勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第三章 対蜂の魔王軍

第49話

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 魔王を倒した翌日、俺達は炎竜人族が住んでいる街へと移動して来ていた。昨日、魔王を倒した事を知った炎竜人族達は魔王を打ち取った俺に対して凄く感謝をして喜んでいた。その中には父さんと母さんも居て「ロイド、ありがとう」と優しく抱きしめてくれた。

「それじゃ、ロイド。行くわよ」

「あぁ、心の準備は出来てるよ」

 街へと移動して来た俺達は父さん達の家に入り、会議室にて母さんに呪いの解呪を行って貰っていた。解呪された俺は、頭の中に膨大な情報が流れ込んできて頭痛がしだしたが次第に落ち着き全ての事を思い出し、能力も完全開放された。

「どうロイド? 全て思い出したかしら?」

「うん。バッチリ全て思い出したよ」

 母さんは無事に全てを思い出したか確認してきて、俺がそう答えると「良かった」とホッと一息ついた。そんな母さんとの間に父さんが「ロイド、ステータスはどんな風に変わったんだ?」と聞いて来たので、俺はステータスを確認した。


名 前:ロイド・フォン・フィルバハド
年 齢:15
種 族:半竜半魔人族
職 業:魔王
レベル:219
魔 力:1800000
【スキル】
〖無詠唱:10〗  〖魔術(全):10〗〖魔法(全):10〗
〖結界:10〗   〖魔力制御:10〗 〖魔力強化:10〗
〖身体強化:10〗 〖剣術:10〗   〖耐性(全):10〗
〖調理:10〗   〖竜魔法:10〗  〖呪術:10〗
〖神魔法:10〗  〖限界突破:10〗 〖威圧:10〗
〖覇者:10〗   〖魔王:1〗
【固有能力】
言語(全) 魔導の魔眼 竜化 魔化 血魔法 
【加護】
・全能神ウェルミルスの加護 ・知神ノウェルズ ・血神シャルティリ
・竜神ドルヴォルグ    ・魔神マグォルティ・戦神アルバハルバ
・迷宮神ダンダロス    ・聖神セラフィル ・炎神エルヴォル
・水神ミスルトゥ     ・風神フゥラルト ・地神ダルドォル

【称号】
・神々に祝福されし者・神々から試練を受けた者・神の試練を突破した者
・迷宮を突破した者 ・覇道を歩む者     ・覇道を極めし者
・次期竜王候補   ・神へと至る者     ・魔王
・魔王を討伐した者


「「「……」」」

 ステータスを確認した。俺、両親、アリサ達は全員が無言となり空気が一瞬にして凍った。それもその筈で、何故か俺の職業が〝魔王〟と変わっており、称号欄にあった〝次期魔王候補〟が消えて〝魔王〟となっていた。

「いやいや、ちょっと待てよ。俺、いつ魔王になったんだよ!」

「多分だけど、ロイドの強さを世界が〝魔王〟として認定したんじゃないか?」

「はぁ!?」

 父さんから言われた言葉に意味が分からず声を荒げた俺は、直ぐにミルスさんを呼び事情を聞こうとした。ミルスさんは俺から呼ばれる事を知っていたのか、直ぐに部屋へと現れると俺の方を向いて、綺麗なお辞儀をして頭を下げ「ロイド君、ごめん!」と言った。

「謝罪は良いです。何で俺が魔王になってるんですか?」

「……ここに居る人になら聞かれても大丈夫ですかね」

 ミルスさんはそう前置きを言うと、俺が何故〝魔王〟となったのか説明を始めた。何でも、この世界に存在している魔王。それらは、この世界のシステムに必要不可欠らしく、一定数の魔王が存在していないと世界が崩壊する原因となるらしい。
 少し前に〝蜘蛛の魔王〟そして昨夜の〝蜂の魔王〟が死んだ事で、この世界に存在する魔王が少なくなり世界のシステムが〝次期魔王候補〟の中から〝魔王〟となる者を選び、その結果俺が魔王となったとミルスさんは言った。

「と言う事は、自動的に俺が魔王に選ばれたと言う事ですか?」

「そう言う事になるね。次期魔王候補という称号についても、適性がある者にしか付かない称号でロイド君はその適正にもバッチリと合ってたんだ」

「……俺は、いずれ魔王になる事が決定していた事なんですか?」

「そう言うわけでは無いんだ。魔王って寿命も普通の人と違って長く生きる者が多く、ロイド君が一生凄く内に魔王になる事は無いだろうって思っていたんだ。だが、短期間の内に魔王が死に結果としてロイド君は魔王となってしまったんだ」

 ミルスさんは本当に申し訳なさそうにそう言ったので俺は溜息を吐き「もういいですよ。なってしまったんなら……」と半分諦めたように言った。

「本当にごめんね。ロイド君」

「それで、魔王になった俺は何をしたらいいんですか?」

「いや、そこに関しては特にルールとかは無いよ。ただこの世界に〝魔王〟という存在が複数存在していないと世界のシステムが壊れるだけで、魔王が何かしないといけないという事は無いよ」

 ミルスさんの言葉に、今まで黙って聞いていたアリサが「えっ、それじゃ魔王とか勇者ってこの世界では特に意味は無いんですか?」と尋ねた。

「勇者に関しては、魔王が暴走。まあ、簡単に言うと侵略行為等をした際に侵略された側が助けを求めた時に呼ばれる傭兵の様な存在だけど、魔王はこの世界で言う歯車の様な物。居るだけで世界の助けとなっていて、歯車である魔王が欠けると世界が崩壊するんだよ」

 ミルスさんのその言葉を聞いたこの部屋に居た者達は、何も言えずただその言葉の意味を理解出来ずに居た。

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