違って、個々の能力に合わせてルドラ達にも協力してもらい個別で指導する事にした。
「それで、私の相手は魔王様という事ですか」
「ええ、そうですよ。レオンさん」
王国兵第二隊隊長レオン。彼は、獣人族と人族のハーフで他よりも身体能力が長けており、剣が主体ではあるが俺と同じ魔法剣士タイプである。
「レオンさんの戦いは俺と同じ魔法剣士タイプなので、俺と戦うのが一番だと思いましてね。それにハーフと言う点でも同じですから」
「そうですね。生まれも戦い方も一緒だと親近感がわきますね」
「ええ、なので俺が貴方の相手をする事にしたんです。それでは、お喋りはこの辺で訓練を始めましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
レオンさんは俺の言葉に返事をすると、構えをとったので俺も武器を装備し訓練を始めた。
その後、レオンさんとの訓練は数時間続き、途中から意識しないと魔法が使えてなかったレオンさんは段々と無意識に敵である俺の方を察知し魔法を打つようになってきた。しかし、元の魔力がそんなに高くないレオンさんは次第に魔法の威力が減少し、しまいには魔力枯渇で倒れてしまった。
「戦い方は良いですね。後は、無駄打ちを少なくして精度をあげましょうか」
「ああ……流石、魔王様だな数時間、俺の攻撃を避けていた筈なのに疲れを一切見せないとは……」
「いえ、大分俺も疲れましたよ。ただ、俺は汗を余りかかないタイプなんですよ。種族の差というやつですよ」
俺の言葉にレオンさんは「そうか」と言って、狐人族から渡されたタオルを受け取り汗を拭き先に帰らせた。レオンさんと別れた俺は、訓練の最中にクロノスからの念話が届いていたので現世に戻って来てクロノスと合流をした。
「それで、見つかったのか?」
「はい、リクサムス王国か南方にあります。聖国リーベルにて、魔王と繫がりがある組織を確認しました」
「聖国か……一番綺麗な国が一番汚れていたという事か」
「どうしますか? 既に私の部下は忍び込んでいます。このまま潰す事は可能です」
クロノスの言葉に俺は「いや」と止めの言葉を言い、続けてクロノスにある命令を下した。命令を聞いたクロノスは「分かりました。それでは、そちらの任務が終わり次第、ご連絡いたします」と言って目の前から消えた。
クロノスと別れた後、俺はその足でそのままクロム王の私室へと移動し、クロノスから聞いた話を伝えた。
「聖国が魔王と……」
「ええ、多分ですが蜘蛛の魔王をリクサムス王国に仕向けたのも聖国だと思いますよ」
「神に仕える者達が魔王を使い他国を攻めていたとは……」
クロム王は俺からの話を聞いて困惑した様子でそう呟いた。それから、俺はクロノスを使ってある事を起こそうとしている事も伝えた。すると、それに対してクロム王は「そんな事が出来るのか!?」と驚いて聞いてきた。
「出来る出来ないじゃなくて、やるんですよ。まあ、やる前にちゃんと神様の許可を取らないといけませんけど」
「……まあ、だがそうしてくれると私としては助かるが」
「大丈夫ですよ。何かあったら、力で沈めますので」
「ロイド、魔王になって少し脳筋になっておらんか?」
クロム王かそう言われた俺は、若干自分の中でもそういった感じがあるなと実感していたので「多少」と呟いて、クロム王の部屋を出て異空間へと戻り、今後の為に準備を進めた。
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