勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第三章 対蜂の魔王軍

第46話 別視点ドラドルム

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 息子の帰還により兵士達の疲労が回復し、十分な休息を与えた私は精神的に疲労し倒れ息子の仲間達に解放されて、少しはマシになった妻の元へと向かった。

「ドルム、ロイドは行ったの?」

「あぁ、黒炎竜化して魔王の城の方へと飛んで行ったよ」

 私の言葉を聞いた妻、メリアは「そう……」と悲しそうな表情で窓の方を見つめた。

「大丈夫だメリア、あの子は私達の息子だよ?」

「ええ、そうだけど相手は魔王よ。ロイドでも厳しいわ……」

「……メリア。ロイドのステータスを見せてもらったか?」

「いいえ、でも今はまだ私の封印が解け切れて無い筈よ。そんな状態じゃ、尚の事難しいわ」

 メリアは、早くロイドを連れ戻して来てと言った。しかし、私はそんなメリアに対して「あの子は、本当に凄い子だよ」と言った。

「ロイド自身、自分の呪いに気付くことは無かった。しかし、ロイドは力を封印されていても鍛錬を怠っていなかったんだよ。それに〝神の試練〟というのは、私達が思っていた以上にロイドに力を与えてくれていたみたいだ」

「それでも、危険なのは変わりないでしょ?」

 私の言葉を聞いても安心しきれてないメリアに、ロイドが出発前にメリアがこうなる事を予想していたのかステータスの写しを書いた紙を渡してくれていたので、私はその紙をメリアに見せてあげた。

「ッ! これは、本当なの?」

「確認したよ。私も驚いたよ。まさか、こんなに魔力が伸びて、スキルも全てカンストしてるなんてね」

「この魔力の数値、魔族を普通に超えているわよ? 私でさえ30万ちょっとなのに……」

「私も20万だからね。まあ、でもロイドもロイドの仲間達もこの数値はそんなにおかしい数値では無いと言ってたよ。一度対峙した事のある魔王が50万魔力がある魔王だったらしいからね」

 私がそう言うと、メリアは「ロイドは既に一度、何処かの魔王を倒してるの?」と聞いて来たが私は首を振り「ロイドの仲間の方だよ」と言った。

「アリサ、ミキ、モモ。彼女達三人は異世界からやって来て異世界人らしい、少しに前に人族の国へ攻めていた蜘蛛の魔王が居ただろ? あれを打ち取ったのが、アリサ達と今はロイドの配下のおもちゃとなっている勇者だと聞いたよ」

「異世界人……そう言えば、何処で見たか覚えていないけど勇者とその仲間には神の加護が与えられて魔王への攻撃が上がると聞いたことがあるわ」

「ああ、だったら大丈夫だろ? ロイドは、そんな異世界人である彼女達よりも数多くの神に加護を受けている。それにロイドにはルドラ達がついている」

 私がそう言うと、メリアは「でも、ルドラのおじさんでしょ?」と言葉を返して来た。

「ああ、だがロイドの配下となって神に力を与えられたのか、全盛期以上に力を持っていた。今のルドラと戦うのであれば私も本気で戦って勝てるか勝てないか位だ」

「そんなに強くなってるの!?」

「ルドラとも話したからね。それにルドラは、ロイドの配下の中でトップを任されているらしいが、ルドラと同等、もしくはそれ以上の配下も居るみたいだ。私達が知らない所でもロイドは配下を増やしていたからね。現時点でロイドに喧嘩を売られて勝てる見込みのある者は殆ど居ないよ」

 そう私はロイドやルドラから聞いた内容を自身の思いと共にメリアに話すと、メリアから「ドルムはロイドの話をしてる時が本当に楽しそうね」と言われた。

「そうか? まあ、それはメリアも一緒だろ? さっきまでは苦しそうだったけど、ロイドの話を聞いて大分落ち着いた様子だぞ?」

「ふふ、当り前でしょ? 息子の成長を聞いて喜ばない親なんていないわ……でも、話を聞いたら早くロイドの呪いを完全に解きたくなったわ。今以上に強くなる可能性を残してるなんて、あの子凄い成長をしたのね」

 メリアは嬉しそうにそう呟くと、そのまま瞼を閉じて眠りについた。メリアが眠りについたのを確認した私は部屋を出て行き会議室へと移動し、起きている兵士達と共にロイド達の帰還を待つ事にした。

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