勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第三章 対蜂の魔王軍

第45話

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 部屋を退出した後、俺は脳内で配下達に念話を飛ばしていた。現在も兵士達の看病をしている狐人族には、そのまま兵士達を診てもらう様に命令し、鬼人族、エルフ、吸血鬼には砦の周りを防衛する様に命じた。残った竜人族と悪魔だが、悪魔は既に敵陣地へ潜入済みなので竜人族をルドラに集めてもらう様に命じた。

「主殿、行くのですね?」

「あぁ、父さん達も今は休んでるからな、今の内に全てを終わらすぞ」

「了解致しました。それでは、我等は何をしたらよいでしょうか?」

 流石ルドラ、既に俺の怒りの度合いが高くなっており今回の戦では自分達にやる事は無いだろうと確信してそう俺に言って来た。

「力を見せつける為に俺の後ろから付いてきてくれ、久しぶりに竜の姿にもなりたいからな」

「と言いますと、主殿は竜化するのですか!?」

 俺が竜になると言うと、ルドラは驚きそして嬉しそうな表情を見せた。

「そうだが、そんな騒ぐ事か?」

「えぇ、私は主殿竜化した状態が凄く好きなんです。あの、凛々しく猛々しい表情をする竜は主殿以外居ませんから、それに竜化と同時に魔化を使った時の主殿の威圧感。アレは、竜の神さえも超えてます」

 ルドラは真剣な顔で最後締めくくった。それから、ルドラと共に砦の外に出ると既に準備が出来ていた白竜族と聖竜族が俺の登場に片膝をついた状態で迎えてくれた。

「皆、集まってくれてありがとう。それじゃ、今から害虫駆除に向かおうか」

「「「はい!」」」

 配下達に言葉を掛けた俺は、自身の奥深くに眠るもう1つの姿。竜を呼び起こし、一気に炎竜へと変身した。そして、それと同時に魔人族の中でも魔力が強い者しか使えない魔化を同時に発動し、炎竜だった俺の姿は黒炎竜と言われそうな見た目へと変身した。

「ッ! 主殿、本当に素晴らしいですッ!」

 ルドラはそんな俺の姿は歓喜して顔がトロけた表情をした。そんなルドラに向かって「お前達も準備をしろ、行くぞ」と言うとルドラ達は「はい!」と返事をして竜化を行った。
 ルドラ達も竜化した俺達は、空へと飛びあがり敵陣へと向かった。その際、俺は脳裏でステータスを確認しており、強力な攻撃は何か無いかな? と考えていると、スキルの一覧に〝神魔法〟という何とも強力そうなスキルを確認した。

「ふむふむ……」

「主殿、どうかされたのですか?」

「ああ、ちょっとなどんな攻撃で仕掛けてやろうか考えていたんだよ」

 俺が神魔法の説明を見ていると、ルドラが声を掛けてきたのでその様に返して俺は、この魔法で蜂の魔王を倒そうと考えた。それから、暫くルドラ達と空の旅を楽しみ、少し先に立派な城が見えてきたので俺達は更に上空へと高度を上げた。

(クロノス、どんな感じだ?)

(はい、現在魔王は城の上層部にあります王の間にて家臣達と宴を開いております)

(そうか、俺達も既に魔王の城の目前まで来ている。偵察は切り上げて城から離れろ10分後に攻撃を開始する)

(了解致しました。ロイド様、私もそちらに参加してもよろしいでしょうか?)

(構わないが、俺達は今空の上に居るが、大丈夫なのか?)

(ご安心ください)

 クロノスとの念話が途切れて1分もしない内に俺達の前に漆黒を纏い黒い翼を背に生やしたクロノスが現れた。

「おぉ! ロイド様、黒炎竜化していたのですね!」

「ああ、これでもかと力を見せしめて地獄の底に落とすつもりだからな、それと攻撃は俺一人で行うと決めているから、ルドラ達と後ろで見ておけ」

「了解致しました。ロイド様の戦うお姿をもう一度見れて私は本当に感激です」

 クロノスはそう言うと、俺に一礼をしてルドラ達の所へと移動した。それから数分後、クロノスの部下である悪魔達が全員撤退したと報告が上がった俺は、魔力を高めつつ先行した。そして、最高火力の魔法を打てる段階まで魔力を高めた俺は、魔王の城へと口を向けた。

「死ね。くそ魔王がッ!」

 魔王への感情をぶつけつつ、俺は神魔法を発動させた。発動した魔法は、俺の今の姿とは正反対の白く輝かしい光線が発動し、魔王の城へと当たった瞬間、城の上層部をほぼ全て破壊した。
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