勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第三章 対蜂の魔王軍

第42話

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 王都から出発して数時間が経ち、段々と気候が暑くなってきて感じがしてルドラに聞くと、何でも炎竜国は年中暖かい気候で有るらしく雪は一度も振った事が無く雨も余り振らないとルドラは言った。

「水が少ないと不便じゃないのか?」

「まあ、人族からしたらそうですけど我等は竜の血を引く者達ですからね。少量でも生きていけます。まあ、しかし雨は少ないですが竜人は元々が魔力も高いので水の魔法が使える者が生活水を作ったりしてお金稼ぎをしたりしております」

「そうなのか……」

 ルドラの話を聞いた後、ルドラの背中の上でアリサ達と話しながら装備の確認をしていると、前方から強い魔力を感知した。

「ルドラ、前から何者かが来てるぞ」

「んっ? 主殿、それは本当なのですか? 私にはサッパリ……」

 俺の言葉に不思議そうに答えたルドラに続いて、アリサ達も「えっ、本当に?」と言った感じでこちらに向かってきている魔力を感知出来ていない様だった。俺は、一旦ルドラ達に止まってもらい感覚を研ぎ澄まし近づいてくる魔力を念入りに探し、俺達が飛んでいるよりも更に上を飛んでいた。
 探し当てた何者かだが、魔力の位置を確認したと同時にこちらに向かって大きな炎の塊を放ってきた。

「ちょっと行ってくるよ」

「あっ、ロイド君!」

 俺はアリサ達に、こちらに向かってきている炎の目の前に魔法で飛んでいき異空間へと収納した。そして、この位置までくれば魔力の主が誰なのか分かった。

「炎だったから、もしかしてと思ったが……まさか、助けに向かっていた炎竜族だとはな……」

 俺達に向かって攻撃を仕掛けてきた者、それは俺達が今救援に向かっている炎竜族であった。

「おい、そこの炎竜族。俺は、お前等の敵じゃない」

 俺は敵じゃないアピールをしつつ、そう言ったのだが炎竜はこちらに向かって再度、炎を放ってきた。それを見た俺は「戦争で気が立ってるんだろうな……」と勝手に予想を付けて、再度また魔法を異空間に入れて一瞬にして炎竜族の真後ろに移動した俺は、踵落として炎竜族を気絶させた。
 気絶させた炎竜は、そのまま竜化が解けて成人男性くらいになった。その炎竜人族を俺は片手でルドラの背中まで持って行き、回復魔法を掛けて気絶を解いた。

「ん……ここは……」

「お目覚めか?」

「……ろ、ロイド様?」

 炎竜人族の男性は目が覚めて俺の顔を見るや否や俺の名前を呼ぶと、ポロリと涙を流した。

「お、おい。俺の事を知ってるのか!?」

「も、勿論ですよ! 逆にロイド様は私の事をお忘れ何ですか!?」

 男性は俺の言葉にそう返して来たので、俺は自分の記憶が一部抜けている事を伝えた。すると、男性は「メリア様がそんな事を、やはりあの方々はこの様な事態になる事を知っていたんでしょうね」と納得した様子でそう言った。そして、男性は俺の記憶が消えている事を理解し、自分の名前を教えてくれた。

「それよりもだ。何でドラドは、さっき話も聞かずに俺達を攻撃して来たんだ?」

「そ、それは……」

  ドラドは俺の言葉に申し訳なさそうな顔をしつつ、ポツポツと喋り始めた。何でも、今回の炎竜人族と蜂の魔王との戦争だが、炎竜側は何も準備していなかったのだが蜂の魔王は周辺国に根回しをしており炎竜族の領地を囲った状態から戦争が始まったらしい。なので、そんな中自国の街に向かってきている俺達を敵だと認識して先制攻撃という事で攻撃をしてきたと言った。

「成程な……と言う事は、今回の魔王は操られているわけではなさそうだな……」

「えっ? 何か言いましたか?」

「いや、こっちの問題だ。それより、ドラド。父さんと母さんは無事なのか?」

「はい、王も王妃様も現在は炎竜族の本部である砦に居ります」

 ドラドからそう聞いた俺は、その砦までの道案内を頼み、一刻も早く父さん達と再会するぞとルドラ達に指示を出した。
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