勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

文字の大きさ
上 下
39 / 66
第二章 迷宮へ挑む

第39話

しおりを挟む

 壇上から見下ろす異空間に住む住人達は、俺が現れた事に本当に嬉しそうに俺の方を見上げていた。そんな彼等に答えるように俺が手を上げると、更にワッと完成が鳴り響いた。
 そしてルドラが手を上げると、ピタッと歓声が止み隣にいるルドラから「どうぞ」と何故か、俺が何か言う流れを作らされた。

「えっと……皆、久しぶりだね。多分、もう知っていると思うけど俺は記憶の一部が封印されていて今現在もこの現状に驚いている。しかし、忘れていてもこの世界を一から作り上げたという事は理解している。俺が居ない間、こんな素晴らしい世界を作ったお前達に俺は凄く感動している。よく、頑張ったな」

「「「うぉぉぉぉ!!!!!」」」

 異空間の住人に対して労いの言葉を掛けると、それを受けた住人達は一斉に叫び始めた。それは、人族も亜人族も魔物も皆一緒になって叫んでいた。
 その後、俺の配下の中で以前俺が決めていた幹部達を集めて都市の中央にある城の会議室に集まって貰った。

「まず、主殿は現在記憶の一部が封印されている状態という事でまずは自己紹介から行っていくぞ」

 ルドラがそう言うと、集まった幹部5人のルドラとリフェルを除いた3人がバッと席を立った。そして、右から順に名前と種族を言って行った。

名前:クロノス
種族:悪魔

名前:リコル
種族:狐人族

名前:ガギィド
種族:鬼人族

「他にも主殿に使える幹部は居るのですが、仕事を行っている段階でして現在集まれるのはこの人数となります」

「そっか……取り合えず、俺が居ない間、配下達の面倒を見てくれてありがとう」

 そう俺がお礼を言うと、ルドラの横に座っていたクロノスと名乗った悪魔が「王よ。それは、我等の使命でありますので当然でございます」と言うと、他の幹部達は頷いていた。

「それでもだよ。記憶をなくしていたとは言え、お前達の事を忘れていたんだからな……それとは別にだが、お前達は俺が居ない間も鍛錬は怠っていないよな?」

「「「「勿論です!」」」」

「勿論じゃ」

 4人の幹部にズレてリフェルがそう答えるのを見届けた俺は、現在の世界情勢について軽く説明を行った。すると、ルドラが「戦争に我等も参加するのですか!?」と驚いていた。

「あぁ、そのつもりでいる。父さんや母さんがどういった意図で俺の記憶を封じ込め力を封じた理由は知らないけど、父さんの国が攻められているんだ。俺がいかなくてどうする?」

「ッ! そうですよね! 主殿、ご安心ください。我等、主殿に誓う配下は皆、いつの日か力になれる日を夢見て一日たりとも鍛錬を行ったりしておりません!」

 ルドラが力強くそう言うと、他の面々も嘘を付いている様な顔をしていなかった。そんな面々を見て俺は「それじゃ、戦争に出れる者を集めてくれ」とルドラに頼み、その数十分後、城の庭には大勢の兵士達が並んでいた。
 パッと見ても数千人は居ると思われる兵士に加えて、魔物軍団の数に驚いた。そして、人型の兵士達はどれも立派な装備を着ておりそれに合うだけの能力を持っており、魔物軍団もスライム族すらもレベルが70を超えている者ばかりだった。

「……これは、普通に一国を落とせられるレベルじゃないのか?」

「主殿、1つだけ言っておきますけど既に主殿はいくつかの国を落としておりますよ? 私の国もそうですし、悪魔族のクロノスの所と鬼人族のガギィドの所も落としておりますよ?」

 ルドラの言葉に「ルドラの国以外も俺は落としていたんだな」と驚きの連発すぎて、最早驚く事すらできなかった俺はそんな反応で返し、集まってくれた兵士達に向かって挨拶を行い戦争に向けての激励の言葉を投げかけた。
 兵士達との顔合わせが終わった俺は、ルドラに「後の事は任せた」と言って城の中に戻り俺の部屋として用意してくれた部屋に入り現世へと戻って来た。

「想像以上に凄かったな……まさか、あんな異空間を作っていた何て……」

 記憶が無くなる前の俺の凄さにそう感じ、ベッドに横になっているといつの間にか夢の世界へと旅立っていた。

 
しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

処理中です...