勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第三章 対蜂の魔王軍

第43話

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 ドラドとの再会から数十分後、ドラドの案内もあって無事に炎竜人国軍の本部である砦拠点へと辿り着いた。辿り着くや否や、俺達の兵士の数に炎竜人族達が驚いていた。
 すると、騒ぎを聞きつけてきたのか建物の中から一人の男性が出てきた。その男性は、身長が2m位有り髪は赤く、どことなく俺と似た感じの顔をしていた。

「どうした。そんなに騒いで、救援でも来たのか?」

「ド、ドラドルム様。その救援が本当に来たみたいです」

「はぁ? って、何だ。この数は!?」

 兵士の一人から〝ドラドルム様〟と呼ばれた男性は、こちらに目を向けるとこちらの兵士の数に驚いた声を上げた。そして、俺の顔を見ると「ロイドなのか?」と幻を見たかの様な顔をして俺に近づいて来た。

「……久しぶりだね。父さん」

「ロイドッ!」

 その男性の事を〝父さん〟と呼ぶと、その格好には似つかない涙を流しながら俺に抱き着いて来た。そんな行動に周りの兵士達は「よかった。本当に良かった」「ロイド様がお戻りになられた」と嬉しそうに声を掛け合っていた。

「って、ロイド。お前、何でこんな所に居るんだ!? と言うか、俺の事も思い出しているみたいだがメリアの呪いは解けたのか?」

「うん。ちょっと色々と合ってね少し前に呪いの一部が解けて、一部分だけど記憶を取り戻したんだよ。それで、聞きたい事が山ほどできたから今ここに居るんだよ」

「……そうだよな、聞きたいよな。ロイド、それにロイドの仲間の君達も砦の中に入ってくれ」

 父さんにそう言われた俺は、アリサ達とルドラを連れ、他の者は外で待機してもらい砦の中に入って行った。砦の中に入ると、父さんはある一室の前で立ち止まり「メリア。入るよ」と言って扉を開けて中に入った。

「おかえり、ドラム。外の騒ぎは、なん、だ……」

 部屋の中に居た人物を父さんはメリアと呼び、呼ばれた女性はこちらに顔を向けると俺と目がバッチリ合うと言葉を段々と失っていき、涙を浮かべた。

「ロイド、貴方なのね」

「久しぶりだね。母さん。俺がここに来た理由、昔から勘のいい母さんなら分かるよね?」

「えぇ、そうね。そうよね……」

 母さんは悲しそうな表情でそう言うと、父さんが肩に手を置き「メリア。僕も付いてるから」と言うと、母さんは俺が聞きたかった事、何故俺に呪いを掛けて記憶を消し、人族の村に置いて行ったのかを話し始めた。
 まず、人族の村を選んだ理由。それは、各魔王から目を遠ざける為だと母さんは言った。

「ロイド、もう知っていると思うけど貴方は、竜族と魔族の血を引いているわ。普通、この二種族での混血はあり得ないの、でも私達は本当に愛し合いロイド、貴方が生まれたの」

 母さんの言葉を聞いた俺は、以前とある本で〝魔力が強い者同士では子供が生まれない〟と見た覚えがある。

「多分、この辺りはミルス様辺りから聞いていると思うけど、貴方は生まれつき魔力がもの凄く高かった。だから、私達は必至で貴方の器を上げる為に色んな所に行きレベルを上げて器を強化していったの」

「それが、俺の記憶にも残っている迷宮巡りという事か」

「えぇ、普通の魔物を倒したところでレベルが上がるのが遅かった。だから、私達は危険を承知で迷宮に潜らせたの、その過程でいずれロイドの身に危険が迫るかもしれないと考えて、ロイド自身に配下を作る様に言ってそこに居る白竜のルドラや悪魔達を倒させて配下にさせていったの」

 それを聞いたルドラは「まあ、私達はロイド様が記憶を封じられていたので危険な時に助ける事が出来ませんでしたけどね」と言った。

「ごめんなさい。でも、それはやらなきゃいけなかったの、だってあのままロイドの力を表に出していたら、魔王達がロイドを狙っていたの」

 母さんは泣きながらそう言うと、父さんが優しく抱きしめていた。

(成程、それで俺を村に記憶、力の一部を封じ込めて置いて行ったのか、魔王達から身を隠すために……)

「俺は母さん達の所に居られない状況だったのは分かったよ。これでスッキリしたよ。もし、母さん達に嫌われて捨てられていたって言われないか心配してたから」

「そんな事は無いわ! 私達は、ロイドの事を心から愛しているの。でも、貴方を近くに置いていたらいつ連れ去れていたか……」

「母さん、もう大丈夫だよ。だから、後は俺に任せて」

 母さんに近寄ってそう言うと、母さんは俺にバッと抱き着いて泣き崩れた。その様子を見ていたアリサ達ももらい泣きをし、父さんも「ごめんなロイド」と母さんの後ろから優しく抱きしめてくれた。
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