勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第四章 魔王ロイド

第53話

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 クロム王から兵士の訓練を頼まれた翌日、俺達は早速兵士達の訓練に取り組んでいた。まず、初めに数値だけでは動きが分からないので二人一組での対人戦を行ってもらいある程度の選別を行った。その結果、動き自体は真面である事が分かった。

「数値を見た限りだと、絶望的だったが意外と良いな」

「そうですね。やはり数値だけで決めるのは行けませんですね。これまで数値での選別も兵士の中で行われていましたが、改定しないと行けない様ですね」

 結果を見た俺とミリアがそう話していると、隊長の中でもトップである王国兵軍団長のローウェンが俺達の近くに寄って来た。

「ロイド君、それでどうかな私達は?」

「数値だけでしたら、魔人族から攻めれでもしたら半日で滅ぶと予想してましたが、今見た限りだとそんな事は無く数値以上の動きをしていまして、ちゃんと訓練をしているんだなと分かりました」

 そう言うと、ローウェンは「魔王さんから褒められるとは、嬉しいよ」と笑って言った。それから、グループを4つのグループに分けてアリサ、ミキ、モモ、俺が一人一つのグループを受け持つ事となった。そして俺が受け持つグループは、ローウェンや各部隊の隊長が居るグループだった。俺はその団体を連れて、異空間の中へと入り他の兵士達に見られない場所に連れて来た。

「まず、最初に俺に教わりたくないという人はいますか?」

 その言葉に隊長達は一瞬、考えた顔をするとスッと一人手を上げた。その人物は、王国兵第一隊隊長ギルフォードだった。

「教わりたくないと言いますか、私はロイドさんの実力を知りません。アリサさん方でしたら実力を知っているので何も言いませんでしたが貴方の実力は一度も見たことが無いので、まず実力を見せて欲しいです」

「……まあ、確かにそうですね。というか、それに関してはこれから見せるつもりでした。皆さん、自身の武器は持って来ていますよね?」

 そう言うと、隊長達は頷いたので俺はニッコリと笑い「これから、貴方達には俺と戦って貰います。一度でも攻撃が当たれば、今日の訓練は終わりますが、当たらなければ日が暮れようと続きます」と言った。その言葉に隊長達、ローウェンは引きつった様な顔になると直ぐに顔を引き締めた。流石、兵士達の上に立つ者達だなと感心しつつ、手を抜く気が無い俺は全力で相手する事にした。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「おか、し、すぎるでしょ……」

「化け物……」

「違う、アレは魔王だ……」

 訓練開始から10時間程が経ったが未だに攻撃が一度も当たっておらず、訓練は続いていた。そのせいでか、兵士達は偶に愚痴が零れ闘争心が燃え尽きかけていた。しかし、そんな場面でも一人だけ心を燃やし続けている者が居た。

「兵士達よ。我等はリクサムス王国に仕える兵として、何としても魔王倒すぞッ!」

「「「おぉッ!」」」

 ローウェンの言葉に隊長達は、沈んでいた気持ちを振り切り叫び攻撃を再開した。そんなローウェン達を見て、俺は感心していた。

(流石、団長と言う役職なだけあって率先して引っ張っているな……)

 兵士達を鼓舞し、突撃してくるローウェン達を吹き飛ばしつつそんな事を思っていると、ローウェンの剣が俺の頬を掠めた。

「……攻撃当たりましたね。今日の訓練は終わりです。訓練の間はこちらの世界で暮らしてもらいますので、後は配下達に聞いてください」

 攻撃が当たり血が出ていた所を指でふき取りつつ言うと、ローウェン達はパタンッと地面に倒れると「よっしゃぁぁぁ!」と叫んでいた。そんなローウェン達を見届けた俺は、現世へと戻って来て先に訓練を終わっていたアリサ達と合流して会議室でどんな感じだったか話し合いを行った。

「まあ、総じて良くも悪くも無いという感じか」

「そうだね。人族からしてみれば、この国の兵士は団結力もあるし個々の力も強いから強い方だけど他種族か見たらそこそこか弱いって感じだね」

 皆の感想を聞いた結果そんな風に締めくくると、ミリアから「強くなることは出来ますでしようか?」と心配した様な顔で聞いて来た。

「大丈夫だろう。少なくとも隊長達のやる気は本物だったよ。俺と10時間の間、戦ってたのに闘争心は燃え尽きなかったからな」

「ロイド、本当にしたんだな……」

「流石に嘘かと思ってましたが、ロイド様。鬼ですね……いえ、この場合だと魔王ですね……」

 前もって打ち合わせの時に訓練内容を言っていたが本当にしたんだと驚き、モモとミキからそう言われた。それから、明日からの訓練内容も話し合い当分の間、異空間の中で訓練に付き合うから出てこないと言って話し合いは終わった。
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