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第三章 対蜂の魔王軍
第47話 別視点アリサ
しおりを挟むロイド君が出発した後、私達はロイド君のお父さんであるドルムさんから貸してもらった部屋でロイド君の帰還を待っていた。
「アリサちゃん、そんなにソワソワしててもロイド君はついさっき出発したでしょ? そんなに直ぐに帰ってこないよ」
「分かっているわよ。でも、落ち着けないのよ。それにミキだって、緊張してる時に出る癖が出てるわよ」
ミキに部屋の中でうろうろしてる事を指摘された私は、ミキがいつも緊張してる時に出る癖である髪の毛をクルクルする事を指摘すると、ミキはハッとした顔をした。
「アリサもミキも緊張しすぎだろ?」
「「モモもでしょ」」
私達の間に入って来たモモでさえ、先程から落ち着かないのか何故か筋トレを始めていた。そして指摘されたモモは「こ、これは日課の筋トレだし……」と恥ずかしそうに否定をした。
「はいはい、アリサちゃん達落ち着いてね。ここで争っても無意味でしょ?」
「でも……ミリアは心配じゃないの?」
「心配よ。でも、私って今までが待つ側の人間だったからこういうのは慣れてるのよ。だから、私達が出来るのはロイド様の無事を祈って待つ事よ」
ミリアにそう言われた私達は「そうだよね」と言い、私は落ち着く為に外の空気を吸いに行った。
「アリサさん、だったかな?」
「あっ、ロイド君のお父さん」
部屋を出て通路を移動していると、ロイド君のお母さんの部屋から丁度出てきたロイド君のお父さんとバッタリ会った。ロイド君も身長は高い方だけど、ロイド君のお父さんは更に高く、日本人女性の平均身長な私だと話す為には少し上を見上げる位の差がある。
「さっきは、ありがとうね。妻を見てくれて」
「いえ、ロイド君はお父さんとお話がしたい様子でしたし、私達もロイド君のお母さんの事は心配だったので」
私がそうロイド君のお父さんに言うと、ロイド君のお父さんは少しニコッと笑い「流石、ロイドが連れて来ただけあるな」と言われた。その顔は本当に優しそうな顔をしており、父親の顔だなと感じた。そこで、私は一つだけ聞いておかないと行けない事を尋ねる事にした。
「あの、一つだけ聞いても良いですか?」
「んっ? 何だい?」
「ロイド君には、婚約者とか婚約者候補の人とか居ますか?」
「えっ?」
私の質問に、ロイド君のお父さんは一瞬、何を言われたのか分からなかったのか素の表情で驚いていたが、真剣な表情で聞いた私に合わせてか直ぐに真剣な顔付となり「ロイドにはそんな関係の人は居ないよ」と言われた。
「あの子には自由に生きて欲しいと思ってたからね。そう言う関係の人は全く居ないよ」
「そうですか……あの、多分薄々気付いていると思いますけど私とミキとモモ、そしてミリアはロイド君に恋をしております」
「うん、気付いていたよ。でも改めてそう言われると、ちょっと驚いたよ」
ロイド君のお父さんは、頭を触りながらそう言った。
「まあ、私と妻から君達とロイドの関係についてとやかく言う事はしないよ。ロイドの恋愛はロイドが決める事だと思ってるからね。だから、4人でロイドを取り合うのも良いし、5人で仲良くロイドと過ごすのも私達に決める権利は無いよ」
「……良いんですか?」
「うん。いずれこの領地をついでほしいと言う気持ちもあるけど、それもロイドが決める事だ。私達は一度、ロイドを捨てた様なものだからねロイドには自由に生きて欲しいんだ」
ロイド君のお父さんは、一瞬悲しそうな表情をしてからそう言って、私の方を向き直して「ロイドは手強いと思うけど、頑張ってね」と応援された。私はその言葉に「はい!」と答えて、ロイド君のお父さんと別れた。
「よし! 親の言質も取ったし、ロイド君が帰ってきたら今まで以上に頑張ろう!」
ミキ達が居ない所で私はそう意気込んだ。つもりだったが、通路の影からミキ達が現れて「抜け駆けは良くないよ~」と肩に手を置かれて、ビクッと体が反応した。
その後、私達は一緒に外の空気を吸いに行き、改めて4人で頑張ってロイド君が自分達の事を見てくれるように頑張ろうと意気込んだのだった。
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たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
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