勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第三章 対蜂の魔王軍

第50話

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 ミルスさんから衝撃な事実を告げられた翌日、よく眠る事が出来なかった俺は目が覚めた後もベッドに横になったまま天井を見つめていた。

(この世界のシステムか……)

 世界のシステムという訳の分からない物のせいで俺は〝魔王〟へとなってしまった。なったからと言って何か変わったというわけでは無いのだが、先日人間国に攻めた〝魔王〟や炎竜人国を攻めた〝魔王〟を聞いたり見たりした俺としては〝悪〟の様に感じてしまう。

「まあ、でもなってしまった以上、これからの事を考えないとなッ」

 俺は勢いよく起き上がり気持ちを切り替え着替えた俺は、部屋を出てまずは腹ごしらえをする為にこの屋敷の食堂へと向かった。食堂に着くと、父さんだけ居て「あはよう。ロイド」と優しい笑顔を浮かべて挨拶をしてくれた。

「おはよう。父さん、どうよく眠れた?」

「眠れた。と言いたいところだけど、昨日聞いた言葉がどうにも頭から離れなくてね。折角、魔王の侵略から解放されたのに少ししか眠れなかったよ」

「俺も一緒」

 そう言って父さんの横に座った俺は、メイドさんがいれてくれた温かいお茶を一口飲んだ。

「ロイドはこれからどうする?」

「……取りあえず一度、リクサムス王国に帰って王に今回の事を話すよ」

「リクサムス王国と王って、クロの事だよね?」

「あっ、父さんは知ってたね。そうだよ。事の成り行き上、一応あの国の貴族になったんだよ俺」

 俺がそう言うと、父さんは驚かず「ロイドが居ない間にミリアから聞いたよ。凄いじゃないか、ロイド」と褒められた。父か褒められるという事に慣れていなかった俺はその言葉を聞いて嬉しく、父さんが居ない所で起こった出来事を語った。
 その後、母さんやアリサ達も起きて来て朝食を食べた俺達は、リクサムス王国へ帰還する事にした。

「もういっちゃうの?」

「うん。大丈夫だよ母さん、転移魔法も使えるんだから少ししたまた遊びに来るよ」

「絶対よ。絶対にまた来るのよ」

 母さんはそう言うと、優しく俺を抱きしめた。それから、俺はアリサ達の肩に手を置いて転移魔法がリクサムス王国、王都へと帰還した。帰還して来た俺達は、早速城へと出向きアリサ達は別室に待機してもらい俺だけクロム王の所へと向かった。

「場内が騒がしくなったと思っていたら、帰って来てたのか」

「えぇ、ついさっき帰ってきました。凄い土産話と、ちょっとした土産話どっちから聞きたいですか?」

「……その二択と言う事は、戦争の方は片付いたんだな、そうだな……ちょっとした方から聞こう」

 クロム王は俺が出した〝凄い・ちょっと〟の2択の土産話の内、最初に選んだのは〝ちょっと〟しただったので俺はクロム王に戦争は無事に終戦し、蜂の魔王は殺し、魔王の領土は全て炎竜人族が支配した事を伝えた。

「まあ、ロイドが向かった時点でそうなる未来は見えていたよ。それで、もう一つの〝凄い〟方はそれ以上に驚くことなのか?」

「人によりますね……実は俺、魔王になっちゃいました」

 そう言ってステータスをクロム王に見せると、職業に欄を確認したクロム王は盛大に驚き腰を抜かし、床に後ろから倒れた。

「魔力的には魔王を超えていると思っていたが、まさか魔王になって帰って来るとは……」

「まあ、これには色々と理由があるんですけど、簡単に言うと素質があったから成ったという感じですね。自分からなろうと思ってなったわけでは無いので、安心してください」

「……まあ、ロイドを敵に回す程、愚か者では無い」

 クロム王はそこで「ふ~」と深い溜め息を吐くと立ち上がり椅子に座り直した。そして、クロム王にその他にも俺の記憶が完全に戻り能力も全て戻った事、両親と仲直りが出来た事を告げると「よかったな」と喜んでくれた。


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