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第二章 迷宮へ挑む
第34話
しおりを挟むミルスさんから伝えられた内容は、驚く内容だった。
まず、俺の両親なのだが両家共にそれぞれの部族の王家らしく父方は〝炎竜族〟の王家。母方は〝吸血鬼族〟の王家だと伝えられた。そこで俺自身、初耳で驚くとミルスさんから「ロイド君が魔族の証だと思ってるその深紅の赤髪は、吸血鬼族の証だよ」と伝えられた。そして、そんな王族の血を受け継いだ俺だが赤ん坊の頃から凄まじい魔力を持っており、魔力に飲まれて変異してもおかしくない状況だったらしい。魔力を多く持って生まれるとそれだけ戦闘面でも役立つらしいのだが、多く持ちすぎると逆に魔力に飲まれてそのまま魔物化するとミルスさんに教えられた。
両親は俺を魔物化させたくない一心で、神々であるミルスさん達にお願いをし、ミルスさん達はそんな両親に俺を助かる方法を伝えたと言った。
「その救助方法は、俺自身が強くなり試練に挑む事と言う事ですか?」
「そう言う事になるね。それで、ロイド君は見事私達が出した試練を通過し、魔物化せずに最強と言っても過言ではない力を手に入れたんだよ」
ミルスさんは凄く良い笑顔でそう言った。俺はそんなミルスさんから言われた事を、どうやって受け入れようか頭の中で混乱していると、リフェルの時と同様に複数の声が聞こえた。
「どうやら、ロイド君の配下達がロイド君が起きた事に気が付いたみたいで呼び出して欲しいみたいだね」
「えっ、配下ってリフェル以外にも居るんですか?」
「当時のロイド君は来るもの拒まずの精神で色んな種族を仲間にしていたよ? 〖覇者〗のスキル効果で〖使役〗スキルと同じ様に従魔化させて、ロイド君の異空間の中に部屋を作って住まわせてたよ。それも覚えてないのかな?」
ミルスさんにそう言われた俺は、薄っすらとそう言えばそんな記憶もあるようなないようなと言った感じになり、取りあえず呼び出してみる事にした。すると、沢山声が聞こえていた筈なのだが出てきたのは一つの影だけだった。
「主殿! やっと、ゃっと我らの声が届いたんですね! 良かった。本当に良かったですぅぅぅぅぅぅ」
呼び出された従魔、それは男性の姿をしており身長は190㎝近くあり体格もガッシリとした筋肉質だが、それに似合わず肌は白く髪も白髪であった。
「えっと、ごめん。君は誰なのかな?」
「ッ!? わ、私の事もお忘れ何ですかッ!」
「ルドラ。主は、記憶が完全では無いと教えていただろう? 我の事さえ忘れていたんだぞ?」
「り、リフェル……確かにそうです。リフェルの事さえも忘れていたんでしたね……」
リフェルからルドラと呼ばれた白髪の男性は、涙をふき取りとシュタッと綺麗な姿勢をとった。
「主殿、改めまして私はルドラ・ヘル・ルネラードと申します。以前までは白竜族、聖竜族の王をしておりましたが、ロイド様に完膚なきまで敗北をし、現在は忠実な配下となっております」
「えっ?」
白髪の男性はそう言うと綺麗なお辞儀をして笑顔で俺の顔を見てきたが、俺は今言った言葉に驚きを隠せていなかった。
「凄かったですよ。ルドラとロイド君の戦いは、神々もロイド君が何秒で倒すかで盛り上がってましたから」
「いやいや、ちょっと待ってください! まず、俺って竜王を配下にしてるんですか!?」
「主殿、それは違います。元竜王です。今は、忠実な配下ですから、それと私の部族も主殿に忠誠を誓っており、白竜・聖竜族だけで数千は配下におります」
ルドラの言葉に俺は、もう驚くことさえ出来ずフラフラと移動し、ベッドに腰を掛けた。記憶にない自分が竜王を討伐し、その部族事配下にしていた何て誰だって驚くだろう。
「って、そう言えばルドラ以外にも俺に声を掛けていたよね?」
「はい、居ますよ。一応は、主殿配下のまとめ役として私が任されている立場ですので他の方には主殿が混乱してしまう恐れがありましたので、私が出てきた次第です。しかし、主殿の呪いの一部が解け解呪するという美味しい所はリフェルに取られてしまいましたけど……」
「ふっ、ルドラが呑気にお茶何てしておるからだろう。我はいつだって主をみておったから瞬時に気が付いたんじゃ」
「……リフェル、貴方神獣になってから態度がでかくなりましたよね? 一度、私と手合わせをしてどちらが上かはっきりさせましょうか?」
ルドラはリフェルからの挑発に直ぐに乗り、そう言うとリフェルもまた「ほう。最近は茶ばっかり楽しんでる駄竜に負ける訳ないじゃろ」と好戦的であった。しかし、俺が間に入って止めこれ以上ゴチャゴチャになりそうだったので異空間へと入らせ、この場にミルスさんと俺だけとなった。
「ふふ、流石リフェルですね。私達の試練を突破して、現在も成長し続けているだけありますよ」
「……あの、ミルスさん。今日は、取りあえずこの辺で終わっても良いですか? 色々と、整理が追いつかないので」
「良いですよ。また、落ち着いた時に呼んでください。私は、いつでもロイド君を見ておりますから」
ミルスさんはそう言うと光の粒子となって消え、部屋に一人となった俺はベッドに横になり、聞いた話を整理する事にした。
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